アニバーサリー・ワルツ現象は何かと重宝するので、ぜひ習得したいと思っていました。
ドク・イーソンの手順も素晴らしいのですが、いかんせん、手軽にやろうとするには敷居が少々高い。
それがダブルキャストでは、パケットトリックとなったことで、
より気楽に、より現象が鮮明になりました。
手順もそれほど難しくなく、カードマジック初心者でも難なく演じられるでしょう。
なお、動画を見ればわかりますが、ブランクフェイスの他に、「あのカード」を勿論使います。
一応、予備のカードもついてはいますが、頻繁に演じる予定の方は、まとめ買いしておきましょう。
文句なしにオススメです。
初めて、師の演技を観たときの衝撃を、未だ忘れることが出来ません。
既にそれなりにマジックの知識や経験を持っている(と思い込んでいた)当時でしたが、
それにもかかわらず、映像中の観客たちと同じように、笑い、驚き、
しまいには「マジックって、こんな面白かったのか!」と打ちのめされました。
このDVDも、字幕版の出る前から幾度と無く観返していたのですが、
日本語訳のおかげで、今回ようやく師の演技の"秘密"を知ることができました。
(スクリプト・マヌーヴァさんに感謝です)
なんとなく、ただぼんやりと眺めるだけだった一挙一動の全てに
師のあらゆる考えが詰め込まれており、
それによってマジシャンをも魅了する作品が創られているのです。
師のマジックを生で観ることができなかったのが、本当に悔しいと感じます。
『Tamed Card』で語られるマジックの"枠組み"の理論を、
『Two Cup Routine』に用いられている巧妙極まるミスディレクションを、
『Deja Reverse』で魅せてくれる感情のこもった演技力を、
『Nest of Box』の現象を実現させるために注がれた恐るべき執念を、
一人でも多くのマジシャンに学んでほしいと願わずにはいられません。
数あるマジックの中でも、ビザー・マジックほど好き嫌いの分かれるものもありません。
「悪趣味だ」という人も居ますが、これほど雰囲気を作りこむことのできるマジックも無いと思います。
本DVDでは、ユージン・バーガー師がいくつかマジックを演じており、
いずれも呪いや魔術、精霊、神話などを題材にした演技となっています。
「グルメ」では穏やかな雰囲気でマジックをしていた師ですが、
本作では、人が変わったのかと思うような演出を見せてくれます。
こうした世界観に興味があり、自分でも取り入れてみたいと考えている、
「エンターテイナー」よりも「魔法使い」を目指す方が観るべき作品です。
(この両者の違いについては、是非DVDをご覧下さい)
最後に。
映像で一部、過激な表現が含まれていますので、
そういったものが極端に苦手な人は、避けた方がいいかもしれません。
マジックとわかっていながらも、気分が悪くなる恐れがありますので‥‥。
まずは、収録されているマジックについて。
「特別な道具を使わないで演じられるメンタルマジック」とのことですが、
事前の準備がそこそこ大変だったり、単体では演じられないマジックがあったりして、
実用性という面ではやや厳しいかと感じました。
もちろん、古典的で単純なトリックをうまいことアレンジしているので、
これだけでも十分に勉強にはなりますけどね。
しかしながら、このDVDの本当に凄い所は、そこだけではありません。
現象の効果的な示し方や、間の取り方、自然な流れの演技となる観客への指示の方法など、
マジックを演じる上で重要になるポイントが事細かに解説されているのです。
失敗をうまくカバーしたり、観客の偶然の行動を利用したりと、
ショーの最中にも臨機応変に対応していくその様は、解説を聞きながら戦慄すら覚えました。
また、マイケル・ウェーバー師との対談では更に深い内容が語られており、こちらも必見です。
特にメンタルマジックにおいて度々問題となる「超能力の存在を観客に信じ込ませることの是非」について、
マックス・メイビン師なりの考えを知ることができ、非常に参考になりました。
メンタルマジックを演じる・演じないにかかわらず、
あくまで表現者としてマジックを演じたいと考えているマジシャンは、
絶対に観ておくべき一本です。
DVDの前半では、MCを行う際の注意点と、それを活用した演技が収録されています。
観客への指示方法だけでなく、品物の効果的な示し方や、
さらには演者側の心構えまでも解説しているので、非常に参考になります。
この原理を使って予言マジックを演じるわけですが、
予言の方法も一捻りされていて、これがまた面白いんですよね。
(捻りすぎていて、英語圏でない人間にはわかりづらいものもありますが‥‥)
後半は、その他の原理を組み合わせたマジックです。
個人的には、上の動画でも観ることの出来る「リープ・オブ・フェイク」や、
トランプとESPカードを使った「フューチャー・テンス」が
賢い解決法が使われていて気に入っています。
用いる品も原理も様々で、中には視聴者参加型の作品もあり、楽しめました。
ただし、収録されているマジックは予言や一致現象ばかりなので、
一気に全部観ようとすると、かなり疲れます。
少しずつ、あれこれ研究しながらの観賞をお勧めします。
野島伸幸さんといえば、これまでにも実用的なトリックを数多く考案しておられる方で、
私自身も「通通ジョーカーズ」「おしぼり」「オートマチック・オイル&ウォーター」などをよく演じています。
本DVDは、そんな野島さんによる三枚組の大作ですが、
期待通りというか期待以上というか、質・量ともに極めて濃い内容となっています。
・Disc 1
「トビアテル」
演技を見たときは難しそうだと思ったのですが、意外に簡単で、余計に驚きました。
普段あまりこのカードは使わないのですが、こっちに乗り換えようかと真剣に考えてしまうほど
魅力的なトリックです。
「フェイク・アンビシャス」
アンビシャスカードを演じるのにこの方法を使うかどうかは別としても、
なんとも意表を突いた解決法です。
「クイックサンド」
やっていることはそう難しくないのですが、ビジュアルに見えるのが不思議です。
「ア・リ・サ」
複数の現象が立て続けに起こりますが、技術的にもそう難しくなく、
テンポも良いので観客への負担も少ないと思います。
・Disc 2
「運命のペアカード」
観客に混ぜさせるにもかかわらず一致現象が起こるので、初めて見たときには全くわかりませんでした。
「235プリンシプル」
本作の目玉、でしょうか。
数理トリックと使われているモチーフが絶妙に絡み合い、楽しい作品に仕上がっています。
使うカードが一組付属していますが、演技映像のように大人数の観客相手に見せると盛り上がるでしょうね。
・Disc 3
「遅がえり」
以前にレクチャーノートで見たときから好きなトリックだったのですが、
よりスムーズに演じられるようになっています。
「ダイレクト・カレント」
あまり派手さはありませんが、冗長になりがちな「あの動作」に理由付けがなされており、
ラストまでの効果的な盛り上がりとなっているところが気に入りました。
「CCC」
カードケースの使い方が賢いです。なるほどなぁ、と。
小ネタやジョークネタもありますが、技法や演出の解説が丁寧でわかりやすく、
また一つ一つのマジックが出来上がる過程も語られているので、効率よく学ぶことができます。
色々なカードマジックを学びたい方からマニアの方まで、幅広い層にお勧めです。