今回の大会で、私の印象に残ったことがいくつかあります。それを「キーポイント」として、最初に紹介させて頂きます。
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今年は6月28日より7月2日まで、ネバダ州リノにおいて開催されました。リノはラスベガスよりも歴史のあるカジノの町です。しかし、華やかなラスベガスに比べますと、大きな差を感じてしまいます。今回の会場となりましたリノ・ヒルトン・ホテルが、リノの中では、もっとも活気にあふれていました。このホテルには、飛行機の消失を演じることが可能な巨大ステージがあり、毎晩、ここでゲスト・ステージショーが演じられました。 |
今年も予選は、朝8時から12時までの4時間を、25人がチャレンジされました。4部屋を順に演技してまわる形式です。今回はジュニアが何名出場されたかを、正しく報告出来ませんが、いつもの年よりも少なかったようです。この予選の上位6名が、翌日に行われますファイナル6の決勝戦に出場出来るのです。これにより、1位、2位と最高位のゴールド・カップが決定されます。この時も、4部屋を順にまわって演技が行われました。なお、この時には、観客全員に渡された用紙により、観客が選ぶ賞1名も決定されます。ところで、今年はめずらしく、このファイナル6にジュニアが1名も含まれていませんでした。 |
カルフォルニアの Ivan Amodei が受賞されました。昨年、彼はほとんど同じ内容の演技で2位を獲得されています。ビリヤードボール・ゲームに使用する道具を中心に扱ったマジックです。 |
Jason Michaels がカップ・アンド・ボールの演技により2位を受賞されました。演技用のテーブルを持参し、数世紀前のヨーロッパの大道芸マジシャンのコスチュームで、カップ・アンド・ボールが演じられました。ポケットを使用するかわりに、腹部前面にある大きな袋が使われていました。三つのカップ以外に、一つの鐘も使われていました。この鐘の使用は、彼独自のアイデアなのか興味のあるところです。最初に、三つのカップを取り出した段階で、ジャグリング的にカップを扱っていました。一般的なカップ・アンド・ボールの演技との違いは、横に置いてあった鐘の下からもボールが出現することです。また、クライマックスでは、テーブルに置いた帽子の下より頭蓋骨を出現させていました。この頭蓋骨の出現はダジャレ的な意味があるのか、それとも、何か特別な意味があるのか、よく分かりませんでした。 |
ホンコンの Chow Man Chung が受賞されました。ある部屋では、演技後にスタンディング・オベーションもあったそうです。それほどに観客での人気が一番であったのに、審査員による賞では、1位だけでなく2位すらも獲得出来ませんでした。 |
予選は朝の8時から1時すぎまで30組以上がチャレンジされました。この中から6組が、二日後の夜に、巨大ステージでゴールド・メダルをめざして決勝に出場されます。 |
ステージが小さすぎるのは問題ですが、大きすぎるのも問題があることが今回の巨大ステージでよく分かりました。大会二日目の夜より、毎晩、その巨大ステージでゲスト・ショーが演じられました。毎回、ラスト・ステージには、もっとも盛り上がるゲストが出演されています。初日のステージ・ショーのラストには、ジュリアナ・チェンが登場しました。いつもどおりのすばらしい内容ですが、ステージ上の空間が広すぎて、何となく迫力に欠けるのです。特にそれが強く感じられたのが、クライマックスでの真上へのカード飛ばしです。いつものように飛んでいるのでしょうが、高く飛び上がっているようには見えないのです。天井までの高さがあまりにも高すぎて、迫力が出ないのです。本来ならば、スタンディング・オベーションになってもおかしくない演技でしたが、拍手だけで終わっていました。 |
2003年のFISMは、マジックにジャグリング要素を融合させたノベール・フェレがグランプリを獲得されました。その影響があってか、この二つがより接近してきたように思われます。今回の大会においても、ジュニア1位の女性は上記に報告しましたように、両方を取り入れた演目を行いました。また、ゲスト出演の3人のジャグリング・ショーは、ジャグリングの途中に、四つ玉やカードのマニピュレーションも取り入れられていました。このような試みは今までにもあったのかもしれませんが、あまり記憶には残っていません。ただし、今回の残念なことは、個々のテクニック内容には新しさがないことです。ショーとしては、それで十分楽しませてもらえますが、コンテストとなりますと、フェレのような独自性の工夫が必要になってくるといってもよいでしょう。なお、クロースアップ2位の演技者も、最初に三つのカップをお手玉のジャグリングのように扱っていました。 |
最近になって、安田悠二氏のコスチューム・チェンジのDVDが、日本ではUGMより、そして、アメリカではスティーブンスより販売されました。そのような時期に、今回のI.B.M.大会のゲストに、フランスのValerieが出演されました。彼女は、コスチューム・チェンジとイリュージョンをコンビネーションさせたオシャレなあじわいのショーを演じられました。その彼女が、本人自身がモデルになり、コスチューム・チェンジの準備段階からレクチャーされていました。安田氏のDVDをすでに見ていた人は、二人の方法には違いがあり、その点が興味深かったことを話されていました。 |
I.B.M.大会の数日後にS.A.M.大会が開催させています。そこで、その大会でのクロースアップ・コンテストの順位を調べました。興味深いことは、1位と2位が、I.B.M.大会と同じ演者により、同じ順位で賞を取られていました。ところが、観客が選ぶ賞は、I.B.M.大会と異なり、1位の Ivan Amodei が獲得されていました。Chow Man Chung も S.A.M. 大会にチャレンジされていましたが、特に賞は獲得出来なかったもようです。 |