最初は小話から。マックとランスの会話。
マック「コロナも明けてイベントが復活してきたので、発表会の会場予約がなかなか取れないんだよね~っ」
ランス「2月と8月は景気が悪いって言うよね。イベントするところも少ないから取りやすいのでは?」
マック「それは良いアイディアだね」
数週間後
マック「君の言ったように8月に発表会やったら酷い目にあったよ」
ランス「えっ、でも会場が取れたって言ってたよね?」
マック「そうだよ、取ることができて発表会をやったけど、猛暑で誰も来てくれなかったよ!」
と言うわけで、こないだの日曜は横浜マジカル・グループの第47回テーブル・マジックを楽しむ会を開催しました。クロース・アップとサロンのための小さな会場だったので、上記のようなことはなく、ちょうどキャパに合った100名弱の方々に来ていただきました。暑い中、ありがとうございました。ステージ発表会は、今度は寒い2月12日(月祝)です。60回の記念大会ですので、是非お越しを。では本題に入りましょう。3回連続で007からです。まずは予告編をご覧下さい。
原題: Tomorrow Never Dies
監督: Roger Spottiswoode
製作: Barbara Broccoli, Michael G.Wilson
原作: Ian Lancaster Fleming
脚本: Bruce Feirstein
出演: Pierce Brosnan(James Bond), Michelle Yeoh(Wai Lin), Jonathan Pryce(Carver), Teri Hatcher(Paris), Ricky Jay(Gupta)
配給: ユナイテッド・アーティスツ
公開: 1997年
上映時間:119分
製作国: アメリカ・イギリス
ところが、この映画に手品シーンは出てきません。にも拘わらず、ここで取り上げた理由は、カード投げによる飛距離のギネス(135フィート)を持っていたリッキー・ジェイが出演しているからです(他にテレビ・ドラマ「X-ファイル」やトム・クルーズの「マグノリア」にも出演しています)。下記動画は映画冒頭の2分間ですが、テロリスト役で、しょっぱなから出てきます。
銃の代わりに得意のカード投げでボンドとの対決を期待したのですが、扱う武器はコンピューターでした。恐そうな顔なので、悪役にはピッタリです。このコラムで次回に取り上げる「マジック・ボーイ」でのマジックのテクニカル・アドバイザーをしたことでも知られています。マジック・コンベンションのゲストとして出演することも殆ど無く、レクチャー・ビデオも出していないので、演技を見た方はあまりおられないかもしれませんが、この映画公開の頃、ニューヨークでロング・ランしていた、殆どカード・マジックだけのワンマン・ショー「Ricky Jay and his 52 Assistants」は大好評で、チケットは即完売という人気でした。2018年に他界していますが、下記動画で演技をご覧いただけます。
更にワンマン・ショー第2弾として、2002年5月から「Ricky Jay On the Stem」が行われていました(小野坂東氏の「Ton’s news letter pleasure 3」のレポート参照)。写真はポスターです。こちらの動画はYouTubeには無さそうです。
ダグ・ヘニングのスペシャル番組にゲスト出演し、これは日本でも放送されました。若い頃は長髪でハイテンションな演技で、上記のワンマン・ショーとはかなり異なる雰囲気です。
他に、「ポール・ダニエルズ・マジック・ショー」でのゲスト出演、「花王名人劇場」のために来日した時のものなどが日本では放送されています。
「花王名人劇場」の時には、私はテレビ収録を見に行きましたが、某マジック・ショップにいた時に結石で倒れてしまい、体調が悪い中、出演しています。デックから2人の客に1枚ずつカードを選ばせ、デックに戻し、シャッフルやフラリッシュを行った後、カードをパラパラと空中に飛ばし、選んだカードを各々の手で掴み取るという演技でしたが、体調のせいもあって、掴み損なう失敗をし、撮り直しをしました。その演技では、片手で行うカスケード(通常は手から他の手へ落とすことで行いますが、片手でデックを持ち、カスケードし、同じ手で取ります)もやっていましたが、私は誰かが演じるのを初めて見て、実際にできるんだと思いました。
映画の話に戻しますと、上映時間が007シリーズにしては短めでテンポが良く、バイクの2人乗りのチェイス・シーンが見せ場です。アクション映画がお好きな方、リッキー・ジェイがどんな演技をしているか興味のある方にお勧めします。U-NEXT、アマゾン・プライムなどで見られます。
小野坂東:「リッキー・ジェイ オフ・ブロードウェイ第2弾」『Ton’s news letter pleasure 3』(マジックランド, 2002) p.24
栗田研:「映像の魔術 007トゥモロー・ネバー・ダイ」『Four of a Kind Vol.2 No.2』(チェシャ猫商会, 1998) p.56