今回のお勧め動画はこちら。スライディーニがディック・キャベット・ショー(当人もマジックをやり、Tannenの雑誌「Magic Manuscript」の表紙にもなったことがあります)に出演した時のものです。昔、某マジック・ショップで酷い画像のコピー品が売られていましたが、それでも内容は素晴らしかったです。ネットには同じ番組が複数アップされていますが、これが一番綺麗な映像です。スライディーニの演技を初めて見た方は「えっ!?」と思わず言って繰り返し見てしまうことを予言します。
有名なスライディーニ・シルクも演じています。スライディーニが1980年に来日した際に、高木重朗氏は新幹線に乗りながらレクチャーしてもらったそうですが、最初の結び目を固く締める動作でダメ出しが出て、そこから先に進まなかったそうです。更に「Watch!」という発音が違うとも言われたそうです。
スライディーニのテレビ出演の映像は少なく、他には「Hocus Pocus It's Magic」という色々なマジシャンが出演した番組があります(コラム第12回「メインテーマ」で紹介したマーク・ウィルソンの胴切りも演じられています)。レーザー・ディスクで発売されましたが、それには当時、発表されていなかったシルク・プロダクションの貴重な映像が含まれていました。下記にその番組映像が一部、アップされていますが、シルク・プロダクションは含まれていません。
長い間、どうやっているのか知りたかったのですが、「アズ・アイ・リコール」からご覧下さい。で解説されました。ファンテン・シルクのような現象ですが、方法は異なります。
では、今週の予告編から。
原題:The Cincinnati Kid
製作:Martin Ransohoff
監督:Norman Jewison
原作:Richard Jessup
出演:Steve McQueen (Eric“The Kid”Stoner), Edward G.Robinson (Lancey“The Man”Howard), Ann Margret (Melba), Tuesday Weld (Christian Rudd)
配給:MGM
公開:1965年
上映時間:113分
製作国:アメリカ
スティーブ・マックィーン演じる新鋭のギャンブラー、キッドが、エドワードG.ロビンソン演じる大御所のハスラーにポーカーで勝負を挑むという話です。53分、キッドが恋人、クリスチャンの実家を訪ねた際に、無愛想な父親に手品を見せると驚いて喜んでくれます。その家にあったカードを一組借りて、テーブルに表向きにリボン・スプレッドしてから、裏向きにターンします。父親に自由に1枚引かせ、即座に何のカードか当てます。表向きでスプレッドした時に、タマリッツのように全てのカードの順を覚えてしまえば、引かれたカードが何枚目にあるか数えて当てることは可能かもしれませんが、常人にはとてもできない芸当です。因みに、この映画のエンディングは2種類あり、ネットに比較した映像があります。DVDは左の方ですが、昔、放送されていた右の方がシビアな世界を表現していて良いと思います。
コラム第6回「ペーパー・ムーン」で紹介した釣り銭詐欺のシーンが映像でありました。
次回からギャンブラーを題材にしたものを連続して取り上げていきます。まずは「シェイド」から。
1) 栗田研:「映像の魔術 シンシナティキッド」『Four of a Kind Vol.8 No.3』(チェシャ猫商会, 2004) p.263