先日、大阪に行ったついでにフレンチドロップに寄って、庄野隊長から次号の「Four of a Kind」に載せる作品を提供していただきました。年内に発行予定で、お店の方でも取り扱われるでしょう。多分、...。 まずはオープニング・シーンから。
原題:The Man with the Golden Arm
監督:Otto Preminger
製作:Otto Preminger
原作:Nelson Algren
タイトルデザイン:Saul Bass
出演:Frank Sinatra (Frankie“Dealer”Machine), Eleanor Parker (Sophia “Zosh” Machine), Kim Novak (Molly Novotny), Arnold Stang (Sparrow), John Conte (Drunkie John)
配給:ユナイテッド・アーティスツ
公開:1955年
上映時間:119分
製作国:アメリカ
麻薬中毒をテーマにした映画で、演技、脚本、音楽と全てが揃った傑作です。タイトル・デザインは、「サイコ」「北北西に進路を取れ」のタイトルでも知られているソウル・バス。麻薬中毒のカード・ディーラーを演じるフランク・シナトラは、この映画でアカデミー主演男優賞候補にもなりました。
“黄金の腕”というあだ名のディーラー、フランキーは、6ヶ月間の麻薬更生施設での生活を終え、家に帰ってきます。ディーラーからは足を洗い、ドラマーとして生計を立てていこうとしますが、昔の仲間、車椅子の妻ゾシュ、薬の売人たちが足を引っ張り、再び麻薬に手を出してしまうことになります。この頃はヘイズ・コードというアメリカ映画界の自主規制があったので、麻薬を題材にしたものは映画化が難しかったようです(当時は今のように、R指定、X指定といったように見られる人で制限していなかったので、どの映画でも誰でも見ることができた)。
22分、留置所で友人のスパローがフランキーにタバコを渡し、手品を見せてくれとせがみます。フランキーはタバコを右手に押し込んで消し、スパローの右耳の後ろから取り出します。実際には右手に握ったタバコをそのまま画面のフレームの縁からラッピングし、別のタバコを取り出しています。ラッピングする時に、指が動かないようにヒール・クリップ・ポジションから落とせばいいのに、手を開いて投げ捨てるように落としているので分かってしまいます。43分、フランキーは家で、デックを両手の間でスプレッドし、ゾシュに「1枚引いて」と言いますが、彼女は腹を立てており、引いてくれません。フランキーはディーラーの傍ら、趣味でカード・マジックもやっていたようです。78分、スパローとジョンがバーで話すシーン。ジョンが「Now you see it, now you don’t」と、手品での決まり文句を言います。テレビで放送した時の字幕は「フランキーは魔法の指だもんな」(ゲームでいかさまができるよね?という意味)になっていました。82分、フランキーがポーカーでいかさまをするシーンで、クラシック・パスのような動きをします。そしてゲーム相手に右手を掴まれ、カードをパームしていることを見つかってしまい、袋叩きにあいます。
昔の映画なので、町中がオープン・セットだったり、そんなに簡単に麻薬を断つことができるのか?といった突っ込みはさておき、フランキーが徐々に追い詰められていくところは、不協和音的なジャズのBGMと相まって緊迫感があります。手品シーンはたいしたことないですが、映画としてはお勧めです。
次回は「バイオニック・ジェミー」から、ロン・ウィルソンがカメオ出演した、第2シーズン第2話を取り上げます。
既に放送されたものもありますが、マジック関係の番組です。
12月28日 21時~ 「スーパー4Kマジック第8弾 豪華共演!Mr.マリックVS驚異の天才軍団」(2022年12月4日の再放送) BS朝日
12月30日 19時30分〜 「超絶神業!マジックバトル 2023」 NHK総合
1月1日 11時50分~ 「世界最高峰!マジック・グランプリ〜Mr.マリックと行く奇跡の祭典〜」(再) NHK BS
1月1日 23時30分~ 「せっかち勉強~知らないとヤバい事~」 日本テレビ
1月2日 21時~ 「ザ・マジックシアター第11弾」 BSフジ
1月3日 2時5分~ 「The Magic オールジャンル日本一決定戦2023」 フジ
1) 栗田研:「映像の魔術 黄金の腕」『Four of a Kind Vol.8 No.3』(チェシャ猫商会, 2004) p.263