明けましておめでとうございます。いつもコラムを読んでいただきありがとうございます。100回予定のコラムの1/4程が終わりました。連載開始当初は原稿を出すと直ぐに次の締め切りが来るという感じで、週刊連載をするのはこんな感じかと思いましたが、何回か続けるうちに慣れました。
「せっかち勉強~知らないとヤバい事~」はご覧になりましたか?女好きの伊藤博文がファンだったという天勝が紹介されました。実写映画版「カムイ外伝」がテレビで放送されましたが、トピックに載せ忘れました。中盤辺りで松山ケンイチが鳩出しをしています。これが江戸時代(チャニング・ポロック以前)に、日本に鳩出しがあったという証拠映像です!
ではまずは、日本版のオープニング・タイトルからどうぞ。海外ドラマを日本で放送する場合、オープニングにナレーションを入れることが多く、それらは、なかなか聞き応えがありました(オリジナルの方は音楽だけなのが一般的)。
原題:The Bionic Woman
監督:Alan Crosland
原作:Cyborg(Martin Caidin)
出演:Lindsay Jean Wagner(Jaime Sommers), Richard Norman Anderson(Oscar Goldman), Lee Majors(Steve Austin), Ed Nelson(Lucky Harrison)
製作:ABC
放送:1977~1978年
時間:1話48分
製作国:アメリカ
第2シーズン第2話「博徒ジェミー洋上戦」(Assault on the Princess)
テレビ・ドラマ「600万ドルの男」のスピン・オフ。背景となるストーリーは上記オープニング・タイトルをご覧下さい。バイオニック・ウーマンであるジェミー・ソマーズの今回の使命は、エネルギー・ボックスの奪還です。2重スパイの通称アイアンマンによって盗まれた新開発のエネルギー・ボックスが賭博船プリンセス・ルイーズ号で運ばれて国外に持ち出されるという情報を得て、ジェミーはカード・ディーラーとして船に乗り込み、情報を探ります。カジノのディーラーになりすますため、カードの扱いを習うシーンがドラマのオープニングに登場します。ロン・ウィルソンが赤裏のビーをテーブルにリボン・スプレッドする手のアップから始まり、カメラが引くとスプレッドをターンし、集めて取り上げ、デックを2つに分けて両手でファンにします。隣に座っているジェミーにやってごらんとデックを渡します。ジェミーは受け取り、両手でファンを作り、続いてテーブルにリボン・スプレッドしてターンします。ここでロン・ウィルソンは「カンが凄くいいんです...」と言いながら、お役目ごめんで出て行きます。その後、ジェミーはバイオニック・ウーマンの能力で素早く5人の手として2枚ずつカードを配り、自分のところにはブラック・ジャック(21)が来ています。9分。船の持ち主のラッキー・ハリスンにディーラーをやりたいならカードの腕前を見せろと言われ、青裏のビーをリボン・スプレッドしてターンします。ブラック・ジャックで、客が5人で4人目に勝たせる手を配るよう指示され、2枚ずつ配ります。そして何の手を配ったか言いながらカードを開けていきます。しかし、4人目の手は宣言した通りになっていません。ハリスンは怒りますが、ジェミーはハリスンがカードをすり替えていたことを見破ります。ハリスンは兜を脱ぎ、袖からすり替えたカードを取り出し、ディーラーとして雇うと言います。
ロン・ウィルソンがこのドラマで指導したという話が作品集「The Uncanny Scot, Ron Wilson」(訳書「ロン・ウィルソン プロフェッショナルマジック」)に写真付きで出てきます。
ドラマでは殆どテクニックらしいことはやっていません。2022年11月11日にAXNで放送されたので、再放送される機会はあると思いますが、昔のドラマなので、今見返すと面白くありません。特に見なくてもいいでしょう。
ロン・ウィルソンはレクチャー・ビデオを出しておらず、日本のテレビにも多分、出演したことがないのでご覧になった方は少ないと思います。以下の映像があります。どれも安定感があり、プロの技です。「奇跡のミクロマクロ」「財布の中に通うカード」「ゆっくり行う、破っても元通りになる新聞」は、上記の本に解説されています。このタイプの新聞紙の復活はスライディーニが有名ですが、私はこちらの方が好きです。以前、スライディーニの映像を紹介しましたが、見比べてみてください。
次回から連続で、小林旭の渡り鳥シリーズを紹介していきます。どこの国が舞台なのか分からない日活の無国籍アクション映画ですが、ギャンブル・シーンでもカードやダイスで勝負するのではなく、フラリッシュ対決と妙なことになっています。
1) Ron Wilson:『プロフェッショナルマジック』(東京堂出版, 2011) p.112
2) Ron Wilson: 「Teaching Card Tricks to Lindsay Wagner and playing a part in "The Bionic Woman"」『The Uncanny Scot, Ron Wilson』(Kaufman and Greenberg, 1987) p.77