コラム | マジック用品グッズショップ（手品ショップ）フレンチドロップ

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第44回　黄金の指(2024.5/31 up)

まずは今月のマジック情報から。「Genii」の最新号に東陽町に移転したマジックランドが紹介されていました。前の店、その前の店と比べて格段に綺麗なオフィス･ビルになったためか、マジック･ショップ独特の匂いが無くなってしまいました。前に店があった茅場町のオフィス街からそれほど遠くありませんが、近くにはスーパーや大きな公園(木場公園)があるなど全く違う街の雰囲気です。因みに、東陽町には江東区文化センターという施設があり、昔はマジックのイベントによく使いました。

5月の新製品で、国内のマジックショップで最も多く取り扱われたものは何だと思いますか？ 1位はMark Masonの「カルテット」、2位は「メシカ･リングフライト」でした。どちらもフレンチドロップの先週の新製品ではないですか！

では本題に入りましょう。予告編からどうぞ。

『黄金の指』

原題：Harry in Your Pocket
監督：Bruce Israel Geller
製作：Bruce Israel Geller, Alan Godfrey
出演：James Coburn(Harry), Michael Sarrazin(Ray Houlihan), Walter Pidgeon(Casey), Trish Van Devere(Sandy Coletto)
音楽：Lalo Schifrin
配給：ユナイテッド・アーティスツ
公開：1973年
上映時間：103分
製作国：アメリカ

公開前は「Harry Never Holds」という仮の原題が使われており、前回も述べたように、スリは盗んだ財布などを直ぐに仲間に渡し、持ち続けないという意味です。前回の「スリ」でもチーム･プレーはありましたが、本作では４人のグループが各々の役割を分担し、より息の合った行動で、スリの手口を見せているところが見所です。マジックは出てきませんが、流れるようなコンビネーションはスライハンド･マジックに通じるものがあるでしょう。ビデオにもDVDにもなっていませんが、YouTubeでロシア語を上から被せたものがありますので、どうしても見たい方はそちらを探してみてください。

舞台はシアトル。駅でサンディは、時計を狙われたことから駆け出しスリの青年、レイと知り合います。若い2人は身の上話をする内に好意を持つようになります。そんな時、盗品の買人から一流のスリが“サクラ”を募集していることを聞き、面接に行きます。その結果、レイとサンディの2人ともが雇われることになります。スリの手順は、サンディに気を取られたカモからスリであるハリーが接触してブツをいただき、数秒以内にブツをレイに手渡し、レイは仲間のケーシーへとリレーします。ある日、レイは失敗します。サンディが上手くオトリを演じたのにそちらを見ており、ハリーがスリを働いたことに気付かず、リレーの役目をしませんでした。ホテルに帰ったレイにハリーは「いいか、ハリーは決して運ばないのだ」と言って厳しく叱ります。スリがブツを持ったまま逮捕されれば現行犯になるからです。60分、サンディがテニス･ボールをばら撒き、カモがそれを拾っている間にハリーが盗み、即座にケーシーへ渡します。

68分、レイはリレー役は何とかできるようになりますが、それだけではあきたらなくなり、ケーシーに技を教えてほしいと懇願します。そして予告編のシーンのように、鈴を鳴らさずに、上着から財布をスチールする練習をします。スリの映画では、こういった練習シーンが必ずと言っていいほど出てきます。深見じゅんのマンガ「黄金の指」とは無関係です。次回もスリの映画が続きます。