先週、小倉に行ったのはバレーボール ネーションズリーグの女子福岡大会を観戦するためでした。西洋人よりも身体的に劣っていた日本人は、東京オリンピックで太平洋戦争での敗戦を過去のものとし、飛躍的な経済成長を遂げました。そのためオリンピックに対して他国よりも熱心で(中国の知り合いには、オリンピックに友人が出ていたら応援するけど、基本的に興味ないという人が多くいました)、オリンピック・シーズンには多くのスポーツが注目を集め、にわかファンも出てきます。この時期、チケットが取りにくくなり、迷惑な話です。
バレーボールに関して言えば、数年前から、トップの国は大きな大会(オリンピックと世界選手権)を目標とし、それ以外の試合は捨ててもいいという戦略を取るところが増えてきました。今回のネーションズリーグほど、国によって出場選手にばらつきがあることは無かったです。一応、3大大会のひとつですが、A代表を出さずに、B代表、C代表を出したところが何カ国かありました。大会期間が長いので、選手を入れ替えながら対応しなければならないというのも理由のひとつですが、もっと大きいのは五輪まで手の内を晒したくないためです。バレーボールは対戦相手のデータが勝敗に最も大きな影響を与えるスポーツです。スター選手が見られると思って高額なチケットを買って見に行った観客が、3軍のしょぼい試合を見せられたらたまったものではありません(個人スポーツではランキングの高い選手は、大きな大会に出る義務があり、正当な理由無しに欠場したらペナルティーというものもありますが、団体競技では難しいでしょう)。ニュースでは視聴者の注目を集めるために、世界ランキング1位のどこそこに勝ったと流します。でも、どの選手が出ていたかまでは、短いニュースで伝えられないので、戦った相手の本当のレベルは分かりません。そのため、本番の大会では前評判からかなり外れることがあるということです。パリ五輪でバレーボールに関して言えば、男子は準決勝まで行きメダルが取れるかは組み合わせしだいだと思います。ネーションズリーグの男子決勝トーナメントが今日から始まりますが、組み合わせが良かったので、日本は決勝まで行き、優勝はポーランドと“予言”しておきましょう。ポーランドは頭ひとつ抜けており、パリでもポーランドと当たらないようにすることが、メダル獲得の大きな要素です。幸いパリの予選ではポーランドと当たらないグループになったので、組み合わせとしてはかなり良く、アメリカに勝てばメダルにかなり近づくでしょう。
日本国民がオリンピック好きなことに起因してか、はたまたNHKの「世界のマジックショー」の影響からか、日本のマジシャンが目指すのはマジック・オリンピックであるFISMのみです。オリンピックを目指す選手は、国内の地方大会から出て、勝てば上のランクの試合に出ると言ったように登っていくのが順当な道筋でしょう。でも何故かマジックの場合、今の若いコンテスタントはFISMの予選には出ますが、それ以外の規模が大きい、例えばIBMやブラックプールなどにはチャレンジしないのです(せいぜい、アジアで行われる大会)。いくら才能あるアスリートでも、いきなりオリンピックだけ出てメダルは取れないでしょう。若手マジシャンを支援するグループがいくつかありますが、FISM出場枠を得るために若手をFISMへ駆り立てている感じがし、若い人たちもそこばかりを目指すようになっているのではないでしょうか?マジック界を活性化するためには、若手のバックアップばかりでなく、他にもっとやれることがあるはずです。前書きが長くなったので、この話はまた別の機会に。
「フレンチキス」「フレンチコネクション」など、フレンチと付く映画は色々とありますが、フレンチドロップはまだありません。では予告編からどうぞ。
原題:Bastille Day
監督:James Thomas Watkins
出演:Idris Akuna Elba(Sean Briar), Richard Madden(Michael Mason), Charlotte Le Bon(Zoé Naville), Kelly Reilly(Karen Dacre)
配給:ギャガ・プラス
公開:2016年
上映時間:92分
製作国:フランス、アメリカ、イギリス、ルクセンブルク
犯罪者とCIA捜査官が意に反してコンビを組み、反発しあいながらもテロを画策する一味を追うという本作は、エディ・マーフィーのデビュー作「48時間」の白人と黒人を入れ替えた焼き直しと言えます(最後に撃つところまで真似なくてもいいのに)。原題はパリ祭のことです。
パリ祭の前夜、アメリカ人のスリ、メイソンはおとりの女性に裸で街中を歩かせ、みんながそれに気を取られている隙に次々とスリを働きます。その後、テロリストの一味である女性(ゾーエ)からバッグを盗むのですが、爆発物が入っていることを知らずに捨てたことで、それが爆発して4人が死亡します。防犯カメラの映像からテロリストだと間違われたメイソンはCIAのブライアーに逮捕されますが、自分はスリで、バッグは盗んだものだと言います。28分、話を信じないブライアーはメイソンに「俺の財布をすってみろ」とけしかけます。メイソンはちょっと触れただけで財布を盗み、金だけ抜き取って再び相手の懐へ戻します。テクニック的に本当に盗み取ってはおらず、ふりだけなので詰まらないです(このシーンは予告編でもちょっと見られます)。だいたい、こんなスピードではできません。メイソンは事が終わったら逃がしてくれることを条件に、一緒にテロリスト一味を追いかけることになります。49分、ゾーエを匿っている男から情報を得るために、バーでその男の財布をスリます。ここでは直接的に盗むのではなく、周りでトラブルを起こし、どさくさに紛れて盗むという手順が面白かったです(予告編で部分的に見られます)。終盤の78分、メイソンは黒幕がポケットに入れているディバイスをスリますが、ここもちょっと触れるくらいで盗んでおり、手抜きの撮影です。
爆弾テロや、移民に対する警官の暴力に起因して大規模なデモが起こる、といったように従来の刑事物よりもスケールは大きく、黒幕の存在や、テロの真の目的など、意外な展開には工夫が見られます。ストーリーとして、脚本はまあまあ書けていると思いますが、ステレオタイプの登場人物のキャラクターなどは十把一絡げのハリウッド・アクション映画によく見られるものです。「ボーン・アイデンティティ」以降、主流となった細かいカットを積み重ねたアクション・シーンはスピード感があり、物語前半のパリの屋根を走り回るシーンは見せ場になっています。但し、ちょっと編集が細かすぎる感じはします。以下でそのシーンをどうやって撮っているか見られます。ドローンで空撮していると思っていたら、カメラマンをワイヤーで吊っているのですね。
たまたま「48時間」が7月2日13時40分からテレビ東京で放送されます。カットされており、吹き替えですが、どうせならそちらを見ましょう。
次回はスリ映画の最後、「大日本スリ集団」を紹介します。
テレビ番組に関しては一週間前にならないと情報が得られないものがあります。週1回の連載のため、掲載された時にはその番組が終わっていることがあります。以前は毎週金曜にアップされていましたが、最近は金曜より前にアップされることがあります。テレビ情報が放送前に得られるかもしれないので、ちょこちょこ覗いてみてください。
6月28日 21時~ 「ルパン三世 カリオストロの城」 WOWOWプラス
7月8日 18時20分~ 「007カジノロワイヤル(ダニエル・クレイグ版)」 スターチャンネル
7月8日 20時30分~ 「ルパン三世 カリオストロの城」 WOWOWプラス
7月10日 22時~ 「トリック’03」 テレ朝チャンネル2
7月11日 13時40分~ 「リクルート」 テレビ東京
7月11日 14時~ 「ジョン・ウィック:コンセクエンス」 スターチャンネル
7月11日 22時~ 「トリック’03」 テレ朝チャンネル2
7月14日 15時~ 「ルパン三世 カリオストロの城」 WOWOWプラス
7月15日 22時~ 「トリック’03」 テレ朝チャンネル2
7月16日 10時50分~ 「リーサル・ウェポン 炎の約束」 WOWOWシネマ
7月16日 22時50分~ 「トリック’02」 テレ朝チャンネル2
7月17日 22時~ 「トリック’02」 テレ朝チャンネル2
7月18日 22時~ 「トリック’02」 テレ朝チャンネル2
7月18日 1時~ 「地中海殺人事件」 ザシネマ
7月22日 22時~ 「トリック’02」 テレ朝チャンネル2
7月25日 20時45分~ 「ルパン三世 カリオストロの城」 WOWOWプラス
7月29日 4時~ 「リーサル・ウェポン 炎の約束」 WOWOWライブ
7月31日 23時30分~ 「ジョン・ウィック:コンセクエンス」 WOWOWシネマ
連載もそろそろ50回で、手品の出てくる映画にみなさんは詳しくなったと思いますので、今回はクイズを出しましょう。
問:7月に放送予定の上記の映画に登場する手品シーンを以下の中から選びなさい。
1.コイン・ロールをするシーン
2.卵のマジックをするシーン
3.ポーカー・チップのフラリッシュのシーン
4.新聞紙の復活のマジック・シーン
5.万国旗のプロダクション・シーン
6.Theory 11の「Artisan Playing Cards」が使われるシーン
回答は過去の連載か、これからの連載の中で。明日は「マジックソルトコンベンション2024」に行ってきます。