• HOME
  • カードマジック
  • コインマジック
  • 日用品・雑貨
  • マジック基本用具
  • DVD
  • 書籍
  • ムービー

コラム

第51回 ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(エジプト編)(2024.7/19 up)

連載第44回でマジックランドが移転したことを書きました。店のホーム・ページがトラブルで、移転もあったことで更新されていなかったのですが、店を覗いてみたところ、2022年に亡くなったマックス・メービンを偲んで、氏の作品がいくつか復刻されていました(再販と言ってもブリッジ・サイズだったものを、バイシクルのポーカー・サイズにしています)。「エグザイル(交流)」は4枚のジョーカーとフォー・オブ・ア・カインド(例えば4枚の4)を使ったパケット・マジック。4枚の4の中から1枚選んでもらい、それがテーブルに置かれた4枚のジョーカーの内の1枚と入れ替わるというものです。30年くらい前に来日した本人から、ブリッジ・サイズのカードに英文解説書が付いたものを買いましたが、シンプルな現象、無駄の無いハンドリングは名作と言えます。


Exile

「インプレッションズ(千変万化)」はクリーンなユニバーサル・カードの現象です。選ばせるカードは一応、フリー・チョイスで、ユニバーサル・カードが選ばれたカードに変化した際に、カウントを使わずに、しかもカードの全面を見せられるというものです(同じカードが同時に2枚ある)。どちらも東京堂出版の「パケット・トリック」に解説されていますが、特に後者は作るのがかなり手間なので、ありがたいことです。因みに、氏が発表したトリックの数は、15年以上前で1700を超えていました。

若き日のマックスさんの映像です。髪型が歳を取ってからとだいぶ違いますね。



本題に入りましょう。かっこいいオープニングから。

『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース(エジプト編)』


Jojo1

原作:荒木飛呂彦
監督:津田尚克
声:小野大輔(空条承太郎), 石塚運昇(ジョセフ・ジョースター), 銀河万丈(ダニエル・J・ダービー)
製作:david production
時間:24分
放送:2015年

原作は「週刊少年ジャンプ」に1987年から連載し、その後、「ウルトラジャンプ」に移って今も連載中の超能力バトル漫画です。スタンドという特殊能力が武器となりますが、敵と戦う際に、戦略、状況、心理描写が細かく解説され、こういった頭脳戦スタイルの先駆けとなった作品です。アニメだけでなく、ミュージカルの舞台化、実写映画化もされました(間違っても、映画版を見てはいけません)。漫画やアニメに興味ない人でも、ジョジョという名前や、ジョジョ立ちというキャラクターたちの独特なポージングは見たことがあるでしょう。関東の大学のマジック・クラブのステージ発表会では、それを真似したようなポーズが見られます。アニメとしての評価が高いのは第1シーズンですが、第3シーズンの「スターダストクルセイダース」、第4シーズンの「ダイヤモンドは傷つかない」は、私の好きなシリーズです。


第34話 ダービー・ザ・ギャンブラー その1

主人公の1人、ジョセフ・ジョースターは敵であるギャンブラーのダービーと勝けで勝負をします。ダービーのスタンド名はオシリス神と言い、賭けに負けた者の魂を奪うスタンドです。ジョースターは、交互にグラスにコインを入れていき、酒が溢れた方が負けというバーベットを提案します。この賭けでは本来、静かにコインをコップに入れていくか、一度に沢山のコインを入れることで溢れる寸前にするくらいしか工夫するところが無いのですが、この漫画では、対戦する両者がかなり凝ったトリックを仕掛けます。最初にダービーはいきなり5枚のコインを入れます。そしてジョースターは1枚のみ入れますが、コインの裏に隠した脱脂綿から液体を追加して溢れるぎりぎりまで液量を増やします。次にダービーの番ですが、自分の影になってやりにくいと言って席を移動してから1枚を入れますが、何故か溢れません(賭けは店の外に置かれたテーブルで行われています)。再び、ジョースターの番になり、1枚だけ入れようとしますが、彼は負けます。脱脂綿から追加してギリギリの状態になっているのに何故、ダービーは更に1枚のコインを入れることができたのか? 実は最初にグラスを調べた時にダービーはグラスの底にチョコレートの破片を付けていたのです。そのためグラスは少しだけ斜めになっており、酒が溢れそうになった時点で席を変えることで直射日光がグラスに当たり、チョコレートが溶け、傾きが戻ったため、更に1枚を入れることができたというわけです。方法だけを文章で読むと嘘臭いトリックですが、映像と演出で納得させてしまうシーンになっています。


第35話 ダービー・ザ・ギャンブラー その2

ジョースターが負けてしまったので、その後、空条承太郎が相手になり、今度はポーカーで対決します。ダービーはセカンド・ディールをして自分に良い手を配ろうとしますが、スタープラチナ(空条のスタンドで、桁外れの動体視力で飛んできた銃弾を素手で掴める)で見ている空条に見破られ、指をへし折られます。そして空条はカードをシャッフルする時にパラパラと見えた表から、シャッフル後のカードの配列を全て記憶しており、トップから好きな枚数目を言わせてそのカードが何であるか当てます。更に、トップから順番にカードの名を言っていきます(タマリッツはこの能力を持っているのかしら?)。従って、セカンド・ディールを見抜くぐらい朝飯前です。又、ダービーはゲーム中に横に置かれていた分厚い本を指の感覚だけで分け、何ページ目かを当てる訓練をしています。カード・マジックをやっている人ならデックを26枚ずつに分けたり、13枚でカットするくらいはできるでしょうが、何枚でもできるなら、ヘンリー・エバンスの「10 Exact Cut」がレギュラー・デックでもできますよね。

明治大学マジックフェロー奇術研究会の発表会では、通常、イリュージョン・マジックが演目に入っていますが、単に演じるだけでなく、何かをテーマにした小芝居風の演出を付けています。20年ぐらい前に、「ジョジョの奇妙な冒険」を題材にしたことがありました。

第6シーズンである「ストーンオーシャン」は記憶が入ったデータ・ディスクを奪い合う話なので、ステージ・マジックのディスクの演技でBGMに使えばぴったりの音楽になります。去年、大学のクラブの発表会で使った女性がいましたが、かなり速い曲なので、それに合わせて演じるのは難しかったようです。以下、アニメのオープニング。

次回もグラスにコインを入れていく賭けが登場する映画を紹介します。

1) Max Maven:「交流」『パケット・トリック』(東京堂出版, 2005) p.121

2) Max Maven:「千変万化」『パケット・トリック』(東京堂出版, 2005) p.190

3) 荒木飛呂彦:「ダービーズコレクションの巻」『ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース 第23巻』(集英社, 1991) p.7


pagetop
当サイトは日本ベリサイン株式会社の認証を受け、SSL暗号化通信を実現しています。