パリ・オリンピックも終盤です。男子バレーボールは惜しかったですね。日本と競ったイタリアは準決勝でフランスにストレート負け。ポーランドとフランスが力的に抜けており、やはり決勝はこのカード。地元の応援でフランスが優勝するでしょう。卓球男子団体も準決勝で負けて、銅メダルマッチはフランスと。ルブラン兄弟とは相性が悪いのでがんばってほしいです。
柔道の団体決勝のクジ引きでは、何でそこでそうなるの?というフランスに有利な対戦の組み合わせだったので(確率的には1/6)、いかさまだという意見が出ても不思議ではないでしょう。はっきり分かるようにすべきだということも言われていますが、ではどうやったらテレビで見ている人にも公正に見えるクジになるか、考えてみてください。その解決案を思いつけば、新しい予言のトリックがひとつできます。まずは予告編から。
原題:Les Tribulations d'un Chinois en Chine
監督:Philippe De Broca
原作:Jules Gabriel Verne(必死の逃亡者)
出演:Jean-Paul Belmondo (Arthur Lempereur), Ursula Andress (Alexandrine Pinardel), Jean Rochefort (Leon)
製作:Les Films Arian、他
公開:1965年
上映時間:110分
製作国:フランス、イタリア
フィリップ・ドブロカ監督がジャン=ポール・ベルモンドと組んだ「リオの男」が大ヒットし、2匹目の泥鰌を狙ったもので、前作同様、異国情緒を取り入れようと、ネパールの首都カトマンズや香港、マレーシアなど世界各地で撮影されました。原作はジュール・ヴェルヌの小説「必死の逃亡者」です(原題の意味は、“ある中国人の中国における受難”)。主人公を中国人からフランス人にするなど、映画化に当たってかなり変更したようですが、気球を使うところなどヴェルヌの「80日間世界一周」に似たところがあります。大金持ちで何をしても面白くなく、生きる目標を無くしたアルチュールは何度も自殺を図りますが、どうしても死ねません。そこで殺し屋を雇って自分を殺してもらうことにしますが、逃げているうちに、生きていることの幸せを見つけ、殺すことをやめてもらおうとするのですが、本当に命を狙っている一味がおり、話がややこしくなります。
「リオの男」と同様、体を張ったアクション・シーンが展開されます。昔のコメディ映画と言えばチャップリンに代表されるスラップスティック・コメディ(スラップスティックは日本で言えば、ハリセンで叩くギャグのこと)で、フランスでも沢山作られました。「カトマンズの男」を子供の頃にテレビで見て、大笑いした記憶がありますが、時代によって笑いの感覚はずれていっているので、若い人が見ても面白くないかもしれません。しかし、観客を理屈抜きに楽しませようというエネルギッシュなベルモンドの演技は、今、見ても色あせることはありません。因みに、ベルモンドのスタント・シーンがベストな映画は「恐怖に襲われた街」だと思います。アクション映画なのに、おどろおどろしい曲を使ってサスペンスを無理に融合させようとしたため、映画全体の出来は珍妙ですが、刑事を演じるベルモンドが犯人を追って屋根の上や列車の上を走るシーンは必見です。彼のスタント・シーンはスタントマンかな?と思って見ていると、カメラが寄っていき本人であることが分かるのです。
配給会社「エデン」代表・江戸木純がベルモンドの魅力を語っていますので、興味のある方は見てみてください。
18分、アルチュールが殺し屋?に追われて逃げ込んだ香港のキャバレーではアレクサンドリーヌがストリップをしています。但し、通常のストリップとは異なり、最初は裸で始まり(扇で隠しています。予告編で一瞬、そのシーンが出てきます)、ブラジャーとパンティー、手袋、ストッキングとハイヒールと順に服を着ていきます。最後にファンを腰に巻き、マントを羽織って終わります。服を着ていくところはカットを切り替えており、実演はしていません。本当に演じれば手品の新しい現象になるのですが、やっているのはSORAくらいです。因みに、社交ダンスやフィギュアスケートでは、演技中に衣装チェンジをする人がいます。例えば、北京オリンピックで金メダルを取ったロシアのフィギュア・スケーター、Anna Stanislavovna Shcherbakovaは2019~2020年シーズンのフリー・スケーティング「火の鳥」でスピンの間に青から赤の衣装に変えています(以下の動画の2分半のところ)。
次回はベルモンドの映画「いぬ」を紹介します。