パリ・オリンピックが終わりましたが、私の周りの人たちはあまり話題にしていなかった感じです。日本の金メダル数は減ると予想しましたが、今まで金が取れていた柔道や水泳が振るわなかった穴を今までメダルを取ったことが無い種目が埋めた感じです。又、ロシアが参加しなかったので、他国にロシア分が振り分けられたこともあるでしょう。テレビで見ていると“にっぽん”コールが聞こえることはあまりないですが、今回は色々な競技で耳にしました。多分、外人の観客も一緒にしていると思われ、応援のやり方も変わってきているのでしょう(因みに、“日本ちゃちゃちゃ”というコールは、1981年のワールド・カップ・バレー女子、日本対アメリカで試合中に足を痛めた三屋裕子選手を励ます応援として自然に始まったそうです)。
オリンピックのテレビでの観戦の合間を縫って色々なイベントに参加しました。8月4日はホテル・アウィーナ大阪で「第6回RRMCマジックカーニバル」(¥3,500)。大昔に何回か参加したことがありましたが、今回は24年ぶりの開催。ステージ・マジックは自主的な発表会があちらこちらで行われる関東の方が盛んですが、クロース・アップ・マジックはRRMC、IBMなど関西の方が強いです(因みに、関東では荒井晋一主催の「たっぷりとクロース・アップ・マジック」以外、そういったショーは殆ど行われていません。因みに「たっぷりと…」は10月27日に第40回が行われる予定で、今回で最終回のようです)。お土産は赤松洋一の「アルティメイト・ダイス・スルー・ペン」と8月9日にフレンチから発売された月間哲也の「ミニ・イリュージョン」。RRMC会員によるショーは、ネタを披露して投票で翌月の会長を選ぶという例会のスタイルで、会の雰囲気が出ていてよかったです。沙門零は財布へ通うカード、月間哲也は鉛筆の向きが変わるトリック、深井洋正は口臭スプレーとライターの小ネタなど、馬島正尚はサイン・カードが封をしたケースから出てきて、デックはオーダーが揃っている、赤松洋一はグラスを貫通するコイン、庄野勝吉は財布の中のコインの変化、宮島昇はキティちゃんを落ちに使ったトリック、石田隆信はロープからのシルク抜け、岸本道明は「リピートリール」をベースとしたコインの出し消しで、シェルではないことをその都度、改める。他に谷英樹は、変わったエニエニ。亡くなられた方の追悼映像上映。客ひとりずつに見せるダーマス益田の覗きからくり、宮中桂換はスライディーニについての講演と実演(シルクとワンコイン・ルーティーン)、お土産マジックの解説、庄野隊長によるオークション。ショーの一人目はジョニオで、袖コイン、ウールを使ったジプシー・スレッド、チャーミング・チャイニーズ・チャレンジ。トリのシオミは、あしたのジョーや鬼太郎のギャグを盛り込みながら、4枚のAと3枚のカードによるアセンブリー、チョップカップ、ミニカーを使った予言。1位:赤松洋一、2位:庄野勝吉、3位:岸本道明。才能あるアマチュア、プロ・マジシャン、ディラーの方々が集まって、それぞれの個性を活かせば面白くないはずはありません。お土産だけで入場料の元が取れてしまいとってもお得。来年も行うとのことですから、特に関西の人は参加必須ですね。コンテスト、レクチャー、ディラーショー、ガラショーといった一般的なイベントのプログラム構成とは異なる、RRMCらしいものを次回も期待しています。
8月12日はえんため茶屋よっ鎌倉!で「カズ・カタヤマ スペシャル」(夜の部\8,000)。ゲストのカズ・カタヤマのショー&レクチャー、食事をしながらのトーク。レクチャーはマジック・マーケットで販売された「ガク!の書」(\2,750)と先週、発売されたばかりの「KAUS」(\1,980)に掲載されているものを主体に行われました(「ぱけっと」「水と油」「四種のリバースマトリックス」「 三種のコインの飛行」「 三種の肘、膝、首くん」「コインの飛行」「赤と黒」「シン・ナイトメア」など)。アンコールはショーの最後を締めくくる「小さくなるトランプ」。静で終わるトリックは観客の記憶に残ります。「赤と黒」は赤裏と青裏のデックを使ったトリネタに使える手順で、ちょっとやってみたくなりました。
通常、夜は食事と30~40分くらいのクロース・アップ&サロン・マジック・ショーで、ゲストは日替わりです。一太郎、カズ・カタヤマ、ぺるなど、実力ある人達ですので、是非、近場の方は1度行ってみてはいかがですか?食事も美味しかったです。
来場客が増えたことによる嬉しい騒音問題で9月末で閉店することになりましたが、鎌倉での活動を続けていくそうですので、これからの活躍に期待しましょう。
今週のフレンチの新製品、Tobias Dostalの「Liquify」は、5月18日に横浜高島屋で行われたテンヨーの「マジック・ファン・ミーティング 2024」のレクチャーで話題になったものです。まるで「ターミネーター2」の世界ですね。Tobias Dostalはサングラスやロリポップといった変わったものを使ったトリックで注目されているクリエーターです。
第52、53回に紹介した「さらば友よ」「ボルサリーノ」で主演したアラン・ドロンが亡くなりました。歴代の二枚目俳優ベストテンを選ぶと、3位以内に入ってくる超イケメンです。因みに、二枚目だと最も思ったのは、最初に脚光を浴びた1959年の「お嬢さんお手やわらかに!」です。女たらしの男が、捨てられた女性たちに復讐されるというコメディで、映画としても面白かったです。でもまあ、1本見るとしたら「太陽がいっぱい」ですね。手品でもそうですが、広げた風呂敷を畳んでいき、最後にどう話を終わらせるか(どう落ちをつけるか)が重要ですが、そういった映画の代表例です。ニーノ・ロータの主題曲は聴いたことがあるでしょう。
では、いつものように予告編から。
原題:Le Doulos
監督:Jean-Pierre Melville
原作:Pierre Lesou
出演:Jean-Paul Belmondo(Silien), Serge Reggiani (Maurice Faugel), Michel Piccoli(Nuttheccio), Rene Lefevre(Gilbert Varnove)
製作:Les Films Arian、他
公開:1963年
上映時間:109分
製作国:フランス
アラン・ドロンの「サムライ」などで知られるフィルム・ノワールの巨匠、ジャン=ピエール・メルビルの犯罪映画です。タイトルの“Le Doulos”のデュロスとは帽子の意味ですが、隠語では“帽子を被る者”、いわゆる警察への密告者を指し、仲間の中で誰がいぬか?と疑心暗鬼になり、最後は自滅していくというストーリーです。
冒頭6分、刑務所を出所したばかりのギャング、モーリスは仕事仲間のジルベールの家を訪ねます。そこで2人は会話をしますが、モーリスは話しながら手に持った4枚のコインでフラリッシュを行っています。手のアップもありますが、俳優の全身が映って演じているところもあり、かなりうまいです。
下記のオープニング映像で見られます(手のアップのショットはカットされています)。
このフラリッシュが、コイン・マジックの本に解説されているのを見たことがありませんし、コインマンでやっている人を見たこともありません。やり方については、「Four of a Kind Vol.7 No.4」に解説しましたが、ここに転載しましょう。
現象
4枚のコインを重ねて持ち、トップからボトムへと片手で1枚ずつコインを回します。
演技
コインを重ねて、右手の人差し指、薬指で挟んで持ちます(図1)。
親指を指先側のコインの薬指近くに当て、人差し指に押しつけながら1枚だけ上へ押し上げるようにして抜き出します(図2)。
半分ほど突き出た状態になったら、手前に倒し、3枚の上に乗せます(図3)。
そして親指で押し下げ、内側のコインに重ねます(図4)。この外側から内側へコインを移す動作を繰り返します。
そう言えば最近、「Four of a Kind」のコピー品がヤフオクに出品されています。「コピーですか?」と質問したところ、「初期の発売品はコピーされて販売されていたようです」との返答。最初にコピーで出して、その後、印刷して出すというのは費用的に考えてもないですよね。因みに、コピーで販売したことはありませんので、買わないようにしましょう。
次回は同様のフラリッシュが登場する「007カジノロワイヤル」(2006年版)です。
1) 栗田研:「コインのフラリッシュ」『Four of a Kind Vol.7 No.4』(チェシャ猫商会, 2004) p.237
2) 栗田研:「映像の魔術 いぬ」『Four of a Kind Vol.7 No.4』(チェシャ猫商会, 2004) p.239
7月24日 9時55分~ 「じゅん散歩」 テレビ朝日
8月11日 10時30分~ 「ハクション大魔王 #5」 Tokyo MX
8月13日 11時50分~ 「ぽかぽか」 フジ
8月17日 23時~ 「アナザースカイ」 日本テレビ
8月20日 3時35分~ 「ダイアンのガチで!ごめんやす」 Tokyo MX