漫画、ドラマ、映画には見ている人が分かりやすいように基本的な演出の仕方があります。それを知らなくても見ている側にはそれほど不都合はありません(無意識に理解している)。例えば、イマジナリー・ラインというものがあります。ネットで色々な例を挙げて説明していますが、下記のサイトが映像で説明していて分かりやすいので、興味ある方は読んでみてください。
手品の場合でもあります。例えば、ステージ・マジックの解説書では体の動きが入るので、演者の正面から写した写真がよく使われますが、クロース・アップ・マジックの解説書では演者から見た写真の方が一般的です。その方が読み手は理解しやすいのですが、書き手からすると、演者の正面からの方が写真が撮りやすいわけです(演者の目線だと、肩越しに写す必要がある)。演者と観客の間にもイマジナリー・ラインがあります。絶対に演者の目線の図にする必要はないのですが、方向を決めたら視点は変えるべきではありません。視点がコロコロ変わると、どっちを向いているのか分からなくなり、読み手が混乱するわけです。
又、舞台では上手の演者が下手を向いているなら、未来やポジティブさを意味し、下手から上手を向いているなら、過去やネガティブさを意味します。上手から下手へ向かう動作は自然な感じを与えるのは、縦書きの小説や漫画が右から左へ流れるのに慣れていることにもよるでしょう。下手から上手へ向かう動作はそれよりも弱い印象を与えるか、もしくは自然に逆らう印象を与えます。一般にバトル漫画での主人公の攻撃は上手から下手へ、敵に攻撃された場合には逆方向に流れます。つまり、ステージでは、どちらから出ても問題無いのであれば、演者は上手から下手へ流れた方が、法則には合っていることになります。テーブル・マジックでも上手から登場すべきだと主張する方がおられますが、テーブルには直ぐに行けるので、流れと言えるものにはならないと思います。強いて言えば、退場する時に次の演者とぶつからないでスムーズに進行できるくらいですが、ベルト・コンベアーのように次々と演者が登場する必要は無いので、同じ側から出て入っても構わないと思います。
映画でのイマジナリー・ラインの演出方法に関しては、岡田斗司夫が「スタンド・バイ・ミー」を題材に説明しています。因みに、この動画では映画のネタバレを含んでいますが、私のコラムでは、ここからネタバレするから知りたくない人はここでやめてくださいとは断りを入れません。だって、手品の種明かしで、ここからネタバレですと誰も言いませんよね?
では本題に。予告編とメイキングから。
監督:永井聡
原作:眉月じゅん
出演:小松菜奈(橘あきら), 大泉洋(近藤正己), 清野菜名(喜屋武はるか), 磯村勇斗(加瀬亮介), 松本穂香(西田ユイ)
主題歌:鈴木瑛美子×亀田誠治「フロントメモリー」
製作:映画「恋は雨上がりのように」製作委員会
配給:東宝
公開:2018年5月25日
上映時間:111分
眉月じゅんの同名のラブコメ漫画が原作で、アニメ化もされています(めちゃコミックで5話まで無料で読めます)。ファミレスの店長を務める近藤は45歳、バツイチ。典型的な“冴えないオジサン”ですが、誠実で人当たりが良く、お人好しな性格の主人公を、いい人が適役の大泉洋が演じています。脇役は、テレビ・ドラマ「この世界の片隅に」の松本穂香、テレビ・ドラマ「日曜の夜ぐらいは...」の清野菜名、「仮面ライダー・ゴースト」の磯村勇斗らが固めており、爽やかな作品に仕上がっています。
17歳の女子高生、橘あきらは陸上部のエースでしたが、練習中にアキレス腱を切り、落ち込む毎日。ある日、バイトしているファミレスで、店に携帯を忘れて自転車で走って行く客を、あきらは走って追いかけて渡すことができますが、足を再び痛めてしまいます。店長の近藤は謝罪のためにあきらの家へ挨拶に来ますが、母親は不在であきらと2人でファミレスに入ります。24分、足を痛めているあきらに代わって、近藤はドリンク・バーからコーヒーを取って来ます。テーブルにコーヒーを置き、「あっ、ブラック苦手だった?ちょっと待ってね」と右手を上着の右ポケットに入れ、何も持っていない空の手を出してきます。そして右手を握りながら左手でお呪いをかけて開くと、コーヒー・フレッシュが現れます。
手品シーンはちょっとしかありませんが、前回の「晴天の霹靂」と共にお勧めします。大泉洋はマジックのセンスがありますね。どちらも、Amazonプライムで見られます。次回はコイン・マジック繋がりで、「天国から来たチャンピオン」を紹介します。
9月15日 3時15分〜 「韓国ラブコメディ 今からショータイム」 J:COMテレビ