今回紹介する映画はこの1年で何度か放送されています。このコラムのトピックにも情報を載せたので、ちゃんと録画しましたよね?最近はAmazonプライムでも有料のものが増えてきているので、紹介した作品を気軽に見ることができません。トピックで紹介した映画はとりあえず録画しておき、その後、このコラムで取り上げられ、面白そうだったら見ればいいと思います(又は手品シーンだけ確認する)。
では、予告編から。
原題:Heaven Can Wait
監督:Warren Beatty, Buck Henry
原作:Harry Segall
脚本:Elaine May, Warren Beatty
製作:Warren Beatty
出演者:Warren Beatty(Joe Pendleton), Julie Frances Christie(Betty Logan), Buck Henry(案内人)
製作:パラマウント映画
配給:パラマウント映画/CIC
上映時間:101分
製作国:アメリカ
アメリカン・フットボールを題材にした映画を3本挙げるなら、これと「ロンゲストヤード」「ブラックサンデー」です。「ロンゲストヤード」は男の世界を描かせたら右に出る者がいないロバート・アルドリッチ監督の、刑務所で囚人らのチームと看守たちのチームがアメフトで勝負をするというヒューマン・ドラマで、元アメフト選手だったバート・レイノルズには打って付けの役です。Amazonプライムで有料で見られます。因みにこの作品はその後、2回リメイクされています。
「ブラックサンデー」の原作は「羊たちの沈黙」のトマス・ハリスで、監督は「大列車作戦」「フレンチコネクション2」の名匠、ジョン・フランケンハイマーです。日本では1977年夏に公開されるはずで、当時、私は前売り券も買っていました。しかし、登場するテロリストは実在の黒い九月を指しており、配給会社に脅迫文が送られてきたため、公開を中止し、私が見ることができたのはDVD化されてからでした。スーパーボウルで大量殺戮を企てるテロリストの企みを阻止しようとするイスラエル諜報員の活躍を描いた話で、実際にスーパーボウルの時に撮影し、主役のロバート・ショウが観客席の中を走る横で試合が行われており、臨場感のあるシーンは40年以上たって見ても見応えがあります。U-NEXTで見られます。
「天国から来たチャンピオン」は、アカデミー賞に9部門ノミネートされたファンタジー映画の名作です。クォーター・バックのジョーは交通事故に合い、気が付くと天国にいます。自分が死んだとは信じられないので天使に調べてもらうと、死んだのは間違いで、自分の寿命はあと50年もあることが判ります。地上に返してもらうことになるのですが、自分の死体は既に火葬されており、戻る体がありません。しかたがないので、死んだ直後の、まだ発見されていない死体に宿ることになるのですが...。昔でしたら、フランク・キャプラが監督しそうな、笑いとペーソスで人間愛を描いた作品です。この映画は1941年公開の「幽霊紐育を歩く」のリメイクで、昔から死んだ人が舞い戻るという設定はよくあります(更に本作は2002年にもリメイクされています)。1992年に放送された吉田栄作主演のテレビ・ドラマ「君のためにできること」は、多分、この映画からパクッたのでしょう。
映画では、ジョーがコイン・マジックを演じるシーンが2回出てきます。最初は10分、天国に連れていかれて、夢を見ているのだと思い、案内人相手に見せるところです。
それから71分、ベティーとデートをしている時にも披露します。どちらのシーンもワン・ショットではなく、編集で繋いでおり、消すところと、取り出すところは別々のショットです。消すところはかなり綺麗に演じており、おそらく、カメラの死角を利用してラッピングなどで処理したのでしょう。どちらも右手に持ったコインを左手に渡すというより、投げ込む動作です。
次回はプロ・マジシャンがコインズ・アクロスを演じる「プリティ・ウーマン」です。
9月22日 23時35分~ 「世界マジック紀行 IN スペイン(再)」 NHK BS
1) 栗田研:「映像の魔術 天国から来たチャンピオン」『Four of a Kind Vol.2 No.4』(チェシャ猫商会, 1999) p.79