コラム | マジック用品グッズショップ（手品ショップ）フレンチドロップ

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第61回プリティウーマン(2024.9/27 up)

ニュースを見ていて、何故、振り込め詐欺に引っかかる人がいるのかと疑問に思うあなたはまだ若いです。その根底には、人は嘘をつかないことを前提としている、トゥルース･デフォルトがあります。手品の場合、例えばマジシャンが口上で、「昨晩、枕元に現れたマルローから１枚のカードを予言として貰いました」と言ったとしても、本当のことではないわけで、それはいわゆる演劇で「人を殺してしまった」と言うのと同じで、嘘であることは演技上のお約束ごとです(因みに、ランディ･ウェイクマンは、夢にマルローが出て来て、「おまえはレインボー･デックを作るべきだ」と言われて、製作したそうです)。どうせ観客には本当のことではないとばれているんだから適当にやっていいかと言うと、そうではありません。特にステージ･マジシャンは役者であるべきで、その演者の善し悪しの50%以上は演技力と人柄にかかっていると思います。クロース･アップ･マジックから入ったプロ･マジシャンがステージをやると演技力不足が露呈する方がいますが、ステージ･マジックから入ったプロ･マジシャンがクロース･アップ･マジックをやっても見せられる演技の人が多いです。何が言いたいのかと言うと、オイル＆ウォーターの12536番目のバリエーションを考えるのもいいですが、演者としてステップ･アップするには、ステージ･マジック(しゃべらずに)もやりましょうと言うことです。

では本題に。予告編をどうぞ。

『プリティウーマン』

原題：Pretty Woman
監督：Garry Marshall
出演：Richard Tiffany Gere (Edward Lewis), Julia Fiona Roberts (Vivian Ward), Jason Randal (Magician)
主題歌：Roy Kelton Orbison
製作：タッチストーン･ピクチャーズ
配給：ワーナー･ブラザース
上映時間　119分
公開　1990年
製作国：アメリカ

“ウォール街の狼“と呼ばれる実業家と売春婦が出会い、次第に惹かれ合う姿を描いた、「マイ･フェア･レディ」を下敷きにした現代版シンデレラ･ストーリー。ロイ･オービソンの「オー･プリティ･ウーマン」が主題歌に起用され、リバイバル･ヒットとなりました。

映画は、屋外のパーティで4枚を使ったコインズ･アクロス(エキストラ･コインを１枚使用)を演じる手のアップから始まります。手順は最終段階で、右手に1枚パームしており、左の客の掌には3枚、右の客の掌には1枚あります。左の客の掌からコインを右手で1枚ずつ取り上げ、左手に投げ込んでいき、3枚目を投げ込む時にパームしていたコインも加え、4枚を左の客に握らせます。右の客のコインを取り上げ、フェイク･トスで左手に握ったように見せて消します。左の客に手を開けて4枚を示させる時に、右手を上着の右ポケットに入れ、エキストラ･コインを処理し、代わりにジャンボ･コインをパームして出してきます。左の客の掌にあるコインを1枚取り上げ、シャトル･パスのようにしてジャンボ･コインに変えます。「もう1枚はどこかな？」と言いながら、左手にパームしているコインを左の客の耳から出します。カメラはパンして、パーティの参加者を映します。Amazon プライムで見られますので、冒頭だけでも見てみてください。

この映画でトップ･スターとなったジュリア･ロバーツは見事なスタイルを披露していますが、ボディ･ダブル(代役)だそうです。騙された、金返せ！チェンジだ、チェンジだ！ボディ･ダブルと言えば、そのものが映画タイトルになっているブライアン･デパルマ監督作品があります。ヒッチコックの「裏窓」「めまい」をモチーフにした、売れない怪奇映画俳優が友人の家の窓から事件を目撃するという話で、批評家の評価は何故か低いですが、デパルマ得意のカメラ･ワークが冴えており、私は好きな映画です。

次回もコイン･マジックが登場する作品を紹介します。