今週のショップへの問い合わせ。「食べられる風船て、消費期限あるのですか?」
さて、本題へ。古い映画なので画質が悪いですが、予告編です。
又、パブリックドメインなので日本語字幕付きでアップされているものがありました。冒頭の15分なのでまだ面白くならないですが...。
原題:The Lady Vanishes
監督:Alfred Joseph Hitchcock
原作:Ethel Lina White(The Wheel Spins)
出演:Margaret Lockwood(Iris Henderson), Michael Redgrave(Gilbert), May Whitty(Miss Froy), Philip Leaver (Signor Doppo)
配給:メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、20世紀フォックス
公開:1938年(日本公開1976年)
上映時間:97分
製作国:イギリス、アメリカ
これはスパイ映画で、題名から想像されるように列車が舞台です。車内で会話した女性がいつの間にか消えてしまい、他の乗客たちに聞いても、そんな人は乗っていなかったと答えます。ウィリアム・アイリッシュの小説(「幻の女」など)にありそうな設定で、最近の映画ではジョディ・フォスターの「フライトプラン」があります。原作があるので、ストーリーがしっかりしており、ヒッチコックのイギリス時代の最高傑作だと思いますので、是非、見てください(他に「海外特派員」もお勧めです)。窓ガラスに書いた文字、紅茶のラベルなど、小道具の使い方が実にうまいです。又、その後に作られた列車が登場する「007ロシアより愛を込めて」や「オリエント急行殺人事件」にも影響を与えました。
冒頭の、山脈から駅へカメラが降りていくドローンで撮影したようなワン・ショットはミニチュアのセットです。この頃は今のような特撮技術は無かったので、色々と工夫しています。31分、乗客としてドッポというイタリア人の巡業中の手品師が出てきて、車中のコンパートメントで子供に手品を見せるシーンがあります。ほんのちょっとなので、何をやっているのかは判りません。何かにハンカチを掛けて消したようです。61分、貨物室のシーンで人体消失箱?のようなものが出てきます。ドッポと格闘し、相手をその箱に閉じ込めたと思ったら、抜け穴があり、いなくなっています(箱は手品用の大道具)。又、“貴婦人消失”という原題ですから、他にもマジックに関する会話、例えば、少年がロープを登る「ヒンズートリック」の話や、「アブラカタブラ」(吹き替えだと「ジャジャーン」となっていました)と言うところが出てきます。
1979年にエリオット・グールド、シビル・シェパード主演でリメイクされました(邦題「レディ・バニッシュ/暗号を歌う女」)。クラリネット奏者が記者になるなど、キャラクターに多少の変更がありますが、ほぼ同じストーリー展開です。こちらには手品師は出てきません。音楽はリチャード・ハートレイというあまり有名じゃない作曲家ですが、ヒッチコック映画の常連だったバーナード・ハーマンぽい曲で、ヒッチコック作品らしい雰囲気を出そうとしています。こちらは出来は悪くないですが、列車の撮り方はヒッチコック版の方が上ですね。
1) François Roland Truffaut:『ヒッチコック映画術』(昌文社, 1981)
2) Robert A. Harris, Michael S. Lasky:『サスペンスの魔術師アルフレッド・ヒッチコック』(シンコーミュージック, 1995)
3) 植木甚一:『ヒッチコック万歳!』(昌文社, 1976)
4) 栗田研:「バルカン超特急」『Four of a Kind Vol.1 No.3』(チェシャ猫商会, 1997) p.30
5) 山田宏一、荻昌弘、他:『世界の映画作家12アルフレッド・ヒッチコック』(キネマ旬報社, 1971)
11月12日 22時~ 「火曜は全力!華大さんと千鳥くん」 フジ
11月24日 20時55分~ 「家、ついて行ってイイですか?」 テレ東
第46回で紹介した「スリ」(上映時タイトル「文雀」)がヒューマントラストシネマ有楽町で2回だけ上映されました。
11月17日(日)16時20分~(上映後イベント付き)、11月19日(火)21時~
先日、開催された東京国際映画祭で監督のジョニー・トーが来日し、10月31日にトークショーが行われ、この模様はYouTubeで見ることができます。
11月29日~ 第16回で紹介した「ルパン三世 カリオストロの城」が公開45周年記念として全国で上映されます。