このコラムでは手品の出てくる映画について紹介していますが、ストーリー自体については手品シーンを説明するために書くだけで、必要以上に触れていません。それは、ウィキペディアなど色々なところに書かれており、ネットで調べれば分かるからです。しかし、あちこちの映画レビュー・サイトに書かれたストーリーはどれも一言一句、同じだったりで、手抜きもいいとこです。ネットのどこかに書かれたものを誰もがコピペし、蔓延したわけですが、自分で書けと言いたくなります。又、YouTubeでは映画の解説動画がウジャウジャとありますが大半は、スチール写真を見せて、単にあらすじを話すだけだったり(しかも、合成音声だったりする)、対談形式で映画を紹介していくものでも、「私、この監督の映画を見るのは初めてなんですよ」と臆面もなく言ったりと(語る資格無し)、見るだけ時間が無駄なものばかりです。そんな中で私がチェックしている動画を3つ紹介しましょう。私がここで紹介した作品について語っていることもあります。
ひとつ目は、以前にこのコラムでも取り上げた岡田斗司夫のチャンネル。本人はアニメ関係の仕事をしていただけあって、解説が特に専門的で細かいです。宮崎駿監督作品が多く、「未来少年コナン」に関しては、全26話を1話ずつ、短いものは十数分、長いものは40分もかけて解析しています。
映画の解説もしていますが、アニメ好きな人には特にお勧めします。
2つ目は馬場康夫の「ホイチョイ的生活~この1本から~」。ある監督や俳優、あるジャンルを取り上げ、その中でお勧めの1本を紹介する動画で、リスナーの理解力を無視して置き去りにした、機関銃のように早口のトークがある意味、魅力です。「私をスキーに連れてって」などを監督した人で、業界のことにも詳しいです。以下は、このコラムで紹介予定の「リオブラボー」を監督したハワード・ホークスについて紹介しています。
3つ目は、居島一平・坂本頼光の「暗黒迷画座」。毎回1本、名作、珍作、怪作を紹介していくもので、スチール写真を殆ど使わず、出演者の声色を真似たり、BGMを歌ったりしての再現がとても上手く、漫才も盛り込まれており、M-1なんかよりも全然笑えます。これもやたらトリビアや逸話を盛り込んでおり、こんなマニアックな作品を取り上げるの?といったものもあり、嬉しいです。小説、歴史、サブカルなどに関しても知識が豊富で、次々と話が飛ぶので、少なくともある程度、映画に詳しくないと着いていけないかもしれません。 前回紹介した「バグダットカフェ」について語っています。
では、予告編からどうぞ。
原題:Magic in the Moonlight
監督:Woody Allen
脚本:Woody Allen
出演:Colin Andrew Firth(Stanley Crawford), Emily Jean "Emma" Stone(Sophie Baker), Simon Montagu McBurney(Howard Burkan), Marcia Gay Harden(Mrs. Baker)
Magic Consultant & Illusions:Erick Lantin & Valerie
配給:ソニー・ピクチャーズ クラシックス
公開:2015年
上映時間:97分
製作国:アメリカ、フランス
冒頭、1928年のベルリン・シアターでの、ウェイ・リング・ソーによるマジック・ショーのシーン。ストラビンスキーの「春の祭典」をBGMに、ジークフリート&ロイもやっていた像消し。ここはワンショットで本当に演じています。女性が箱の中に寝た状態での胴切り。ここは切断して、台を左右に分けるところのみのシーン。ウェイ・リング・ソーがツタンカーメンの棺桶に入って消え、離れて背を向けて置いてあった椅子が回転すると座っているという移動現象。ここは棺桶に入って消えるところは本当にやっており、助手が舞台袖へはけたところと、椅子から出てくるところを編集で繋いでいます。
ウェイ・リング・ソーの本名はスタンリーで、イギリス人です(この芸名からこの役が、程連蘇(Chung Ling Soo)と名乗っていたWilliam Ellsworth Robinson (1861-1918)がモデルであることは、マジックをやっている人であれば、直ぐに気がつくでしょう。知らない方は、ウィキペディアを読んでください)。楽屋でスタンリーは、旧友のマジシャン、ハワード・バーカンから頼みごとをされます。コート・ダシュールにいるアメリカ人のキャトリッジ家がソフィ・ベイカーという霊能者の虜になっており、自分ではソフィのインチキを暴くことができなかったので、代わりに彼女のトリックを暴いてほしいということです。そこで、スタンリーはハワードと共にコート・ダシュールへ赴くことにします。
28分、スタンリーとハワードはソフィの降霊術に立ち会います。グレース・キャトリッジの夫だったハリーの霊を呼び出すシーンでローソクが浮き、それをバーカンは掴みますが、種らしきものはありません。
コリン・ファースが演じるスタンリーというマジシャンは、ウディ・アレンが映画でよく演じるような、理屈っぽく神経質で面倒な男。スタンリーは霊能者のイカサマを暴こうとしますが、ソフィと恋に落ちるという話で、対立したところから始まる恋愛物のよくあるパターンです(刑事と泥棒とか判事と弁護士など)。当時、エマ・ストーンが26歳だったのに対し、ファースが54歳と年を取り過ぎた感があります。冒頭のマジック・シーンに派手さはあり、後の伏線にもなっています。コート・ダジュールへ行ってからは、マジックに関して、会話では出て来ますが、演じるシーンはありません。ウディ・アレンの映画の中で、興行的にはそれほど振るわず、評価も特に良くなかったので、無理に見なくてもいいでしょう。
次回は降霊術に傾倒したフーディーニと霊能者の恋を描いた映画「奇術師フーディーニ ~妖しき幻想~」です。またもマジシャン対霊能者という設定。では、良いお年を!
12月21日 17時~ 「ドラえもん メロディーガス」 テレビ朝日
12月22日 0時58分~ 「有吉ジャポンⅡ ジロジロ有吉」 TBS
12月22日 10時~ 「リーダーズ サーチ!街でウワサの匠さん」 テレビ朝日
12月26日 15時50分~ 「相棒8 #13」 テレビ朝日
1月1日 21時~ 「月曜から夜ふかし 元旦SP」 日本テレビ