コラム | マジック用品グッズショップ（手品ショップ）フレンチドロップ

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第82回　フーディーニ＆ドイルの怪事件ファイル謎解きの作法　第７話　ベドラムの悪魔(2025.2/28 up)

２月24日にTBSで放送した「クレイジージャーニー」はポーカーがテーマでした(#256「優勝賞金5億円！ポーカー世界三大大会ラスベガスの旅」)。プレイヤーたちはゲーム中、積み上げたチップを片手で２つに分け、両方を噛み合わせることでテーブル･リフル･シャッフルをしています。番組を見ながら、この技法を習得すれば、チップをシャッフルしているように見せかけて、セットを崩さないようにすることができるなと思いました。コラムの第55、56回で紹介したフラリッシュをやっている人もいました。この番組は、３月３日22時まで見逃し配信しています。

ジョシュア･ジェイが３月に来日し、大阪、名古屋、東京でレクチャーを行います。コロナ以降、来日マジシャンによるレクチャーは激減しました(あったとしても、台湾、韓国といった近場)。ジョシュア･ジェイは過去３回来日していますが、３回とも私が企画しました。当時、学生だった彼と４Fで何度か会い、最初は2002年の夏休み中に呼びましたが、その時はここまで成功するとは思いませんでした。以下は１回目と２回目に呼んだ時に作ったレクチャー･ノートです。興味ある方は、フレンチの方へ問い合わせてみてください。要望が多ければ、レクチャーの時に仕入れておいてくれるかもしれません(レクチャー予定の「Charming Chinese Challenge」は１冊目に載っています)。彼のトリックは、ストーリーを作ることと、既存の作品の欠点を改良するのが上手いという印象です。

又、通常、レクチャーでは種明かしをしていない最新のものを、実演だけします。３回目に来日した時には、「Trojan Deck」「Balance」を演じ、その後、売り出されました。新しいものが見られるかもしれませんので期待しましょう(何もやらなかったらすみません)。

彼の動画をふたつ紹介します。後者は初心者向けのデモ映像ですが、普通の手品も上手いです。

東京は満席だそうですが、大阪はまだ席がありますので是非どうぞ。

『フーディーニ＆ドイルの怪事件ファイル謎解きの作法　第７話　ベドラムの悪魔』

原題：Houdini & Doyle
監督：Robert Lieberman
出演：Michael Weston(Harry Houdini), Stephen Mangan(Arthur Conan Doyle), Rebecca Liddiard(Adelaide Stratton), Tim McInnerny (Horace Merring), Emily Carey (Mary Conan Doyle)
Escape & Magic Consultants：Danny Hunt, Stephanie Clark
シーズン数：1
話数：10
製作：fox（アメリカ）、ITV（イギリス）、global（カナダ）
放送：2016年４月21日(イギリス)

教会で懺悔中の女性が突如暴れだし、神父に襲いかかり、そして突然、死にます。女性は精神科病院のベスレム王室病院、通称“べドラム”の元入院患者で、首には謎のじんましんの後が残されていました。べドラムに捜査へ向かった３人はそこで自らをシャーロック・ホームズと名乗る患者と会いますが…。

今回もマジック･シーンは出て来ません。強いて言えば、病院で拘束着を着せられた入院患者に、フーディーニが「そういう服、僕も持ってるよ」と言います。又、ドイルが毒を飲まされて死にそうになり、しらを切る容疑者から解毒剤を手に入れるため、フーディーニは相手の紅茶に毒を入れ、解毒剤を出して飲まないとおまえも死ぬと脅しをかけます。本当に毒を入れたのか、はったりだったのかは描かれていませんが(恐らく、後者でしょう)、マジシャンであればこっそり紅茶に毒を入れることは容易いと相手は思って、引っかかってくれるはずです。みなさんもこういった場に遭遇したら１度試してみるとよいでしょう。

今回は精神病院が舞台なので、レオナルド･ディカプリオの「シャッター･アイランド」からアイディアを取って来たようなところが見られます。回を追うごとにマジックの要素が減ってきており、霊や宇宙人やモンスターといったものが主体になり、又、他の歴史上の偉人（ブラム･ストーカー、エジソンなど）も登場させることで物語に変化をつけようとしています。推理ドラマでは、探偵なりがトリックや真犯人を明らかにするところが見せ場なのですが、このドラマはそういうところはあっさりとしており、謎解きはメインになっていません。又、そうでなければアクション･シーンを入れたりして見せ場を作るのですが、それも中途半端です。ひとつには、アデレード巡査のサイド･ストーリーを盛り込んでいることで、話が平行して進むため軸が定まらないことが要因でしょう。アデレードの秘密が４話ぐらいから徐々に明らかになっていき、一応、10話で一区切りになります。撮影している段階では次のシーズンを続けるか決まっていないのですが、通常、そのシーズンの最終回は次も見てもらうために、盛った終わり方(主役の誰かが殺されて生死が分からないなど)をします。それなのに打ち切りになると、余計気になるんですよね。間違いなく、アメリカやイギリスの連続ドラマの半分以上は、そういう末路を辿っているでしょう。