ちょっと前の話ですが、2月24日に練馬文化センターで行われた「夢奇房 第21回公演 ホテル モイア」に行ってきました。
このコラムの第30回で「第20回公演 フィスカル」の感想を書きましたが、今回も期待にそぐわず素晴らしい発表会でした。1部45分、2部55分と丁度良い上演時間。今回の“なりたいと願う自分の姿になれる”というホテルへ迷い込んだ女性が、色々な人に出会うというストーリーは、自分探しといったベタなテーマですが、とても分かりやすく、その要因のひとつは、登場人物に横文字の名前を付けなかったことでしょう(例えば、“偉大なマジシャンになりたい富豪”といったように紹介され、そういった呼び名からもそのキャラクターがどういう人かが想像でき、ストーリーが理解しやすくなります)。
記号のような短いカタカナ名で何人も出て来ては、覚えられませんよね?又、毎度のことながら、進行(照明、音響など)は観客にストレスを感じさせず、適切なタイミングで次へ進むので見ていて気持ちがいいです(照明は学生の発表会でも利用されている斉藤舞台照明だから、マジックの舞台は手慣れたもの?)。各演者の選曲も秀抜で、演技も音に合わせています(例えば、けん玉で「運命」(sumika)、ジャグリング・カップで「スターマーカー」(KANA-BOON)、ディアボロで「太陽系デスコ」(ナユタン星人)など)。最近ではどこの発表会でも音楽が重要視され、それがスタンダードになりましたが、ひとつには、今は曲が探しやすく、一曲でも買えるようになり、音楽編集ソフトで手軽に編集できるようになったからでしょう。トリの秋山圭介氏はリンキング・リングとポケット・リングとを組み合わせた演技をテーマに長年、続けていますが、藤田麻衣子の「手紙 愛するあなたへ」と桑田佳祐の「明日晴れるかな」の選曲は、ここでそれを持ってくるの?!と感心するものでした。一般に、ネタ的にリンキング・リングがショーのトリを努めることはありませんが、このプレゼンテーションで最後の演技に相応しくなったのだと思います。
前回は演奏者たちが舞台下の脇で演奏したので、会場との一体感があり、そこが良かった点でしたが、今回は会場の都合でステージ後方だったので、生演奏が前回よりも目立ちませんでした(途中休憩時間にも1曲だけ「Fly Me To The Moon」を演奏しましたが、曲が終わったところで拍手があったことで演奏しているんだと気づいた人も多かったようで、せっかく注目を得たのですから1曲でやめずにもう1曲演奏してほしかったです)。
注文を付けるとすれば、記録のためにも、プログラムには開催日と会場名を入れた方がいいと思います。出演者はマジシャン以外にジャグリング、歌、芝居をする人が出て来ますが、みんな自分の役割を全うしており、その芸の専門じゃないところが凄いです。例えば、ある年の発表会では演奏者として出ていたので手品はやらないと思っていたら、その次の時にはマジシャンとして出演したりといったように(過去にマジック・クラブだけでなく、演劇部などに所属していた人もいるので、色々できる人が多く、又、演劇の稽古などもしているようです)。以前にも歌で出演したという荒井彩花さんは歌い出した瞬間に上手いと思わせる歌唱力のある方なので、生演奏で歌うか、トリの曲を生歌、生演奏にするともっと良さが出せたでしょう。中心演者だった森藤麻衣子さんは今回は演出に回りました。昔、立教大学マジック研究会の発表会やテンヨー大会ではミリオン・カードや鳩出しを爽やかなイメージで演じ、投げた鳩がだいぶたってから戻ってきて肩に留まるというランス・バートンも真っ青のハプニングが印象に残っていますが、去年はダークな魔女の役を演じ、今回は更にキャラ立ちしたアシスタントとして新境地を開拓しており、今後が楽しみです。
原題:Houdini & Doyle
監督:Jeff Renfroe
出演:Michael Weston(Harry Houdini), Stephen Mangan(Arthur Conan Doyle), Rebecca Liddiard(Adelaide Stratton)
Escape & Magic Consultants:Danny Hunt, Stephanie Clark
シーズン数:1
話数:10
製作:fox(アメリカ)、ITV(イギリス)、global(カナダ)
放送:2016年5月5日(イギリス)
ナイアガラにある“幽霊屋敷”と噂される屋敷に暮らすリード夫妻。ある夜、剣で壁に突き刺されて死亡している夫を発見したリード夫人は、ポルターガイストの仕業(昔、その家に住んでいたターナーという男が、家族を惨殺し、自分もオークロフト岬から飛び降りて自殺した事件があった)だと主張します。フーディーニは母親の葬儀のためにアメリカへ帰ります。又、アデレードは殺された夫が無政府主義集団の一員で、世界各地で起こった要人暗殺に関係していたと考え、それを調べるためにドイルと一緒にカナダへ行きます。そこで、怪事件をいくつも解決している実績から、ついでに事件の捜査を依頼され、偉大な発明家トーマス・エジソンに会います。彼は“霊界通信機”と名付けられた死者と会話ができる新しい発明品を使い、ポルターガイストの正体を暴くというのですが…。17分、葬儀が終わり捜査に合流したフーディーニはエジソンの霊界通信機が科学的根拠のないおもちゃだと言い、エジソンが「手品で喰っている人間に言われたくないね」と言ったのに対し、「じゃあ、こんな手品はどう?」と素手で持った電球を点けてみせます。3人はリードの家に泊まり、夜中にアデレードが寝ていると、ひとりでに椅子が動き出し、ポルターガイストが起きます。霊界通信機から聞こえてきた言葉「オークロフト岬」に従って海へ行くと、エジソンの助手のアバリが崖から落ちて死んでいます。そして靴に付着していた赤い土から、アバリはリードの家の地下室で殺された後、海岸へ運ばれたことが分かります。殺された理由は、地下室に置かれていた電磁石を見つけたからです(床下から磁石で椅子を動かすことで、ポルターガイストを起こしていた)。果たして、エジソンが犯人なのでしょうか?又、アデレードの夫は生きていることが明らかになり、第1シーズンも終盤、舞台はアメリカ、カナダへと移り、物語の展開が速くなってきています。
第10話(最終回)にはマジック関連のシーンは出て来ません。従って書く必要は無いのですが、気になる方のために書いておきましょう。
原題:Houdini & Doyle
監督:Jeff Renfroe
出演:Michael Weston(Harry Houdini), Stephen Mangan(Arthur Conan Doyle), Rebecca Liddiard(Adelaide Stratton)
Escape & Magic Consultants:Danny Hunt, Stephanie Clark
シーズン数:1
話数:10
製作:fox(アメリカ)、ITV(イギリス)、global(カナダ)
放送:2016年5月12日(イギリス)
引き続き、北米が舞台です。カナダの村で一夜にして村人47人が死亡するという事件が起きます。唯一、生き残ったのは牧師のファーリーで、事件前夜に礼拝堂で眠ってしまい、翌朝、死んでいる村人たちを発見したのでした。捜査に向かったフーディーニら3人は有毒水が死亡の原因ではないかと考え、下流の村へ向かい住民に水を飲まないよう警告します。しかし先住民であるウォルトは聞く耳をもたず水を飲み続けていても何ともありませんでした。又、死んだと思われていた1人の少女が息を吹き返します。助かった2人の共通点は何だったのでしょう?翌朝、別の村で新たな犠牲者が3人見つかり…。中盤でその事件は解決し、後半はアデレードのサイド・ストーリーの回収になります。アデレードの夫は無政府主義集団のことを調べており、アデレードに身の危険が迫るから死んだふりをして姿を隠していたと言っていましたが、実は本当に無政府主義集団の一員で、アメリカ大統領の暗殺を謀るのでした。3人はそれを阻止しようとしますが...。
総評としては、ドラマとして大して面白くなく、主役がマジシャンなのに手品シーンもあまり出て来ないので、無理に見なくていいでしょう。因みに、Amazonプライムをやっていれば、1話¥200で見られます。
本来であれば、次回は引き続きフーディーニ関連の作品を紹介する流れですが、3月28日にテレ東で「ブラック・ダイヤモンド」が放送されるので、それについて紹介します。映画としては特にお勧めするものではありませんが、めったにテレビ放送されない作品ですので、マジック・シーンだけでも見てみてください。因みに、レオナルド・ディカプリオ主演の「ブラッド・ダイヤモンド」とは違います。
3月13日 19時~ 「突破ファイル」 日本テレビ
3月14日 19時30分~ 「デジモンアドベンチャー #52」 TOKYO MIX
3月14日 23時~ 「全力!脱力タイムズ」 フジ