帰りは飛行機で13時間と、ボストンは遠かったです。2001年にケープ・コッドで行われていたハンクリーのコンベンションのために通ったことはありました(「ザマジックVol.49」p.43のレポート参照)。その時は4月中旬で、寒い印象はありませんでしたが、今回は最高気温が10度と寒かったです。ところが、帰ってきたら日本もそこそこ寒かったです。向こうでは半袖の人をちらほら見かけましたが、寒さを感じないのは、肉襦袢を身に付けているからでしょうか?太っている人が多いわけですが、その割には劇場の座席の大きさは日本のそれと変わりません。もっと横幅の広い人のために大きくしてくれた方が、隣の人も圧を感じなくていいと思うのですが?
原題:Houdini
監督:George Marshall
原作:Harold Kellock
製作:George Pal
出演:Tony Curtis(Harry Houdini), Janet Leigh(Bess), Angela Clarke (Harry's Mother), Michael Pate(Dooley), Torin Thatcher(Otto), Douglas Spencer(Simms)
配給:パラマウント映画
公開:1953年7月2日
上映時間:106分
製作国:アメリカ
1890年代、若きハリー・フーディーニの夢は一流の手品師になることでした。しかし実際には、コニーアイランドのカーニバルで被り物をして野生の男、ブルートとしての見世物芸でした(それをやる代わりに、手品師としても出演させてもらっている)。たまたま見世物を見に来た寮生活の女学生ベスは、ブルートが調教師のシュルツに本当に虐められていると思い、攻撃から守ろうとし、ハリーはベスの優しさに一目惚れします。直ぐに着替えて、隣のステージでThe Great Houdiniとして出演します。紙をコーン状に丸め、ミルクを注ぎ入れ、砂糖も入れ、ウォンドでかき混ぜて、紙を開くと紙吹雪になります(ご想像の通り、ミルク・ピッチャーを使っていますが、砂糖を入れる時に、代わりに紙吹雪を入れているのはサラサラと音もしますし、ロードする良いアイディアです)。そしてベスを舞台に上げ、裾から毛花をスチールして渡します。ベスに自分の名前を紙に書かせて、燃やさせます。燃えた灰をハリーの腕に擦り付けるとBESSの文字が現れます。その後、ハリーのせいで見世物小屋は大混乱になり、首になります。ベスはハリーのことが気になり、男友達と別の見世物に行った時に、ハリーが出演しているのを見つけます。ハリーは体を縛られ、近づいてくる電動ノコギリに切られる前に抜け出るのですが、観客の中にベスを見つけ、見とれてしまい、もう少しで切られそうになります。ハリーは出演が終わってベスを探しますが、帰ってしまっており、見つけられませんでした。ベスは別の日に、別のショーを見に行きます。Tony Pastorsが若返りの薬の効果を披露するために、観客席から1人の老人に舞台に上がってもらいます。そして薬を飲むと老人は若返り、ハリーになります(編集による処理)。ベスは一端、帰りますが、戻ってきてハリーに惹かれていることを認め、その日の内に結婚し、新婚でハリーの家に帰ると、母親は2人を暖かく迎え入れます。初夜の翌日、ハリーはまだ寝間着を着ているベスを箱に入れて、ノコギリで切ります。ここはワンカットでできそうですが、何故か編集で繋いでいます。
ベスはハリーのアシスタントとなり、The Great Houdinisとして一緒に全国を巡業します。50人ぐらいしか入らない小さな会場で、ハリーは壺から沢山のシルクを出し、そのシルクから4個重なった金魚鉢を取り出します(編集で繋いでいます)。そして、金魚鉢の金魚を消すと言いますが、柄の悪い観客の妨害に遭って金魚はステージ上にばらまかれ、更には顔にトマトを投げつけられます。「芸を見せろ」と言う観客に対し、ハリーは布を被り、客がキャベツを投げ付けると布は床に落ち、ハリーは消えています(編集で繋いでいます)。客席後方から現れたハリーは、投げた男の顔にトマトを押しつけ、喝采を浴びます。怪我をしたベスは低賃金と過酷なスケジュールにうんざりだと言います。ベスはハリーに錠前工場で働くように説得し、ハリーは錠前検査員として働きながら、工場の大きな金庫から脱出する空想にふけります。ある時、給料から$2.5使って、手錠を買ってきて、ベスに両腕に填めさせ、手に布を掛けて、手錠抜けをしてみせます。そしてベスに外に食べに行こうと言い、ホテルAstorで開かれているSociety of Magicians Annual Halloween Dinnerに出席します。ステージではマジシャンが女性の客を舞台に上げ、ギロチンを行います。歯が落ちた状態で、マジシャンが女性の頭に触ると首が落ちます。実際には頭を入れておらず、落ちた首はおもちゃです(ここはギロチンの歯が落ちるまではワンカットで、本当にギロチンのアクトをやっており、その後、カットが切り替わったところで、人形の頭とすり替えています)。そのディナーで、マジシャンのファンテが拘束衣から逃れられる人に賞品を出すと申し出ます。ハリーはその挑戦を受け、集中力を高めて拘束衣から抜け出します。
ファンテは大いに感心しますが、ハリーにやめるように助言します。ドイツのマジシャン、ヨハン・フォン・シュウェガーが、同じような偉業を成し遂げた後、自分の才能に不安を感じ、キャリアの絶頂期に引退したことを指摘します。そして、名声と引き替えに命を失わないようにと、ハリーに忠告します。ベスはハリーを説得して、賞品であるヨーロッパへの船の往復切符を家の頭金に充てようと言います。その後、工場でハリーは大きな金庫の中に閉じこもり、脱出を試みます。しかし、脱出する前に、工場のボスが金庫を爆破させて開けてしまい、ハリーは首になります。その夜、ハリーとベスはハリーの母親の前で将来について口論し、ベスがマジックをやめるよう主張したことに苛立ち、ハリーは出て行きます。間もなく、悔悟したベスはカーニバルでパフォーマンスしているハリーを見つけ、ヨーロッパ行きの片道切符を2枚プレゼントします。そして行った先のロンドンの劇場で人体交換を演じます。2人の水夫に箱を改めさせ、ベスの手に手錠を掛け、布袋に入って口を縛り、箱に入り、鍵を掛けます。写真の踊り子たちのファンで箱を隠し、ハリーは箱の上に立ち、ベスと入れ替わります。ここはフル手順を長回しで本当に演じているように見えます。
人体交換を終えた時、ドゥーリーという記者が、「今のはイカサマだ。仕掛けがある」と言い、厳重な警備で知られるスコットランドヤードの独房から脱出するようハリーに提案します。ロンドン警視庁の警部が観客席におり、その提案は受け入れられます。実はドゥーリーに挑戦状を叩きつけるように依頼したのはハリー自身でした。そしてドゥーリーから、イギリスの牢屋の鍵はドアにはなく、外壁に取り付けられていることを教えられるのでした。翌午前中に牢屋に入れられたハリーはそれでも何とか牢屋の鍵を開け、ベスが出演しているマチネの舞台に何とか間に合って現れます。
ハリーは今や「スコットランドヤードから脱獄した男」と称され、ベスと共にヨーロッパ巡業を成功させます。針飲みの演技を、口から出していく最後のところだけ行います。
その後、ベスをライフルで撃つと、リボンが体を貫通するトリックを行います。ベルリンでハリーは母親と合流し、隠遁生活を送るフォン・シュウェガーの捜索を始めます。レストランでベスと即興でポール・サスペンションのトリックを披露していると(実際には即興でできるトリックではありませんが、ワンカットで演じています)、ハリーは詐欺で裁判所への出頭命令を渡されます。裁判で、超常現象で人心を欺いていると言われたハリーは、超能力を主張したことは一度もないと否定し、全てのトリックは物理的な手段で成し遂げたと主張します。それを証明するため、法廷に持ち込んだ金庫を開けるように言われますが、金庫の中に閉じこもり、出てみせると言い、数分後に脱出します。ベスはハリーの母親に、金庫の鍵は中から開けないようにするためではなく、外から開けられないように設計されていると説明します。無実が証明されたハリーはヨハン・フォン・シュウェガーに会いに行きます。しかし、フォン・シュウェガーのアシスタントのオットーから、彼は2日前に亡くなったことを知らされます。オットーは、フォン・シュウェガーがハリーに興味を持っており、“非物質化”の秘密を尋ねたと明かします。ハリーはそれを一度は成し遂げましたが、二度は成し遂げられませんでした。オットーはハリーの新しい助手になることを主張し、彼と一緒にニューヨークへ戻ります。
アメリカではハリーは自分が殆ど無名であることに気づかされます。そこで宣伝のために拘束衣を着せられ、高層ビルの旗竿に逆さまにぶら下がった状態で、脱出を成功させます。
新聞も取り上げてくれるようになり、アメリカでも名を馳せるようになります。像を消したり(新聞の写真のみ)、人体浮遊をします(リングを2回通して改めるマスキリンの方法)。
冷たいデトロイト川に沈めた箱から脱出する訓練のため、ハリーは氷で満たされた浴槽に浸かります。ハロウィーンに行われるこのトリックの最中に、箱を支えていた鎖が切れ、箱は氷で覆われた川の開口部に落下します。
ハリーは何とか箱から脱出しますが、流れに引きずられ、氷の下の空気の層を見つけて開口部まで泳ぎ戻ろうと奮闘します。ベスや観客はハリーが溺死したと思い込み、新聞には行方不明の記事が載ります。しかしハリーは家に戻って来て、ベスは安堵します。ハリーは母親の声が聞こえて開口部へ向かうよう指示されたと言います。丁度その時、電話が掛かってきて、ハリーの母親が自分を呼ぶ声を聞いた正にその時に亡くなったという知らせを受け取ります。
2年後のニューヨーク、母親の死後、公演を止めていたハリーは、記者のシムズに、母親の霊と交信しようとしたけど上手くいかなかったと打ち明けます。ハリーはシムズを降霊会に誘います。霊媒師がハリーの母親と交信したように見えた時、ハリーとオットーは霊媒師が偽物であることを暴露します。心霊実験に嫌気が差したハリーは舞台に戻ることを決意し、この機会に水槽脱出のための道具を作り始めます。恐怖に駆られたベスは、この危険な技をやめなければハリーの元を去ると脅し、ハリーはそれをやらないことに同意します。公演前にハリーはオットーに虫垂が痛いと打ち明け、公演が終わったら医者に行くと言います。再びハロウィーンの日となる公演で鋼鉄の拘束着からの脱出などを演じますが、明らかに疲弊しています。ショーが終って退場すると、観客は大々的に宣伝されていた水槽脱出を披露するように要求します。ハリーは承諾し、逆さまに水槽に沈められます。しかし衰弱しきっており、脱出できず、意識を失います。オットーが水槽のガラスを斧で割り、意識を取り戻したハリーは瀕死の状態で泣いているベスに、もし可能なら戻ってくると誓って息を引き取ります。The End
当時、結婚していたトニー・カーティスとジャネット・リーの競演第1作目です。最初、主演はオーソン・ウェルズという話があったそうです。この頃は、芸人の伝記映画が沢山作られましたが、どれもが大胆にアレンジすることで映画的な見せ場を盛り込み、恋愛要素が強く出ています(「五つの銅貨」「愛情物語」「ジョルスン物語」「グレンミラー物語」など)。この映画でもフーディーニとベスが見世物小屋で運命のように出会い、直ぐに結婚していますが、実際にはそんなことはなく、本当のベスは歌とダンスをする芸人でした。
マジシャンが主役なのでマジック・シーンも多く、多くはトニー・カーティス本人がワンカットでやっており、手品に興味のある人であれば、十分に楽しめます。
ストーリーのところで書いた手品を全てフーディーニが実際に演じていたか疑問に思うものもあり、話の展開も前後を入れ替えていたりしますので(前回、紹介した水槽脱出は得意技でしたが、この映画では最後に1度だけやって、失敗して終わります。戻って来るというのは、実際にフーディーニが死ぬ時に、死後の世界があるなら、何らかの方法で連絡すると言ったことからで、ベス本人は何も無かったと証言しています)、フィクションだと割り切って見ればいいでしょう。フーディーニは脱出に失敗して死んだと思っている人がいるのは、この映画のせいもあるでしょう。人体交換は英語ではMetamorphosisと言います。SUB Trunk、又はSubstitution Trunkとも呼ばれており、元々は箱から抜け出るだけの現象だったのを、入れ替わる現象にしたのはフーディーニです。多くのプロ・マジシャンはフーディーニに足を向けて寝られませんね。
Amazonプライムで見られますが、音も画質も良くありません。次回もフーディーニ関係です。
4月3日 13時30分~ 「リオブラボー」 ムービープラス
4月4日 20時30分~ 「トリック劇場版 ラストステージ」 日本映画専門チャンネル
4月5日 7時30分~ 「TRICK劇場版」 日本映画専門チャンネル
4月5日 9時40分~ 「TRICK劇場版2」 日本映画専門チャンネル
4月5日 17時30分~ 「関口宏の雑誌の記憶」 BS朝日
4月6日 1時30分~ 「プレステージ」 ザ・シネマ
4月6日 19時58分~ 「イッテQ!」 日本テレビ
4月8日 0時~ 「刑事コロンボ 汚れた超能力」 ミステリーチャンネル
4月8日 9時~ 「トリック’02 ①②」 テレ朝チャンネル2
4月9日 9時~ 「トリック’02 ③④」 テレ朝チャンネル2
4月10日 9時~ 「トリック’02 ⑤⑥」 テレ朝チャンネル2
4月11日 18時~ 「トリック’03 ①~③」 テレ朝チャンネル2
4月12日 7時30分~ 「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」 日本映画専門チャンネル
4月12日 9時40分~ 「トリック劇場版ラストステージ」 日本映画専門チャンネル
4月14日 9時~ 「トリック’02 ⑨⑩」 テレ朝チャンネル2
4月14日 18時~ 「トリック’03 ④~⑥」 テレ朝チャンネル2
4月15日 9時~ 「トリック’02 ⑪」 テレ朝チャンネル2
4月15日 18時~ 「トリック’03 ⑦~⑨」 テレ朝チャンネル2
4月15日 21時~ 「プリティウーマン」 ザ・シネマ
4月16日 18時~ 「トリック’03 ⑩」 テレ朝チャンネル2
4月19日 21時~ 「ジョンウィック:コンセクエンス」 ザ・シネマ
4月20日 9時25分~ 「TRICK劇場版」 日本映画専門チャンネル
4月20日 11時30分~ 「TRICK劇場版2」 日本映画専門チャンネル
4月24日 3時30分~ 「プレステージ」 ザ・シネマ
4月25日 10時45分~ 「ジョンウィック:コンセクエンス」 ザ・シネマ
4月25日 21時~ 「ジョンウィック:コンセクエンス」 ザ・シネマ
4月26日 14時30分~ 「オーシャンズ8」 ムービープラス
4月27日 6時~ 「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」 日本映画専門チャンネル
4月27日 8時5分~ 「トリック劇場版ラストステージ」 日本映画専門チャンネル