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コラム

第2回 007 死ぬのは奴らだ(2023.8/11 up)

新古思議の国のアリスというタイトルについて

前回の自己紹介で「新古思議の国のアリス」という題名は誤植ではないか?という指摘が、読者の方からありました。原題は「A New Alice in the Old Wonderland」というもので、古いという言葉が入っているので、もじった日本語の題名にあえてしています。1895年出版の、恐らく最も古い「不思議の国のアリス」のパティーシュで、ルイス・キャロル自身の蔵書の中にもありました。オリジナルほどではないですが、言葉遊びが全編に散りばめられており、100年以上前に書かれた古い文体なので翻訳するのに苦労しました。

『A New Alice in the Old Wonderland』(参照:wikipedia)


本題に入りましょう。前回「スティング」では、ポーカー・ゲームに挑む前に、使われているデックの銘柄を確認するというシーンについて述べました。カードをスイッチするのであれば、予め同じ柄のものを準備しておく必要があり、でないとカラー・チェンジング・デックの現象になってしまいます。アニメ「ルパン三世」などであれば、ルパンがすり替え用を何故か持っていましたという流れで通用しますが、実写の映画ではそうはいきませんので、合理的な説明が必要です。今回紹介する「007死ぬのは奴らだ」でも同様のシーンが出てきます。

『007 死ぬのは奴らだ』

映画死ぬのは奴らだの画像


原題: Live and Let Die
監督: Guy Hamilton
製作: Harry Saltzman, Albert R. Broccoli
原作: Ian Lancaster Fleming
出演: Roger George Moore (James Bond), Yaphet Kotto (Dr. Kananga), Jane Seymour (Solitaire)
配給: ユナイテッド・アーティスツ
公開: 1973年
上映時間:121分
製作国: アメリカ・イギリス

007シリーズの第8作。麻薬を無料で配り社会の壊滅を謀るMr.ビッグと戦うというストーリーです。1970年代にブラック・ムービーというジャンルが現れ、ヒットしていたことから、その流行に乗っかり、黒人が多く登場する作品になっています。どんな映画かは、こちらの解説をご覧下さい。



主題歌はポール・マッカートニー&ウィングスの「死ぬのは奴らだ」です。ビートルズ時代を思わせる曲調でゆっくりと始まり、途中からスピード・アップして盛り上がっていくので手品のB.G.M.として使われることもあります。



50分、ボンドがMr.ビッグの女である占い師のソリティア(トランプを使った一人遊びから名前は由来しています)にタロット・カードを引かせたところ"The Lovers"のカードで、2人は愛し合う運命だと言います(ショットごとにファンの大きさが違います)。実はボンドは引かせるためにワン・ウェイ・フォーシング・デックを使っていたのです。しかも最初に、デックのトップより3枚の普通のカードを配ってからリフル・シャッフルしており、仕掛けのないカードのように見せています。マジシャンの素養がありますね。映画で使われたものと同じ柄のタロット・カードは、レプリカとして売り出されました。写真のようにフォーシング用のカードも付いていますので、これであなたも直ぐに007になれます。


ソリティア

タロットカード

ショップで取り扱えば売れるかも! 下記の予告編ではその種明かしのシーンが一瞬、示されます。




その前のシーンでボンドがタロット・ショップに寄るところがあり、そこで同じ銘柄のものを何十デックも買い込んだのでしょう。因みに、最初に2人が会った時に、彼女が使っているタロット・カードの銘柄をチェックしていたのです。86分、ボンドがボートで逃げ、それを追えという連絡が無線で入った時にMr.ビッグの手下たちはカード・ゲームをやっており、使っているものはタリホーの青裏のサークル・バックです。115分、事件は一件落着し列車でニューヨークに向かうボンドとソリティアは車内でジン・ラミーをしていますが、使っている青裏のカードはブリッジ・サイズで、見かけないものです。そして列車まで追いかけてきた追っ手にデックをスプリングで飛ばしてぶつけます。下記の予告編でそのシーンを見ることができます。




秘密兵器として、腕時計型の超強力な電磁石が登場します。スイッチを入れると、数メートル離れていても、写真のようにスプーンなどが飛んできてくっつきます。最近は磁石ネタの商品が増えましたが、まだまだ、映画には追いついていないようです。


ソリティア

この映画はU-NEXT、アマゾン・プライムなどで見られます。ジェット・ボートによるアクション・シーンが一番の見せ場で、他にダブル・デッカー・バスとバイクのチェイス・シーン、毒蛇や鰐と見せ場は沢山ありますが、冗長した感じはします。

参考文献

栗田研:「映像の魔術 007死ぬのは奴らだ」『Four of a Kind Vol.9 No.4』(チェシャ猫商会, 2006) p.304


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