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コラム

第24回 赤い夕陽の渡り鳥(2024.1/12 up)

最近のステージ発表会では、演目被りがやたらと増えており、人気種目のミリオン・カードや4つ玉は2人も3人も演じます。コロナで大学のクラブの部員が減り、伝統芸が継承できなくなり、演目が減ったことが被りが増えた要因のひとつでしょう。又、発表会は発表会なんだから好きにやって何が悪い?といった考えが横行していることもあります(ある大学の発表会でスライハンドだけだったことがあり、アンケートにプロダクションなど他の演目も入れたら?と書いたら、上記の意見が返ってきたそうです。アンケート取る意味あるのかしら?)。いくら只でも、見に来た人の時間を取っているわけで、じゃあ、見に来なければいいという考えでは、自己満足の発表会であり、内輪以外の多くの人に来てもらうことはできません。

大学を卒業してもマジックを続ける人たちは学生時代にやっていた種目を継続することが多く、必然的にそういったグループでの発表会や、若いコンテスタントの間でもネタ被りが増えます。中国でのマジックのイベントで以前に、種目別コンテストが行われたことがあります。要するに、リンキングリング、ミリオン・カードといった単一種目の演者を集め、その中で1位を決めるというもので、面白い試みでしたが、2回目は行われなかったようです。それが見たいという多くの観客がいなかったことが理由でしょうが、発表会でもここまで演目が被るのであれば、いっそのこと発表会を開催している若手のグループが色々とあるので(関東大学奇術連盟、夢奇房、関東ステージマジックサークル、サンナナ、MAGIC9、フォールスノットなど)、その中から演者を2~3人ずつ出してカテゴリー選別発表会をやってみてはいかがでしょう?例えば、第1部はカードと4つ玉、第2部はシンブルとウォンドといったようにし(単一でなくとも、それら2種目の組み合わせでも可)、ピープルチョイスアワードを設ける。このように偏った発表会でも、各グループの知り合いや関係者は来るでしょうから(実際、今の発表会でもかなり偏ってます)、ある程度、客が見込めるでしょう。無関係な一般の人は来ないですが、元々、そこは捨てているでしょうから、面白い試みじゃないですか?

『赤い夕陽の渡り鳥』

赤い夕陽の渡り鳥

渡り鳥シリーズは小林旭主演の日活無国籍アクション・シリーズで、1959年~1962年にかけて8本作られました。道路が舗装されているのに馬が交通手段であったり、一般人が猟銃を持っている、西部劇まがいの服装などベースは西部劇で、特に名作「シェーン」にはストーリー、BGM、去って行く主人公に向かって子供が叫ぶところなどが似ています。ストーリーは、元刑事で今はギターを持って“流し”をしている主人公、滝伸次が全国各地(北海道、九州、佐渡、大島など)を旅し、そこの女性(浅丘ルリ子)と出会い、その街を牛耳る悪者を倒して、また別の街へ旅立つというパターンです。因みに、ハラケンこと政治家の原健三郎が脚本としてクレジットされていますが、実際は一切関与していないそうです。シリーズで主人公は同一人物ですが、脇役は同じ俳優が演じても、配役は異なります(夕陽のガンマン、続夕陽のガンマンのリー・ヴァン・クリーフみたい)。劇中ではポーカーやダイスやコインで賭けをするシーンが出てきますが、テクニックが使われるところは基本的にスタンドインで、8作品中3作品に手品っぽいところが登場します。今回から3回続けて紹介していきます。

シリーズ第1作「ギターを持った渡り鳥」には手品と言えるシーンはありませんが、34分、滝は宍戸錠演じるジョーと5個のダイスを振って、出た目で勝負します。滝は負けますが、ダイスを割り、仕掛けがほどこされていることを見破ります。第2作「口笛が流れる港町」でも同じダイスの賭けが行われます。第3作「渡り鳥いつまた帰る」でも行われますが、滝はジョーがダイスを小指でパームしていることを見破ります。

監督:斎藤武市
出演:小林旭(滝伸次), 宍戸錠(ハジキの政), 浅丘ルリ子(二宮靖子)
配給:日活
上映時間:80分
公開:1960年

手品が登場するのは第4作からです。会津磐梯山麓、五色沼のほとりが舞台で、滝伸次が牧場乗っ取りを企む一味を迎え撃つという話です。14 分、バーの地下にあるカジノで、滝とハジキの政はポーカーで勝負します。滝がカジノのテーブルから取り上げたのは何とファン・カード!互いにフラリッシュを見せ合います。滝がテーブルにリボン・スプレッドしてターンすれば、政が手から手へのスプリング、フラリッシュ的にカットした後、アーム・スプレッドしてターンしてキャッチ、滝が手から手へパケットを投げ、両手でファンを作る、政がデックをテーブルの縁に置いて、テーブルから突き出ている部分を下から跳ね上げてキャッチ。2人はダン&デイブで、別の勝負をしているのでしょうか?勝負は政が連勝しますが、最後に滝は、政が袖に隠している Aを取り上げ、政は金を置いて出て行きます。

渡り鳥シリーズはAmazonプライムで見られるので、手品シーンだけチェックしましょう。

参考文献

1) 栗田研:「映像の魔術 赤い夕陽の渡り鳥」『Four of a Kind Vol.9 No.2』(チェシャ猫商会, 2005)


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