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コラム

第29回 さすらいの賭博師(2024.2/16 up)

サッカーのアジア・カップはご覧になりましたか?これが今月、最も世界中に拡散した種明かし動画です。VARもありますからばれます!

小林旭の渡り鳥シリーズは8本、賭博師シリーズも8本、流れ者シリーズは5本、それ以外に単発のものも含めると数多くの出演作があります。この頃の映画は短期間で撮影していることもあり、例えば、1959年は13本の主演作が公開されています!1本が90分に満たないものが殆どなので、見るために時間はかかりませんが、全部挙げているとこのコラムでの紹介がそれだけになってしまいます。そこで残りは、ポイントとなる作品を選んで紹介しましょう。

『さすらいの賭博師』

さすらいの賭博師

監督:牛原陽一
原作:野村敏雄
出演:小林旭(氷室浩次), 笹森礼子(浅野倫子), 松尾嘉代(信子), 大滝秀治(相原), 山形勲(浅野), 草薙幸二郎(篠原), 小池朝雄(河村)
ダイス指導:笛田直一
配給:日活
公開:1964年8月5日
上映時間:88分

マジシャンから見れば、「黒い賭博師」(第27回)の方がイカサマ・シーンが色々と出て来るので面白いですが、「さすらいの賭博師」は賭博師シリーズ第1弾ですので紹介しておきましょう。26分、バーの女の子をものにするために、河村(演じる小池朝雄は違う役でシリーズに何度か出てきます)の手下が丁半博打でダイスをすり替えます。カップにダイスを2個入れる時に、1個をわざと床に落とし、それを拾うふりをし、手に持っていたものを出してきます。67分、河村との勝負に行く氷室に、篠原は「入り口の盆ござでやる時は気をつけろよ」と言います。氷室は、「そんなことはおめえに言われるまでもない。分かってるよ。盆ござの下に鉄板が引いてあって、弱電を通してサイコロの目はおめえたちの思うがままよ」と答えます。73分、装置でダイスの目を変えるシーンが出てきます。まさにデル・レイばりの現象です(デル・レイの演技については、季刊「不思議10号」と「マスカレイド Part6 No.7」で、麦谷眞里氏が紹介しています。又、Mr.マリックがテレビで披露しました)。79分、最後に氷室と河村はチムニーで勝負します。チムニーとは5個のダイスでダイス・スタッキングをし、各々のダイスの上の面が何かで勝敗が決するゲームです。氷室はダイスを5個並べ、カップですくって、何度かシェイクし、止めるとスタッキングしており、上の面は全てスペードのマークです(ここでのダイスは1~6の目ではなく、9、10、J、Q、K、Aとトランプの数字が描かれています)。このシーンはワンカットでやったように見えますが、良く見ると編集で繋いでいるのが分かります。

第2弾「黒いダイスが俺を呼ぶ」でもチムニーが出てきます。61分、氷室は依田組の親分の依田と差しで勝負します。依田がオール・シックス(スタックした5個のダイスの上の目が全て6)だったのに対し、氷室はカップに5個のダイスを1個ずつ入れ、カップを勢いよくひっくり返して伏せます。5個のダイスの上の目は全て1で、氷室が勝ちます。ここはワンカットですが、カップに入れる時に1が下になるように入れて、素速くひっくり返せばスタックして上面が1になります。その後、氷室はテクニックを次々とデモンストレーションします(5個のダイスをカップに入れてテーブルへ振り、全て6を出したり、1~5を揃えたり、最後には全て1を出してみせる)。

第3弾「ギターを抱えた一人旅」では兄の敵の辺見と3回、勝負します。60分、5個のダイスをテーブルに積み上げておき、上からカップで1個だけすくい取り、テーブルに置きます。これを繰り返しますが、氷室は全て1を出して勝ちます。68分、6個のダイスをカップに入れ、シェイクした後、テーブルに伏せて置きます。カップを持ち上げると、3個ずつ2列にスタックしています。上からダイスを除いていくと、上の目は全て1です。ここもワンカットのように見えますが、カップを伏せたところで、編集で繋いでいます。

次回で小林旭シリーズは終わりです。

トピック

・2月21日~27日 「俺が地獄の手品師だ」 ラピュタ阿佐ヶ谷

映画館で上映されるのは珍しいので、関東の方はこの機会に是非。6年間のアメリカ監獄生活で12回も脱獄したという手品使い、バッファロー・ゲンの大活躍。ワケありの服役仲間のためにひと肌脱いで、真の悪を懲らしめる。片岡千恵蔵の二挺拳銃でおなじみ「地獄」シリーズの一篇。アマゾンプライムの東映オンデマンドの無料体験でも見られます。


・2月21日22時~ 「歴史探偵 江戸マジックショー NHK総合」

参考文献

1) 栗田研:「編集後記」『Four of a Kind Vol.9 No.3』(チェシャ猫商会, 2005) p.296

2) 麦谷眞里:「東方見聞録その3」『不思議 Vol.3 No.10』(マジックマガジン社, 1984) p.14

3) 麦谷眞里:「ダイス・ラダー」『masquerade part 6 number 7』(マスカレイド, 2006) p.157


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