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コラム

第31回 黒い賭博師 悪魔の左手(2024.3/01 up)

最初は、非論理的な言い間違いから 「デックを持たないマジシャンがクロース・アップ・マットを持たなければ、デックをスプレッドすることもできない」

最近、私がコラムを書いていることを知っている方から、「こういう映画に手品シーンがあるよ」と教えてもらうことが増えました。又、あまり顔を合わせない知り合いと久々に会った際に、このコラムの話題を出してきて、「フレンチで書いているんですね。でも忙しくて読んでいないんですが」と言われることもよくあります。これは、「たいして面白くないので、時間をかけて見るほどじゃない」と暗に言っているわけで、「紹介している映画を全部、細かく見たんですか?」とか「手品シーンを実演して、検証してみたんですか?」の方がまだましです。さて、めげずに本題に入りましょう。

『黒い賭博師 悪魔の左手』

黒い賭博師 悪魔の左手

監督:中平康
出演:小林旭(氷室浩次), 二谷英明(教授), 鈴木やすし(チョンボ), 天坊準(1号), ジュディ・オング(2号), 谷村昌彦(花田刑事)
製作:日活
公開:1966年1月27日
上映時間:94分

黒い賭博師シリーズ第8弾の最終話。タイトル・バックには赤と青のバイシクル・ライダー・バック(ブリッジ・サイズ)が敷き詰められています。アブダラ3世は賭博大学の教授(演じるのは二谷英明ですが、前作とは別の役)にそそのかされて賭博を国営化し、それを資金に水爆製造を行い、世界征服を企みます。日本に賭博で進出するためには邪魔な氷室を潰すため、3人の刺客が送り込まれます。14分、氷室は、刺客1号(刺客は番号で呼ばれています)とダイスで3回勝負をします(カップに入れたダイスを振り、相手が出した目と同じ目を出すというルール)。目が見えない1号は光が目を刺激するので、部屋を暗くしてくれと言います。1勝1負の後、1号はダイスを振り、10個のダイスで全部1を出します。氷室は1号の手を掴み、第6の指を取り上げます。中に揮発性の液体が入っており、各ダイスの1の面に塗ってから振ると、濡れているところが下になった時にそこで止まるため好きな目を出せるというものです(相手が振る時には、乾いており効果は失われています)。勿論、暗くしたのはギミックを見られないようにするためで、ポケットから隠し持ってきて人差し指に填め、ダイスに液体を塗る動作もちゃんと観客に分かるように見せています。実際にはできないでしょうが、映像だけ見ると納得しそうな方法でした。75分、氷室は3号とファイブスタッド・ポーカーで勝負します(第20回で紹介した「シンシナティキッド」で最後に出てきたポーカーのやり方)。因みに、シリーズではセブンスタッド・ポーカーが出てきたこともあります)。使われているのは赤裏と青裏のリーグ・バック。氷室はスイベル・カットし、シャーリア・パスをします。負け込んできた3号は円形カードに替えたいと言いだします。カードの裏は同心円の模様で、シャッフルする時にカードを回転させ、氷室に催眠術をかけようとします。最終的には、氷室は3人の刺客に勝ち、組織を日本から追い出して終わります。

賭博師シリーズで最後に紹介するのは、第5作「さすらいは俺の運命」です。この頃から、氷室に痛い目に合わされた組織が復習に刺客を差し向ける対決パターンになります。相手のイカサマを見破ったのが原因で逆恨みを買い、恋人の利子を殺されて数年。“もうダイスは振らない”と固く誓い、さすらいの旅をしている最中に、彼女の命日に墓参りのため、彼女の故郷、真鶴半島へと立ち寄ります。そこでやたら親し気な、やらずぶったくりの政からは儲け話に誘われます。政が持っている数珠はダイスに紐を通して輪にしたもので、これが後に役立ちます。更に地元ヤクザの延岡興行が“なぎさレストハウス”に嫌がらせをし、立ち退きを迫っているという話を知りますが、そこの経営者が利子の姉の咲江で、氷室は素性を隠して助けるのでした。1作目で殺された恋人の名前が途中から変わっていたり、死ぬ場所がビルの窓から落とされたのが、第3話では階段で倒れていたり、設定や作りはアバウトです。今の時代だったら、YouTubeで考察し、突っ込みを入れる人がわんさと出て来ることでしょう。最後には正体を明かし、レストハウスの権利を賭けたダイス賭博、チムニー・スルーで勝負に挑みます。ここでは2個のカップを両手で同時に振る、チムニーのバリエーションを披露し、マンネリを回避しています。しかし、ダイスを砕くと中に錘が入っているというのはいつものパターン。最後には洞窟での銃撃戦で岩が崩れ、ヤクザたちはみんな溺れ死んで、めでたしめでたし。林家三平師匠がレストハウスの新装開店で呼ばれたのに、間違えて隣のヤクザの葬式に「今日はおめでとうございます」と顔を出しちゃうというブラックなギャグは凄い!

これで黒い賭博師シリーズは全て紹介しました。次回は小林旭の「流れ者」シリーズを紹介します。

トピック

放送予定のマジック・シーンのある映画です。コラムで既に紹介したものもありますが、これから紹介するものもあります。どこでマジックが出て来るか探しましょう。

3月7日21時~ 「消されたライセンス」 BS日テレ

3月9日12時~ 「スティング」 スターチャンネル2

3月12日7時10分~ 「スティング」 スターチャンネル3

3月16日10時15分~ 「地中海殺人事件」 ザ・シネマ

3月16日15時50分~ 「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」 NHKBS

3月18日0時50分~ 「天国から来たチャンピオン」 ムービープラス

3月19日4時50分~ 「スティング」 スターチャンネル2

3月22日13時~ 「スティング」 スターチャンネル3

3月28日5時10分~ 「天国から来たチャンピオン」 ムービープラス

3月31日10時~ 「リオ・ブラボー」 ザ・シネマ


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