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コラム

第35回 七つの顔(2024.3/29 up)

第26回でも宣伝しましたが、4月21日に第2回MN7研究会「海外マジシャン来日記録から次世代へ」がMシアターで開催されます。僭越ながら私がスピーカーを務めますので、お時間がありましたら是非お越し下さい。残席が少なくなってきています。一般には全く公開されていない秘蔵映像も上映しますのでお楽しみに。

『七つの顔』

この映画はパブリックドメインなので、全編が下記でご覧になれます。


七つの顔

監督:松田定次
脚本:比佐芳武
出演:片岡千恵蔵(藤村大造=七つの顔の男), 轟タ起子(清川みどり), 喜多川千鶴(野々宮早苗)
配給:大映
公開:1946年
上映時間:80分

探偵 多羅尾伴内シリーズの第1作目で、モーリス・ルブランの「謎の家」をベースに書かれました。終戦後、刀を振り回すチャンバラ時代劇は軍国主義を煽り立てるため禁止されたことで時代劇が制作できなくなり、代案として、脚本家の比佐は時代劇の大スター片岡千恵蔵を主役にした名探偵 多羅尾伴内を作り上げました(劇中では撃ち合いがありますが、刀より銃の方が危険ですよね?)。無国籍アクション映画の走りです。戦後の貧しい時代に多羅尾伴内が、ばったばったと悪人をなぎ倒す痛快さが観客に受け入れられ、大ヒットに繋がりました。変装の名人である多羅尾伴内がクライマックスで「ある時は〇〇、またある時は〇〇、しかしてその実態は... 」という決め台詞は、後のキューティーハニーやピンクレディーの「ウォンテッド」でも使われました。

冒頭、東洋劇場のステージで藤村大造が、マジックを演じます。舞台に登場し、手袋を取ってシルク・ハットに入れると鳩が出てきます(編集で繋いでいます)。右手の裏表を改めてから、カードを1枚出し(編集で繋いでいます)、その後、シルク・ハットからカードが手へと上へ飛んでいきます(カスケードをフィルムの逆回し)。カードを投げ、拳銃で撃ち抜きます。その後、そのステージで花形歌手、清川みどりが出演中に楽屋から出火し、仮面を付けた者たちに清川は誘拐されます。清川は解放されますが付けていた100万円もするダイヤは盗まれてしまいます。この事件を警察や私立探偵の多羅尾伴内が追いかけます。犯罪の知能性から、これは昭和16年以来消息を絶った紳士怪盗、藤村大造の所業だという噂も出ますが、藤村は足を洗っており、罪の償いのため、多羅尾伴内と名乗り、正義と真実のために探偵稼業をしています。聞き込みや密偵のために変装しますが(中には変装の必要は無いと思えるものもあります。単なるコスプレ好き?)、マジシャンになることも多いため、必然的に手品シーンが時々出てきます。又、多羅尾伴内の飄々として風采の上がらないしゃべり方は、熊倉一雄に代表されるポアロの原型だと思います。クライマックスのローアングルで撮ったカーチェイス・シーンは今見ても迫力満点。Amazonプライムでも見られます。

トピック

4月6日 21時~ 「異人たちとの夏」 BS松竹東急

4月29日 6時~ 「リオブラボー」 ザシネマ

参考文献

1) 栗田研:「映像の魔術 七つの顔の男」『Four of a Kind Vol.9 No.3』(チェシャ猫商会, 2005) p.294


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