マイケル・クローズは長年テーブルホッピングの現場で活躍している生粋のクロースアップ・マジシャンで、現在はラスベガスのモンテカルロホテルで毎日バーに来る宿泊客を楽しませています。
彼は現場で磨き抜かれた実用性と面白さ、さらに独自のアイディアをたくさん詰めこんだ7巻組の名レクチャービデオ「ベリー・ベリー・クロース」シリーズを数年前に発表しましたが、今回それが4本のDVDにまとまりました。
1枚のDVDにビデオ2巻分が入っていますので、各巻2時間半近くある充実した内容となっています。技術的な練習が必要な部分は「スーパー・プラクティス・セッション」というマジシャンの視点から練習専用のチャプターもあり、とても分かりやすく解説されています。
The Ooh-ah Bird
観客の引いたカードを、折りヅルが当てます。カードを探している時にツルが4センチほどのタマゴを産み、その中に観客が引いたのと同じミニチュアカードが入っています。
The Pothole Trick
名刺を2枚取り出し、片方にマジシャンの家の近所を、もう片方に観客の家の近所の地図をそれぞれ書きます。マジシャンの地図を書いた方にパンチで穴をあけますが、その穴を道の絵にそって動かしてしまいます!最後には穴はマジシャンの地図を抜け出して、観客の地図の書いてある名刺にまで移動します。穴はどの時点でもちゃんと下が透けて見えていますし、観客には穴のあいた名刺をプレゼントすることができます。
The Imagination Tester
テレビでMr.マリックも演じたマジックの、元ネタです。使うのは、正方形のワクの中に矢が通ったような形の折り紙。奇妙な形をしていますが、紙を開くと確かに1枚の正方形から折られた形であることが分かります。それを再び折ってからおもむろに中央の矢を引き抜くと…なんと矢は綺麗に取れてしまいます!
他8手順を解説。
You Hue
名刺大の白紙を使ったいわゆる「ワイルドカード」ですが、観客の選んだ色で、観客の名前を書いて、それでこの現象をおこしてしまいます。マジシャンは数枚の、両面が白紙の紙を取り出します。そして10色近いサインペンの中からペンを1本選んでもらいます。その色のペンで、白紙の名刺の1枚に観客の名前を書きます。その名刺を他の名刺にこすりつけると…なんと別の名刺に、観客の名前が観客の選んだ色で映っています!それを次々に繰り返し、全部の白紙に観客の名前を移してしまいます。
The Wishing Trick
観客が自由に言ったカードを、観客の決めた枚数目から出現させる「エニーカード・エニーナンバー」のマジック。これは「完璧な現象」を起こす、数少ないマジックの一つです。なおこのマジックにはメモライズド・デックの知識が必要です。メモライズド・デックの解説はありませんので、ご注意ください。
Flying Home
氏のテイストが加わった「ホーミング・カード」。サインされた観客のカードが、何度もマジシャンのポケットに飛び込みます。最後は一組全部がポケットに移動してしまい、手には観客のカードだけが残ります。
他9手順を解説。
Down for the Count
このシリーズの中で一番単純ですが、一番笑えるショート・ルーティンです。マジシャンは会場の中に吸血鬼がいる、と言いだし、粗末な木でできた「吸血鬼探知機」を取り出します。観客の前では全く反応しませんが、その木をマジシャンに当てると、木の表面に「印」が浮かび上がります。それを何度か繰り返しているうちに…いつの間にかマジシャンの口に吸血鬼のキバが生えています!
The Card, The Forehead, and The Saltshaker
ショーの最後を締めくくるのに最適なマジック。サインされたカードを使いますが、それがいつの間にかマジシャンのおでこに張り付いていたり、塩ビンの下に移動したりします。2人の観客を両脇に呼んで演じるのですが、とてもコミカルに演技が進みます。何度も繰り返すうちに、観客はカードがおでこや塩ビンの下に移動するのが予想できるのですが、常にその裏をかいて手順は進みます。最後のクライマックスには、デック全体と塩ビンが消えてしまいます!
他7手順を解説。
Take a Letter
観客に、アルファベットが書かれたトランプ大のカードを1枚選んでもらいます。そのカード(例えばH)にサインをしてもらい、他のカードと一緒に大きな紙袋の中に入れてしまいます。袋を振って「シャフル」した後で、観客のカードを見つけると言ってマジシャンはクリップと輪ゴムで作った「弓」を取り出し、押しピンの「矢」をつがえて袋の中に打ち込みます。マジシャンは袋の中に手を入れると、20センチほどもある段ボールでできたHの形を取り出します。その裏には…見事にサインされた観客のカードが、押しピンで留められています!
The Frog Prince
童話をモチーフにした、有名な手順。意地悪な王子様が魔女の悪口を言ったため、王子様はカエルに変えられてしまいました…と言ってハートのジャックを折り紙でカエルをつくります。魔女の呪いを解く唯一の方法はカードマジックをすることなので、観客にカードを引いてもらい、見事にそれを当てます。マジックが成功したので呪いは解けて王子はめでたくもとの姿にもどりました…と、いつの間にか観客のカードがハートのジャックに変わり、カエルを見ると観客のカードに変わっています!
他10手順を解説。