ジェイ・サンキーの作品集『Sankey Panky』が邦訳されました。
原著は1986年に出版された古い本ですが、彼の凄さを知るには理想的です。最近トリックを乱造している彼も昔は厳選していました。この書籍には40近くの作品が収録されていますが、駄作がありません。今読んでもなお、多くの刺激を与えてくれます。
彼の作品は、デビッド・カッパーフィールドやデビッド・ブレイン、前田知洋など、テレビでお馴染みの超一流マジシャンが演じています。プロに演じたいと思わせる魅力ある作品はどのようにして生み出されているのでしょうか。彼はその点についても語ってくれています。
この本で彼のルーツを知ってください。
エッセンス
「革命的天才の魂がここに」 ―― 前田知洋
目次
収録現象
- 溶け込む輪ゴム
- デックケースに巻かれていた輪ゴムが消え、中に入っていたデックに巻かれた状態で現れます。
- カードにエサを与えないで!
- トランプと輪ゴムを使ったカード当て。トランプがまるで芸を仕込まれたかのように振る舞い、観客のカードを見つけ出します。
- コイン分身の術
- ギミックを使用したのコインの分裂。1枚のコインが4枚になります。
- サインの偽造、教えます。
- カードにサインした×印が別のカードへと飛び移り、最後には複製されてしまいます。
- コインの払い戻し
- レギュラーで行うコインの分裂。1枚のコインが4枚になります。
- ぐにゃぐにゃ予言
- 消印の付いた封筒の中に観客の選ぶカードが予言されています。3色のペンから自由に選んでもらって書かれたグニャグニャのサインもピッタリと一致します。
- ハン・ピン・チェン・ピン・ハン その1
- 銀貨と銅貨の位置交換現象。ハン・ピン・チェン・ムーブの倍の仕事量を要する新しい技法が、レギュラーコインでのトランスポジションを可能にします。
- 赤い予言
- 青色のデックから自由に選んでもらったカードが予め取り出しておいた赤色のカードと一致します。サインを移動させてしまう サプライズ付き。
- 閉所恐怖症のコインの交換
- 徐々に不可能性が強まっていく銀貨と銅貨のトランスポジション。3回入れ替わります。
- 名探偵登場
- 殺人事件の解決を楽しむボードゲームになぞらえたカードマジック。被害者のカードと容疑者のカードの入れ替わりが物語のクライマックスと見事にリンクします。
- ハン・ピン・チェン・ピン・ハン その2
- 「ハン・ピン・チェン・ピン・ハン その1」のバリエーション。
- がま口でチェン・ピン・ハン
- 硬貨とがま口が数回入れ替わった後、がま口の中から硬貨が現れます。
- お札の融合
- 2枚の5ドル紙幣を丸めて火であぶると1枚の10ドル紙幣に、またあぶると元に戻ります。
- 見えない友達
- 仕掛けのないカードでブレイン・ウェーブ現象を起こそうとした結果、生まれた作品。
- ホットクロス
- 3枚のコインズ・アクロス。ありがちな欠点を見事に解決した作品。
- 見えない架け橋
- ウソの種明かしをしながら行うコインズ・アクロス。
- 自己防衛
- カードをデックに投げつけ、選んでもらった3枚のカードを探し出します。刺さったところの両端、そして挟まれたカードがいつの間にか選ばれたカードに!
- チェン・ピン・ハンでワイルドコイン
- 開いた手のひら上で行うオリジナル技法「パームアップ・ハン・ピン・チェン・ピン・ハン」を使用したワイルドコイン現象。
- 浮かぶデック
- 即席でデックを浮かせます!
- 一刀両断
- 2人に選んでもらったカードの在り処をジョーカーをデックに突き刺して探し出すはずが、選んでもらったのはどちらも同じカード。果たして結末は!?
- 使えないお金
- カリフォルニアで行われた奇妙な科学実験をマジックを使って再現して見せます。サインの複製方法が秀逸。
- 形状記憶インク
- コインにサインをしてもらいますが、紙で拭きとってしまいます。それを丸めたものをコインに乗せ燃やします。サインが復活します。
- メルトダウン
- カードケースからデックを取り出すとアルミホイルで包まれています。それを破ってマジックをします。演技が終わったら、デックはアルミホイルに包まれた状態に復元されてしてしまいます。
- 4次元のコイン
- コインが借りた紙幣を半分だけ貫通し、また元に戻ります。
- 炎に消えた飛行機
- 焼失したはずの紙飛行機が、復活します。
- 危ないイタズラ
- 2人の観客に行うライターを使ったカードマジック。カードを火であぶるとトップに上がってきます。さらにあぶると他の人のカードとくっついてしまいます。
- 金を手放すな!
- 観客に握ってもらった小銭入れの中からサイン付きのコインを抜き取ります。完全に空の手で行われる不思議な貫通現象です。
- 二人で塩コショウを
- 塩とコショウのビンが融合します。
- 考え込んじゃう
- 音で騙すコインズ・アクロス。手から手へ飛び移った3枚のコインが、最終的に小銭入れの中から現れます。
- 時代は回る
- コインでタイムマシンを再現。テーブルの上で借りたコインを回すと、年号がどんどん古くなっていきます。
- カードを集めないで
- エド・マルローがアレンジした「コレクターズ」をさらにアレンジした作品。
- 時の逃亡者たち
- 「カードを集めないで」使用されたレボリューション・カウントを使った、さらに込み入った手順。
- 風船の中で変化
- 即席で行う風船内へのコインの貫通。
- カードの軽業師
- 破ったカードの復活。2枚カードを引いてもらって行います。
- ビジブル・コイン・アセンブリー
- 何のカバーもなしで行うコイン・アセンブリ。手もカードも使いません。移動するところが見えます。
- エアタイト
- ジェイ・サンキーの代表作、風船を使ったカード当て。デックが一瞬で風船に入ってしまい、選んでもらったカードだけ貫通して出てきます。
- ボールまみれのカップと玉
- 非常に賑やかなカップ・アンド・ボール。ボールが増加し始め、分裂し、7種類の違うサイズのボールが計16個出現し、4つ目のカップまで現れます。
著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より抜粋)
著者:リチャード・カウフマン(Richard Kaufman)
1958年生。マジック専門書の著者および出版をメインに、20世紀後半のマジックの世界をリードしてきたアメリカのクロースアップ・マジシャン。
訳者:角矢幸繁(かどや・ゆきしげ)
1969年愛知県生。愛知学院大学文学部日本文化学科卒業。翻訳家。亡き父からの影響で幼少のときからマジックや演芸に親しむ。学生時代よりニューヨーク在住のプロマジシャン・文筆家・批評家のジェイミー・イアン・スイス氏などに師事。