マジックの国スペインが生んだ最高のコインマジシャン、ミゲル・アンヘル・ヘア。スペイン語圏外にはほとんど明かされることのなかった彼のアイディアがここに一挙公開されます。
スライトばかりに力点を置きがちなコインマジシャンのなかにあって彼は別次元の存在です。もちろん彼もテクニシャンであり、恐ろしく豊富な技の引き出しを持っていますが、あくまでそれらは手段に過ぎず、目的になることはありません。重要なのはそれらがどの文脈でどう使用されるかというわけです。彼はテクニック自体ではなく、それを活用するメタなテクニックにおいて卓越しています。
彼のアプローチは多分に心理学的で、知覚のズレやモレを積み重ねてひとつイリュージョンを作り出します。巧妙に分散配置されたタネには誰もたどり着くことができません。目を欺くのではなく脳を欺く。スペインマジックの神髄が彼のマジックにも色濃く反映されています。
どのマジックも、実用的なメソッドに立脚した現実的なものです。中には難しい物もありますが、練習が自己満足に終わることはありません。各作品でバックグラウンドや哲学を語ります。最高級のネタを仕入れるとともに魔法を可能にする考え方を吸収してください。
彼は非常に巧妙なムーブとアイディアを持っている最高のコインマジシャンです。彼のマジックは魔法に見えます
デビッド・ロス
彼は不世出のコインマジシャンというだけではなく、現代のマジック界の星です。マジックに関わるなら彼から目を離せません
ウィリアム・カルーシュ
この巻はカードマジックです。彼がプロフェッショナルとして演じているカードルーティンを解説します。それぞれが壮大な展開を持った作品で、やや詰め込み過ぎな感じもしますが、その構成力には脱帽するでしょう。
- Choice
- 選ばれた2枚のカードが消えてエースの間から現れます。次に、観客が選んだパケットの裏の色が変わり元に戻ります。観客に1枚選んでもらいます。テーブル上に予言があり、見ると選ばれたカードと一致しています。別のカードを選んでもらうと予言がそのカードに変わります。
- Cards and Coins
- カード2枚の間からコインが出現します。これを繰り返されたのちカードからジャンボコインが出てきます。
- Influence
- 携帯電話やメモ帳など4つの品物をテーブルに並べ、その前でデックを4つに分けてもらいます。各山のトップカードを見ると、前にある品物が書かれています。品物を取り換えてもトップカードにはやはりその品物が書かれています。1枚のカードを取り上げてテーブルに当てると「テーブル」の文字が、それをイスに当てると「イス」の文字が現れます。予言を出し、観客に1枚選んでもらい、好きな位置に戻してもらいます。予言を見ると枚数目が書かれており、数えていくとその場所に選ばれたカードがあります。そして選ばれたカードには「おしまい」と書かれています。
- Spelling
- スペリングでカードを次々と当てます。
- Aparicio Kings
- フォーエースアセンブリー。キングとブランクカードを使うので、コントラストの効いたエフェクトになります。
- Massage
- ポーカーデモンストレーションの後、実はマークトデックだと説明し、カードを見ると裏にはデカデカと情報が書かれています。その直後その字は消えます。次に、1枚のカードを引いてもらい、デックに戻します。今度は次々とデックにメッセージが現れ、紆余曲折があって最終的にカードが当たります。最後にデックに現れたメッセージは全て消えます。
この巻はスペインの天才マジシャン、ホワキン・ナワハスをトリビュートした内容です。
- Reality Falls
- 銅貨を取り出してはグラスへ入れていきます。4枚目の銅貨が出たとき、これを銀貨に変えます。グラスの中のコインをみると3枚とも銀貨になっています。
- Pocket Topit
- コインが消えてカードの下から出てきます。
- Thru Everything
- コインが手やグラスやテーブルを貫通します。
- Naked Production
- コインがカードの下に移動したり、カードを貫通したり。最後はジャンボコインになります。
- Cave
- 4枚のコインズアクロス。
- Wild Coin
- 3枚の銀貨があり、1枚目は銅貨に変わり、2枚目は小さくなり、3枚目は半月状になり、最後にすべて元通りになります。
- Catapulta
- 4枚のコインが1枚ずつ箱のなかに移動します。ナワハスの代表的技法カタパルトを使った傑作です。解説ではカタパルトを使った様々なトリックが紹介されます。
強烈なオリジナル・コイン・ルーティンが詰まった巻です。ノックアウトされること必至です。
- Essence One
- 銅貨4枚がすべて銀貨に変ります。その4枚で、コイン・トゥ・グラスを行い、続けてコイン・スルー・ザ・テーブルへ。4枚目のコインがテーブルを貫通せずに銅貨に変ります。残りの3枚を見るとこちらも銅貨に変っています。
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- Essence Two
- コインボックスの中に1枚の銀貨があり、テーブルの上に4枚の銅貨があります。この4枚が銀貨になり、ボックス内のコインが銅貨になります。4枚のカードを出してコインアセンブリー。その後、4枚をコインボックスに入れ1枚ずつ脱出させます。この4枚を1枚ずつ消します。4枚とも消え、手が完全に空なのを見せたあとに4枚を1枚ずつ再出現させます。最後4枚を全部違うコインに変えて終わります。
- Glass and Coins 1
- 4枚のコインが1枚ずつグラスを貫通します。
- Glass and Coins 2
- グラスの中の3枚のコインがあります。こからコインが1枚、そして2枚と脱出します。3枚目は脱出せずに、気が付くと3枚ともグラスの中に戻っています。
- Sleeving
- 3枚のコインが1枚ずつ左手から右手へ移ります。アップテンポでもう一度繰り返します。
- Glass and Sleeving
- 4枚のコイン・トゥ・グラス。
- Cartonumismagia
- コインカットの要領で、デックから4枚のAを次々の見つけていきます。4枚のAが出てきたところで、Aからもう3枚のコインを出現させます。4枚のコインを左手に握りますが、次々と消えてカード下に移動していきます。続けてコインマトリックス。最後にカードを使ったワイルドコインをします。
DISK1~3に漏れた諸々の作品を収録しています。ショートルーティンが多いですが、どれもパンチ力があります。
- Direct Matrix
- 4枚がいっぺんに集まるアセンブリー。
- One Handed Matrix
- 片手で行うマトリックス。意外すぎるクライマックスがあります。
- Spectator Matrix
- 観客に手伝ってもらうマトリックス。
- Elements
- 想像上で銀貨を銅貨に変えた後、それが見える形になって繰り返されます。
- Stickr
- ウォンドを使った3枚のコインの出現と消失。
- Purse
- 小銭入れにある3枚のコインが1枚ずつカードの下に移動します。
- Elastico
- 輪ゴムをデックにかけた状態から、一瞬で観客のカードだけに輪ゴムかかった状態になります。次はデックの上に置かれた輪ゴムが消え、観客のカードにかかった状態になります。最後はデックに巻いた輪ゴムが消え、観客の指定した枚数にかかった状態で現れます。