『アメージングサリー』の佐藤喜義と『パズル』の岡野将太による作品集『マービジョン』の第2段です。Vol.1と同じ路線で、マニアックな研究が楽しめます。
佐藤喜義からはカードトリック3作で、佐藤節とでも言うべきコンボが炸裂するエフェクトが2作と、知られざる原理で手掛かりを与えない数理トリックが1作です。今作も妥協を許さない職人芸で魅了してくれます。
岡野将太からは、軽快でありながらしっかり不思議なカードエフェクト2作と、サトルティが効きまくりのコインルーティンが1作です。もう見事の一言。彼のセンスはやはり普通ではありません。
両達人たちによるマジック研究の極みをどうぞ。
佐藤 喜義
- ザ・プラズマティック・ウィンドウ
- ダブルブランクカードが4枚と青裏の数札が4枚あります。ダブルブランクのうち1枚が青裏のエースに変わります。これを数札のパケットに入れ、数札の1枚をブランクのパケットに入れます。ブランクのパケットを見ると、入れたはずの数札がブランクに変わっています。数札のパケットを見ると、ロイヤルフラッシュになっており、1枚ずつ異なる裏色になっています。
- セプテンバー
- エース4枚とキング4枚があります。エース2枚・キング2枚のパケットを2つ作りますが、パケットをひとつ広げると、すべてキングになっています。手元のキング1枚と別のパケットのエース1枚を入れ替えると、手元は全てエースになります。別のパケットを見ると、10~Kになっており、テーブル上にロイヤルフラッシュができあがります。
- エル・フィールド
- 混ぜてもらったデックから16枚を表向きに並べ、ひとりに赤のカードを1枚、もうひとりに黒のカードを1枚覚えてもらいます。演者が見てないときに、その2枚を入れ替えて、すべてのカードを裏返してもらいます。済んだら演者はカードを集めて混ぜてから、それぞれのカードを当てます。
岡野 将太
- Three Sounds
- デックから1枚のカードを出してから、デックを3つに分けてもらいます。各山のトップから3枚ずつとり、ひとりに渡します。もうひとりにも同じように9枚のカードを渡します。また同じように9枚取って演者が持ちます。それぞれ手持ちのパケットを混ぜてから、カードを減らしていき、最後に1枚を残します。残ったカードはどれも3で、最初に出していたカードも3です。
- Standing Coin Through The Table
- 4枚のコインを使ったコイン・スルー・ザ・テーブルで、タイトル通りスタンドアップで、つまりラッピングを使わず演じられます。ノーエキストラで標準技法だけで何の無理もなく演じられる手順にもかかわらず、非常にディセプティブです。
- Paint Will
- 赤と青のデックをつかいます。観客に青のデックから1枚選んでもらい、演者は赤のデックから対象的な1枚を抜き出します。2枚を重ねると、演者のカードの青裏に変わり、表も観客のカードに変わります。それを元に戻して終わります。準備のない色違いのデックですぐに演じられます。