Volume Iと同じく、単なるマジックルーチンとネタの説明だけではなく、マジシャンとして如何に観客と接するか、個人として何を考えながらマジックを行うのかを丁寧に説明しています。最後に自分の意見として述べている The Too Perfect Theory に関する部分は、志を持つマジシャンには必読です。現実的な戻る道か、超えたと思った完璧の看板の後ろに見える更なる完璧の山を登り続けるのか。トミーワンダーさんも決めるのは自分自身と書かれています。
こう書いていると文字だけ?と思われますが、タイトルにした感謝の言葉は嘘ではありません。個人的に好きなCups and Balls ルーチンは、イラストと共に詳細な説明が40ページを超える量で記載されています。このネタはフレドロさんでも販売されていますが、原書も読まれることをお薦めします。他のマジックも製作するための詳細な寸法を記載したイラストもあり、この通りに作ってルーチンも練習すれば間違いがないとの本人のお墨付きです。
市販されているDVDにも収録されていない、お札を使ったSplitting the Profit はペットトリックとすべく練習中です。
2冊読み終えるのに時間は掛かりますが、購入費用と掛けた時間の対価は十分元が取れる名著です。
日本語版でありがちの小さいサイズではなく、アスカニオのマジックを手にした時のような高揚感があります。安くはないと思いますが、これは買いでしょう。
英語が苦手な人には厳しいかな、率直な意見です。しかし、無理してでも買っておく価値はあります。フレドロさんの紹介にあるような、人を騙すテクニックだけではなくマジシャンとして身につけておくべき基本的なレクチャーが記載されています。
また、個別マジックの解説では詳細な記載があり、ギミックを作る際の参考になります。トミーワンダーさんのDVDや日本語の書籍を見た後の方が、理解しやすいかも。リファレンスの年代が戦後間もなくですが、陳腐化していないのが凄い。パブロフの犬理論は納得、さすが。Vol.2のレビューをお楽しみに。笑