業界内での評価が高いライアン・シュルツ。これは、2013年に発表された彼の処女作です。
ライアン・シュルツと言えば、スライトに頼らない頭脳派マジシャンとして有名です。「ミラクル・ウィズアウト・ムーブ」、「エフォートレス・エフェクト」などでファンになった方も多いのではないでしょうか。さらっと数理原理を用いたり、心理的盲点を突くなどマニア殺しの作品をいくつも発表してきました。
そのスタイルはデビュー時からのようで、収録作品はほとんどがスライトレス。カードをコントロールしている感がなかったりと、観客にほとんどの手続きを委ねるなどマジシャンが見ても不思議に思うところが多いでしょう。
他の作品集と違うのは、オリジナルスライトが5つも収録されている点です。普段のカードマジックでも取り入れられる有用性の高いものを紹介しています。難易度はそう高くないので、ぜひご活用ください。
ライアン・シュルツのファンだけでなく、クレバーなマジックが好きな方はお見逃しなく。隠れた名作がお楽しみ頂けます。
The Mayhew
これは面白い! 観客に1枚のカードを選んでもらい、デックに戻したら混ぜます。マジシャンはテーブルに10枚ほどのカードを散らします。そのカードの山に掌をのせると、まるで静電気のようにカードがくっつきます。その状態で手を振り払うと、1枚だけ残ります。それが、観客の選んだカードなのです。キーアイテムが付属されております。
Insignia
観客に1枚カードを選んでもらい、表にサインしてもらいます。マジシャンは胸につけていたネームケースから名札を取り出します。そのカードの表を見ると、観客のカードと一致しています。ここから、観客のサインが名札に移動します。
E.S. Location
これはマニアでも引っかかるでしょう。観客にデックをよく混ぜたもらってから1枚選んでもらいます。デックに返してもらったら、観客にダメ押しでデックを混ぜもらいます。手がかりが一切無さそうな状況なのに、マジシャンは見事に観客のカードを当てます。かなり自然なので、演技を複数回見ても気が付かないかと思います。
Symmetrical Matching
めちゃめちゃ不思議なセルフワーキング。観客に10枚のカードを渡し、パケットを裏表を混ぜてもらいます。マジシャンと観客でお互い5枚ずつカードを持ち、さらに混ぜます。この状態でトップカードからカードを見ていくと、すべてメイトカードになっています。
Elementary Spoon Bend
名刺に描いたスプーンが曲がります。リアルのスプーンも使う演出が良い。
When In Doubt, Read a Palm
観客Aが選んだカードを、観客Bが当てます。さらに、予言のカードとも一致しています。
Untouchables
枚数の一致、アウト・オブ・ディス・ワールド、カード当てと続くルーティン。ほぼ観客が行うので、とてつもなく不思議です。
Sprung Aces
輪ゴムを使ったエースプロダクション。デックに輪ゴムをかけます。デックのサイドから4枚のAがぴょこっと顔を出します。
Otto Aces
オシャレなエースプロダクション。軽くシャッフルとカットをしたら、一瞬で4枚のエースが現れます。
Black Hole Popout
ビジュアルなプロダクション。これはサンドイッチカードに使いたい技法です。2枚のカードを指先で持ち、それぞれのカードを上下にたわませると、口の形になります。その空間から1枚のカードが突然飛び出てきます。
S.G. Popout
上記のバリエーション。デックのトップからカードを取ってからプロダクションまでの流れがスムーズです。
Schlutzick
ダブルカードの扱い方について。