ハラパン・オン著『The Four Treasures』の日本語完訳版がリリースされました。
業界内の評価が高いハラパン・オン。ガイ・ホリングワースやデビッド・ウィリアムソンといった大物も賛辞を贈るほどです。これまで洋書を中心に発表していたので、彼をご存じない方も多いかと思います。しかし、この日本語完訳版を機に日本での知名度がぐっと上がること間違いありません。
“使い道のない広告カードやジョーカーの代わりにギャフカードを持ち歩いて、強力なトリックをいつでも演じられるようにしよう”というのが本書のコンセプトです。4枚のギャフカードが附属し、それらをそれぞれ1枚ずつ使うトリックを計4作品が収録されています。すべて実演動画が用意されているので、まずは一観客としてお楽しみください。
どれもインパクトがあり、なおかつ手順がすっきりとしています。ギャフカードの特性を活かすことで、最短ルートを通っているからです。カードの改めも必要最低限です。時に大胆と思えるものもあります。不自然に改めを強調するより、一般客相手でしたらこれが最適解なのかもしれません。
どれも素晴らしいのですが、一押しはキックバックのバリエーションであるPunchback。構成がよく考えられており、インパクトを増幅する流れになっています。これは演じたくなるはずです。
ギャフカードに抵抗のある人もこれを見れば考えが変わるのではないでしょうか。それほど良質な手順です。
※必要なギャフカードが付属しております。レギュラーの「バイシクル ライダーバック 赤」1組は各自ご用意ください。
この小冊子の内容を楽しみ、そしてこの4枚のギミックカードの使い勝手の良さや有効性について納得いただけたでしょうか。
もちろん、これら4枚のギミックカードは他の数多くのカードトリックにも使えます --- 他の出版物に載っている既存の現象をどんどん読み込んだり、あなた独自の手順を自由に創り上げたりしてください。1つの手順の中でこれらのギミックカードを複数組み合わせて使い、より不可能な現象を生み出すことだってできるのです。
そして何よりも大事なこととして、物事を当たり前のように受け取らないことの重要性について、本書がそれを考えるきっかけとなってほしいと思っています。より良い、より有用な他のカードと置き換えられないかをよく考えもせず、ジョーカーや広告カードを捨てた経験が何度あるでしょうか? 他にもあなたの身の周りで、マジシャンとしてのあなたが当たり前だと思っていることはありませんか?
身の回りにあるものを違う角度から見ることを学べば、それこそ限りない閃きを得るカギになるでしょう。これは本書の最後を飾るにふさわしい教訓だと思います。
あなたがこれから進むマジックの旅に多くの恵みがありますように。
Harapan Ong
レギュラーデックと言えばコレ!