マニア向け!? なかなかなニッチなDVDです。万人向けではありませんが、一部の方には刺さるはずです。
特定のプロットやテーマを集めたオムニバスは色々ありますが、これは「インポッシブル・カード・ロケーション」 観客のカードがどこにあるか分かりそうにもない状況で当てる作品が収録されています。10作品すべてカード当て。同じ観客にカード当てを何個もすることはないかと思います。バラエティーに富んだ作品を取り入れたいと方には向いてませんが、研究家気質の方でしたら楽しめると思います。
「インポッシブル」というだけあって、どれも強烈に不思議です。観客にデックを混ぜてもらったり、マジシャンの見ていないところでカットしてもらったり、観客が心に思い浮かべた数字を使ったりと、手掛かりが一切無い状況を作り出します。カード当ての一番原始的な形ですが、それだけに不思議さが際立ちます。それを支えるのが数理原理やキーカードなどです。巧みに使っているので、マニアでも引っかかってしまうものもあるでしょう。
ダイ・バーノンやラリー・ジェニングスといったレジェンドの作品から、最近の作品まで揃っています。演じ手は、"改案の魔術師"ことジョン・キャリー。彼の手腕がここでも発揮されております。オリジナルの不思議さを活かしつつ、よりエンタメ性のある演出に仕上げています。
頭脳的な作品がずらり。お気に入りの「インポッシブル・カード・ロケーション」がきっと見つかるはずです。
Bake Off - Jack Tighe
観客にデックを渡し、カードを選んでもらったら元に戻し、デックを混ぜてもらいます。マジシャンは観客のカードを当てます。それだけではなく、マジシャンはよく混ざったデックを受け取り、自分のズボンのポケットに入れます。手をポケットに突っ込み、一瞬で観客のカードをデックから抜き出します。
Impossible - Larry Jennings
数理原理を用いたロケーショントリック。観客が心に決めた数字を使って選ばれたカードが、デックのトップから「Impossible」というスペル分だけカードを配ると出てきます。
Entrapped- John Carey
ダウン・アンダーの原理を使ったカード当て&サンドイッチカード。観客がデックを混ぜてもらい、その中から5枚選んでもらいます。
Bloody Amazing! - Steve Bryant
面白い演出のスペルトリック。「Bloody Amazing」のスペル分だけカードを配ると、観客のカードが現れます。スペルトリックなので、適した日本語に置き換える必要はあります。
Lost and Found - Nick Trost
マジシャンも観客もしっかり混ぜたデックで観客のカードを当てます。不可能性の高さはピカイチです。
The 7 Card 21 Card Trick - Mike Powers
ラッキーナンバーの7を使ったスペルトリック。
Counting on You - John Carey
観客に10から20で好きな数字を決めてもらいます。マジシャンが後ろを向き、その枚数分配って出たカードを観客のカードとします。カードを戻し、デックを揃えてもらいます。マジシャンはデックを受けとったらカットし、パケットを取り出します。観客に最初に決めた数字を聞き、パケットの枚数を確認してもらいます。見事に一致しています。しかも、最後のカードが、観客のカードなのです。
Princess in my Pocket - John Carey
観客にデックをよく混ぜてもらい、5枚配ってもらいます。その5枚から1枚選んでもらいます。その後、カードを混ぜてもらったら、マジシャンは5枚のカードをポケットにしまいます。ポケットから観客が選んでいない4枚を取り出していきます。残った1枚を確認すると、実際にそれが観客の選んだカードです。
Waikiki Location - Bill Morata
ワイキキカードロケーションでのカード当て。デックを3つの山に分け、そのうち1つを選んでもらつたら、よく混ぜてもらいます。パケットの一番上をみて覚えてもらいます。3つの山を表と裏でバラバラに混ぜます。マジシャンはデックを広げて見て、観客のカードを当てます。
Emotional Reaction Plus... - Dai Vernon
ダイ・バーノンの名作。シンプルな原理ですが情緒反応によって当てるという演出が効いており、ただのカード当てより印象的な仕上がりとなっています。
