フィル・ジェイの作品集です。
フィル・ジェイは名人・ボブ・リードですら一緒の会場で演じたくないと言うほどの実力派マジシャンです。テーブル・ホップで顧客を増やし、知名度を上げ、コーポレートショーで成功を収めています。その作品の一部は、伝説の書『奇術の面白さ』にも取り上げられています。
この作品集には、実戦のプロフェッショナルであるフィル・ジェイのテーブル・ホッピングに対する考えが詰まっています。特長は極めて具体的かつ、あほほど分かりやすい。これに尽きます。
テーブルへのアプローチから演技を成功させ信頼を得るまでの行為を、はしごを一段一段上り頂上に達する動きに例えます。最初の一段(テーブルへのアプローチ)を失敗なく登り、はしごを踏み外すことなく上まで昇る方法を、具体的に教えてくれます。その他、1人客に断られないためにどう対応するか。お店を早く成功に導くにはどう答えるか。長年の経験に裏打ちされたロジックはいちいち具体的で合理的です。
中、上級者以上であれば既知の内容もありますが、至るところに散りばめられているプロの知恵には誰もが感心するでしょう。 具体例として説明される手順が実践的でキャッチーなのも嬉しいところです。
これまでフィルとは数多くの場面で共に仕事をしてきました。私の経験から、フィルが非常に力強く観客を魅了することを知っています。この本で紹介する理論や手順により、観客を完全に圧倒します。彼とともに仕事をすることは素晴らしい体験ですが、彼の演じた後や、彼の近くで同時に演じることはおすすめしません。
Bob Read
- 成功するために
- 観客からの尊敬を勝ち取り自分の評判を上げるのは、偶然でなく明確なシステムが存在すること。
- 梯子をテーブルに立てかける
- テーブル・ホップでのテーブルへのアプローチの方法。特に難しいとされる1人客に対する具体的な方法の紹介。
- 観る価値があると思わせること
- 観客を否定せずに手順を構成する重要性。ミスをしてもミスをしたと感じさせないこと。親しみのある道具で演技をした方が良いことなど。
- 観客を巻き込むほど、効果は大きい
- 場にいる観客をできるだけ演技に参加させた方が良いこと。そして、具体的な参加のさせ方。観客の名前を覚える方法。
- 「スネーク」を克服する
- 選ばれたカードをデックに戻した後に、「デックを混ぜて良いですか?」と言われたときの実践的な対処法。何日間もクラシック・フォースの練習相手になってもらう方法。スコッチ・アンド・ソーダの演出を変え、別の見せ方へ。きちんとしたストーリーが生まれる上に、最後に残るものは手渡して調べさせられます。
- 短い梯子を使う
- アンビシャスを例にして最高の印象を与えるセリフ例と、1つ1つのセリフにある狙いの考察。テーブル・ホッピングで次のテーブルに入りやすくするための考え。
- 自信
- 自信を持つために。立ち止まらずに常に進化する方が良いよというありがたいお話。
- 働くべき場所の選び方
- 色々な人間の扱い方を学ぶにはどういうレストランが良いか。
実際に働き出した際に、観客をより早くお店にリピートさせるための具体的なセリフ紹介。
- ジェイ・ダブルプッシュ
- トップカードを人差し指で前に押し出す動作でのダブル・プッシュ。
- カードの折りたたみとパーム
- マーキューリー・フォールドから、折りたたんだカードをサムパームする方法。
- 電卓でカードの位置を当てる
- セルフ・ワーキングの「レイジーマンズ・カード・トリック」に電卓を取り入れ、ラストには少しのスライトを加え、新しいプレゼンテーションで強力なエフェクトにしてみました
- スライト・オブ・フット
- サインド・カード・トゥ・my靴の手順です。ギミックなどは使用せず、スライトで行う方法。靴へのロード方法が賢いです。
- リンキング・ポロ・ミント
- リンクしたポロ・ミントの作り方と、観客が選んだ1つ1つのポロ・ミントをリンキングさせる方法。
- 私はその兵士だった
- ジョン・ハーマンのピノクルトリックに、自分が出演しているレストラン名や料理名を取り入れて見せる方法。
オチは海外でよく知られた歌を利用したものなので、日本人相手に演じるには工夫が必要です。
- スタンディングオベーション・スポンジボール・ルーティン
- 観客参加型のスポンジボールの手順です。
テーブル・ホッピング向きで、ラストに観客を席から立たせ、食いつかせる泥臭い手法がプロっぽくて好きです。