アマチュア奇術愛好家ムナカタヒロシが手掛けたカードマジックの極みともいえる作品集です。この一冊には、心理的な巧妙さが凝縮されており、カードマジックの魅力を存分に感じさせてくれます。
本作は、ただのマジック集にとどまらず、視覚的な驚きはもちろん、観客の心を揺さぶる裏の構成力に感心させられます。作品はすべて精緻に設計されており、数理原理やスライトにより、パフォーマンスのクオリティを一層引き立てます。特に中級者以上のマジシャンにとっては、新たな発見を得られる一冊となることでしょう。
『52Hz』は、カードマジックの奥深さと可能性を感じることができる、まさにアートとしての側面を併せ持つ作品集です。
魔法のような一瞬を生み出すための真髄が、あなたのマジックに新たな光をもたらすことは間違いありません。
モノクロ、全92ページ。著者:ムナカタ・ヒロシ。発行:東北大学クロマドウ会。初版発行:2020年
- 第1章 Traveling
- Split
- 4エースを使用します。観客が選んだAがポケットに移動します。
- Vol-de-Nuit Hofzinser
- 筆者流のホフジンザープロブレムの解法です。
- Double Date
- テンヨーのディーラーズアイテム『サプライズ手帳』にトリビュートした手順。2人の観客のカードが手帳に書かれた数字に従って現れます。
- 第2章 Mental
- power of 'JUNISHI'
- 十二支のシンボルをすべて半分に切った「絵合わせ」のカードを用いる。この中から観客に好きなカードを選んでもらうと、その結果が完璧に予言されています。
- Ariadne
- 裏と表が適当に混ざったパケットをいくつか作り、演者が後ろを向いている間に、好きな山をひっくり返してもらいながら、ひとつの山にまとめてもらいます。このパケットを受け取り、テーブルの陰に持っていき、カードの状態を見ずに裏表を揃えた上で、さらに赤色のカードと黒色のカードを完璧により分けます。
- The Equi-Voyance Test
- よく混ぜたデックから無作為に3枚のカードを取り、さらにその中から観客が選んだカードで『透視実験』を行います。
観客はカードを的中させられず、演者は表を見ずにそのカードを言い当てます。
- 第3章 Playing
- Fake Monte Move
- モンテムーブに見せかけて、モンテムーブを行わない技法です。
- Psychokinepick
- デックに手をかざすと、トップカードがひとりでに動き始めます。どのカードでもでき、演技前後にデックはよく調べてもらえます。
- Rashomon Monte
- ラストに表向きに当たりカードを提示しても、観客が正しいカードを指させない。奇異なモンテ・トリックです。面白いです。
- 第4章 Et Cetera
- Sinking Aces
- 選ばれたAがマットを貫通します。
- Closed Marriage-Brokers
- 観客と演者で裏向きのままQとKのペアを4種類作っていきます。
スートが一致すれば成功のはずが、すべてのペアが不一致です。ジョーカーを結婚仲介人と紹介し、このジョーカーを介してすべてのペアが一致します。
- Awkward Rising
- 複数枚のライジング・カードです。1枚目と2枚目は順調にせり上がりますが、ラストはいつまでたっても正しいカードが上がって来きません。
仕方なく、そのカードを観客のカードに変化させます。カード毎に上げ方のペースを変えるなど単調にならない工夫もあります。
- 第5章 Extra
- Crystal Clarity
- テンヨーの『クリスタルボックス』を活用した秀作です。
透明のボックスに入れたコインが移動し、フタと位置が入れ替わり、ウォンド代わりのペンが移動し、クライマックスへ繋がります。秀作です。
- ラブアダブバニッシュについて
- ラブアダブバニッシュを科学する
- ルポールワレット用封筒についてt
- 開封前に手渡し、密封されていることを確認させられる封筒の作り方