数多くのマジシャンに影響を与えてきたギャリー・カーツの著書「Unexplained Acts」。
その内容が映像化されたビデオ「Let's get Flurious」、そしてその第2弾「Cleating Magic」が遂にDVD化されました。
彼は人間の特性・心理を研究している数少ないマジシャンの一人です。理論に裏打ちされた彼のマジックは、まさしく説明のつかない演技と呼ぶにふさわしい物です。かなり目の肥えたマニアですら解説を見ないと分からない現象に出会える事でしょう。
「Let's get Flurious」では、その理論ついて少しだけ語られています。もし、ミスディレクションに興味が出てきた方は、同著「Leading With Your Head」という小冊子をお勧めします。ミスディレクションの入門書としては大変素晴らしいものです。 とにかくこの2巻を通して、彼の思考・創作力に触れてみて下さい。そして、コインの名手と謳われた彼のテクニックに見とれて下さい。
Let's get Flurious ランニングタイム90分
Forced Thought青裏カードを表向きに広げてみせ、観客に好きなカードを1枚言ってもらいます。カードを揃え、裏向きに返し、広げていきます。すると赤裏のカードが1枚出てきます。選ばれたカードです。さらに演者のポケットからそれと同じ青裏カードが出てきます。2段目として、その2枚のカードが別の観客に選ばれたカードへと変化します。あり得ない状況下での変化ですが、非常に賢いハンドリングで解決されています。
Signed, Sealed, Deliveredサインされたカードが何重にも封をされた封筒から出てくるマジックです。封筒はレギュラーですが、フォース・パーム・ロードなどの技法にひと工夫あり、非常にクリーンなハンドリングに仕上がっています。
Trio in Three観客が選んだカード2枚をテーブルに置きます。コインを3枚(銀貨1枚、銅貨2枚)取り出します。3枚握り、おまじないをかけると銀貨が消えます。テーブルのカードをどけると銀貨が移動しています。次に2枚の銅貨を握り、おまじない。カードをどけると銅貨が1枚移動しています。残りの1枚も握ると、カードの下へと移動します。しかし、ここまではオープニング、まだまだ序の口です。左手に3枚のコインを握り、右手で銀貨を取り出し握ります。右手を開くと・・・2枚の銅貨、左手は銀貨1枚。なんと入れ替わってしまいます。その入れ替わりが何度か起こっている最中に銅貨が2枚とも消えてしまいます。テーブルのカードをどけると、銅貨が移動しています。あり得ない移動現象を何度も味わっていただける良い手順です。
Copper/Silver Continuation銀貨と銅貨のハンキー・パンキー。最後はどちらもジャンボコインになってしまいます。このジャンボコインのロードは秀逸、必ず引っかかることでしょう。
Sharing the Limelight/Code of Silence現象としては、最強の不思議さを誇るでしょう。観客に選んでもらったカードを別の観客が何度も何度も当ててしまいます。これには協力者が必要です。協力者に当てさせる方法が詳しく解説されています。この演出を良しと取るか取らないかは、あなた次第です。
Attraction夫婦、カップルの愛を確かめるマジックです。双方の指輪をかり、ペンに通します。ペンの端を双方に持ってもらいますが、両端のよせた指輪が愛の力で引かれ合います。
Fluriousこれは4Fで演じられ、センセーションを巻き起こしたジャンボコインの手順です。日本刀のように研ぎ澄まされた華麗でスピーディーな手順には一刀両断されることでしょう。
Creating Magic ランニングタイム85分
Misty Like A Dream3枚のコインをプロダクションし、3フライに繋げ、チャイニーズコインへの変化を含んだ後、最後は炎と共に消してしまうという超ロング手順です。ディスプレイやプロダクション、サトルティーの手法が斬新です。
Hypothetical Possibilitiesアンビシャスカードとカード・トゥ・ワレットを上手いこと組み合わした手順です。観客にカードを選んでもらい、表を見せずに財布に入れます。もう一人の観客にアンビシャスカードをした後に、財布から先の観客のカードを取り出すとアンビシャス時のカードです。アンビシャス時に、観客の”サイン”やカード自体が消えたり出てきたりする現象も加わり、面白い仕上がりになっています。
Silk Coin Vanishハンギングコインの演技の最後に素敵なバニッシュを披露してくれます。ハンギングコインは演技のみですが、そのシルクを使っての複数枚のコインバニッシュは解説されています。音のイリュージョンが素敵です。
Gary in your pockets4枚のキングをジャケット、ズボンのポケットに入れます。観客に別の4枚のカードにサインしてもらいます。その4枚サインカードが次々にキングへと変わっていきます。サインカードはというと、先にキングを入れたポケットからそれぞれ出てきます。流れるようなハンドリングはかなりの巧さです。