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フレンチドロップ 「週刊スペルバウンド 675号」 (2020.12.04up)

鍋焼きうどんが恋しい季節となりました。
お変わりなくお過ごしでしょうか。
フレンチドロップの庄野です。

先日の話ですが、コインとカードを使ったマジック「コインマトリックス」の基本技法の1つで、コインの上にカードを置くときにコインをスチールする方法で、
中指と薬指でコインをピンチして密かにコインをスチールするという技法の名前ですが、何と言うのかなと考えたのですが、さっぱり分かりません。

名称も知らずに何十年も使っていたのですが、すぐに分かると調べ始めたのですが、元祖アル・シュナイダーの技法との思い込みでまずアルシュナイダーの若い頃の動画を見たり、
昔のVHSの映像を見たりしたのですが、アルシュナイダーは簡単な違うスチールをやっており、違うと分かりましたが、それから先がまったく思い当たりません。

ここで考案したマジシャン名や技法名が分かった方は居てるかな?

そこで困ったときの神頼み、友人の石田隆信さんに聞きましたところ、以下のようなメールをいただきました(石田さんに許可をいただいた上で以下に掲載します)。



フレンチドロップ 庄野様

こんにちは、石田です。

ご質問の技法について分かりました。
ポール・ハリスのクリップ・スティールです。

1976年の”The Magic of Paul Harris”の本に初登場しています。
彼のコイン・アセンブリーの”The Giant Killer Coin”に使用されています。
マトリックスを演じた後で、もう一度と言われた時のために考案されました。
違った方法で演じられ、最後にジャイアント・コインを出現させています。
この解説では技法名がなく、単にスティールする方法としての解説です。

1979年のポール・ハリス著”Close-Up Entertainer”の本の中の、
“The Silver Elevator”にも使われています。
この中で、上記の作品に使われたクリップ・スティールとして再解説されていました。
こちらの方がイラストを使って分かりやすく解説されています。
カードの下のコインが1枚ずつ消えて、デックの中央に1枚ずつ集まる現象です。
当時の私は、このトリックを練習した記憶があり、この技法も使っていました。

初めは楽にクレジットが分かると思っていました。
ディングルの可能性が大きいと思ったからです。
違っていたら、ロス・バートラムかデビット・ロスだと思っていました。
しかし、すべて外れており、二川氏の数冊の本で調べても記載がありませんでした。
もちろん、ボーボーのニュー・モダン・コインマジックにも記載がありません。

この技法は、かなり昔から使っていた記憶があるのに見つからないのが不思議でした。
そして、先ほどになって、ふと思い出したのが、昔はディングルだけでなく、
ポール・ハリスの本も一早く購入して読んでいたことです。
最後の頼みとして数冊の彼の本を調べていて見つかりました。

今となっては”The Silver Elevator”はごちゃごちゃしたよくない現象としか思えません。
しかし、昔はこのようなマジックに熱を上げていたのを懐かしく思い出しました。
楽しめた調査でしたので、少し長い報告になり失礼しました。

石田隆信



どうでした?
コインマトリックスをクリップスチールを使って演じていた方は感心したでしょう。
私も初耳のことばかりでした。

なぜこのクリップスチールという技法の名前を知りたかったかと言うと、コイン専用のクロースアップマットを長い間探しているのですが、
クリップスチールが容易に行えて、初めてコイン専用と考えるからです。

当店含め、多くのショップで売られているマットのうち、2種類だけがギリギリコインマジックに向いている状態です。
クッションの問題ですが、かろうじて合格なのが、スエード・レザー・パッドと形状記憶クロースアップマットです。

このスレード・レザー・パッドはクッションがあり、コインマジックに向いていると思い、仕入れたものです。

20年ほど前にはコイン専用のマットがありましたが、いまはまったく見かけません。

当店では国内外のショップより色々なマットを仕入れましたが、コイン専用と言えるものはありません(一部ありましたが、サイズが小さすぎて貧弱で使えません)。

これからもコイン専用マット探しは続きます。

さて今週の新商品の紹介です。

新商品のご案内

■コインマジック『ウォーキングリバティ・ダブルフェイス・スーパートリプルコイン』 by ジョニー・ウォン


「ダブルフェイス・スーパートリプルコイン」のウォーキング・リバティバージョンです。

スーパートリプルコインは最初見たとき驚きました。我々の時代では考えられません。反則です。
1枚のコインが3枚にそしてまた1枚に。これほどスムーズにプロダクションからコインの移動を示せるなんて。

これは是非私のお気に入りコイン、ウォーキング・リバティでやりたい!
ということで個人的なぜいたくで今回ジョニー・ウォンさんに作っていただきました。
さすがにシルバーハーフだと見事な出来栄え。大満足です。

少量余分に作りましたので欲しい方はぜひ。これはお値打ち品です。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5471

■DVD『The Expert at the Classic Pass【初回限定特別小冊子付き】』 by ふじいあきら


ふじいあきらさんのクラシックパス研究です。
昔からふじいさんの上手さは群を抜いていましたが、ここまでくるとさすがとしか言えません。

自然で滑らかで、何度見てもこれでクラシックパスの動作が完了しているとは思えません。
推薦文でのウィリアムソンのコメント通り、これはされたことにまったく気づけません。
素晴らしい。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5470


カードマジック『フーディーニーズ・ダイアリー』 by ウェイン・ドブソン


ダイアリー・カード・トリックのウェイン・ドブソン版です。
IBMの例会で生で見せてもらい、絶妙に不思議だったので仕入れました。

使うデックは1つだけのほぼほぼセットなし。日記帳も1つだけ。
観客が選ぶ日付はまったくのフリーチョイス。日記帳はゆっくり中を見せれます。
この状況で選ばれた日付に書かれたカードとマジシャンの予言が一致したら……嫌よね。嫌やよね。
でも一致するんです。

そんなアホな。夜の難波に私の悲鳴がとどろきましたよ。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5461


■カードマジック『トーニメーション』 by メニー・リンデンフィールド


一風変わったレストアード現象です。
くっついた紙片がゆっくり横に移動するのです。
何の移動? 何の移動かは分かりませんが、とりあえず驚きがあります。
最後にこの奇妙な物体となったカードを渡せるところが不思議です。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5464


■DVD『アット・ザ・テーブル マイケル・ルービンシュタイン』 by マイケル・ルービンシュタイン


マイケル・ルービンシュタイン。
「エンサイクロぺディア・オブ・コイン・スライト」にはお世話になった人も多いでしょう。
私も最近またこのDVDを枕元に置き、毎晩映像を見ながら眠りにつくことにしています。
決して内容が眠いという訳ではありませんから。この膨大な研究に敬意を表しつつ眠りにつくと、翌朝すがすがしい気分で目覚められます。

「アット・ザ・テーブル マイケル・ルービンシュタイン」は、その半端ない知識から、リアル現場で使える確かな技法を選び、安定して演じられる
よう組み立てられたコインマジック作品がそろっています。

失敗しない確実な演技をレパートリーに入れたいならこれをご覧ください。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5460


■DVD『リープ・オブ・フェイス』 by SansMinds


思ったカードが移動するタイプのカードアクロスです。
決定的な違いは、観客が見ている目の前でビジュアルにカードが消え、移動するところです。

カードアクロスまでがここまでビジュアルになるとは思いもしませんでした。
従来のあまりの気持ち悪さに余韻が残るような見せ方も好きなのですが……これだけ鮮やかに消え移動するとさすがに驚きますね。

https://www.frenchdrop.com/detail?id=5467

後書き

今週も新製品は盛り沢山でした。
しかしありすぎても困りますね。

レストランや食堂に入っても、メニューが5種くらいだと迷いませんが、30種類もあると選んでいる内に疲れてしまいます。
そういう意味でフレンチドロップでは3種類くらいが適していると思っていますが、最近ちょっと多いかなと反省しています。

マジシャン・ジョニオの「インク・ホール」ですが、お送りするのが少し遅れています。
申し訳ありません。送付遅れの理由はパッケージがまだ届いておりません。

コインや解説DVDは完成しており、発送できる状態なのですが(パッケージに少し凝ったものですから)。
ご注文いただいています方には、あとしばらくお待ちください。

パッケージは後でいいから、コインとDVDを先に送れという方はメールをいただければ、商品を先に送り箱は後でお送りいたします。
では本格的に寒くなってきましたので、風邪などひかれませんように。
ではまた。


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