1月も終わりですが、寒さが増したように感じます。
さて今日のメルマガ担当の庄野です。本日はソフトコインの作り方を解説しようと思います。
まずソフトコインって名称からして思うのは、柔らかいコインって何?
初めはそう思いました。
初めて聞いたのは、ジョン・カーニーさんのショー・アンド・レクチャーだったと思います。
箱根クロースアップ祭りの最初の頃で、ジョン・カーニーさんも若くてバリバリのテクニシャンでした。
シリンダー&コインのレクチャーでソフトコインについて少し説明してくれたのが初めてだったような気がします。
その当時はすり減った銀貨などはコレクションとしての価値は最低でした。
ハワイに遊びに行ったときに、ショッピングセンターの中にあるコインショップに寄って、コインの買い物をしたのですが、きれいなコインはガラスのショーケースに入っています。ジャンク品として木箱に多種のコインが山盛りに入っている中に、すり減ってデザインがほとんど消えているようなハーフダラーやワンダラーがどれでも1枚2ドル(多分)で売っており、20枚~30枚ほど買った覚えがあります。今では貴重で高価で入手しにくくなっています。今思えば嘘のような話です。
箱ごと買えば良かったと思います。ソフトコインとは、コインの面がすり減り、表面の凸凹が無くなり、コイン同士の面を当てて擦っても音がしないというコインです。
さて前置きが長くなりましたが、コインの表面を削って、凸部を平にし、コイン同士を擦っても音がしなくなるようにします。削る量ですが、単に音がしなくなるようにする、ソフトコインにするというだけでしたら、あっという間に削れます。
本当の古い自然にすり減ったコインと同じような見栄えにするにはかなり削らないといけませんが、まず2枚を削ってみて、そのコインを擦り合わせても音がしないか確認しましょう。
必要なもの
・コイン
本物の銀貨またはレプリカコイン。初めはレプリカコインでやってみると気楽で良いかも。
・ヤスリ
時間短縮のため、あれば良し。無ければサンドペーパーだけでも可。
ヤスリは細目の高級品が良いです。幅広で5,000円程度のもの。ヤスリは安いものと高いもので削れるのが全然違います。
・サンドペーパー
耐水ペーパー 400、600、1000、1500、2000
・いぶし液
古いコインは黒くなっていかにも古い感じがしています。
これに似せるため、いぶし液を使います。
いぶし液は以前は「ムトウハップ」という入浴剤が、安くて使い勝手が良かったのですが、硫黄温泉の匂いがするもので、ステンレス浴槽で使うとステンレス部が黒くなるため、今では発売中止になって入手できません。
300mlで500円程度だったのですが、同じような液でいぶし液というのは10ccくらいで300円程度します。
東急ハンズなどで売っています。彫金用でお調べください。
・仕上げ磨き用
金属磨き用の「ピカール」のチューブでも可ですが、最適なのは爪磨き用の鹿革爪磨きです。ネイルバッファで調べてください。
コインを磨くときに大事な事は、コインに当たる面が爪磨きと直になっていることです。
布で指などで磨くと凹面の黒色部まできれいに取れてしまうので、凸部のみを磨けるようなものが良いです。
さぁ削りましょう。
まずヤスリまたは番手の小さな目の粗いもので削ります。
ペーパーなら#400または#600で粗削りします。
指に当たるコイン面に両面テープを貼って、両面テープに指を当て削るとコインがすべらず削りやすいです。
ヤスリで削る場合は、コインの削る方向を変えながら均等に削れるように作業します。
水研ぎペーパーなら、円を描くようにペーパーにこすり付けて、粗削りしていきます。
指先が熱くなりますので、水を付けながら削っていきます。
ここは思うほど時間はかかりません。
10分から15分ほどです。
コイン面をどこまで削るかはこの粗削りの段階でほぼ決めます。
あとは表面の削りキズをきれいにするため、目の細かいペーパーで順次キズを取っていき、最後に完全にキズが無くなって、磨きをかけるという手順です。
目安はコインのエッジの高さとコイン表面のデザインの凸部の高さが同じになるようにします。
それでソフトコインとしてはオッケーです。更に削っていくと使い古したコインの風情になります。
表面を削ったら次はコインのエッジです。
ここは大事です。コインの仕上がりが左右されるところです。
コインのエッジが直角にとがっているのを、使い古してすり減っているように丸くRをつけて削ります。
これは左手にコインを持って、右手でペーパーを45度くらいの角度で当てて削っていくか、ペーパーをテーブルに置いて、右手でコインを45度くらいに傾けるかして、均等にエッジを丸めていきます。
次はコイン表面のキズを取っていくため、水研ぎペーパー(ペーパーに水をつけて削る)の#1000でキズを取っていき、次いで#1500、#2000と進めていくと表面のキズが無くなり、つるつるになります。さてペーパーの作業が終わったら、表面の油分を落とすために、少し洗剤を付けて水洗いします。
次の工程は古色を付けるために、コインの表面を黒くいぶします。
いぶし液を東急ハンズで買うと説明では80度のお湯300ccに対し、いぶし液1ccを入れ、そこにコインなどを入れて、着色反応を見て引き上げ、その後、水で洗い流すとなっています。
この説明通りで良いと思いますが、私は細かい面相筆で原液をコインに塗っています。この方が黒が濃く仕上がるように思います。
仕上げ
見ている間にコインが黒く変色していきますが、真っ黒になるまで置いてその後水洗いします。
水洗いすると少し黒色が落ちて、コイン全体が落ち着き良い感じになります。
最後の仕上げはコインのデザインの凸部の光沢が出るように磨き、凹部は黒い部分を残して仕上げます。
最後の磨きのおすすめは、鹿の裏革のつめ磨きです。
「ネイルバッファ」
で検索すると出てきます。これなら、コイン表面が鏡面のようになります。
ペースト状の磨き材を少量つけて磨くと良いです。これはアマゾンなどで買えます。
好みによって削り方は違うと思います。作業途中で数枚写真を撮りました。参考になれば幸いです。
https://www.frenchdrop.com/special/?page=SoftCoin
余談になりますが、かなり古い話で、マジシャンのダローさんと車で移動している時に、彼がいじっていたコインを車内に落として見つからなかったことがありました。車を停めて一緒にコインを探していて、最終的に見つけたのですが、そのコインを見たときに「え? これ何?」というくらいすり減った1ドル銀貨で、コインの厚みも薄く、デザインがほとんど消えてほぼ銀の円盤でした。
ダローさんが「これは無茶大事なコインやねん」と言っていたのを思い出しました。本当の話です。
書き終わってみると、えらい長い原稿でやってしもたと反省しているところです。
さて今週の新製品の案内ですが、私の一押しはマイク・ギャローの「サイアミーズ・コイン」です。
気絶しそうなくらい不思議な現象が12手順とさらにボーナストリックとして原本には無い栗田 研さんと石山貴浩さんによる三手順も解説しています。
商品はマイク・ギャローの演技DVD、解説ブックレット47ページ(英文)、ギミックコイン、日本語訳解説書(フレンチドロップ製)53ページ。セット価格8,800円。演技映像はフレンチドロップのサイトで見られます。入荷が難しく少量しかないため、注文はお早めに。
それでは新商品のご紹介です。
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