石田隆信のファースト作品集。タイトル通り、スーバーなセルフワーキングカードマジックが収録されております。
「セルフワーキングなんて、マジック初心者がやるモノじゃないの?」と思っていました。しかし、この本に出会って、その考えが大きく変わりました。”コペルニクス的転回”と言っても良い程の衝撃です。この本には面白い数理的原理を紹介しているだけではありません。セルフワーキングによくある退屈な作業を、いかに演出でマジックを盛り上げていくかという所に力が注がれて書かれております。たとえば、キューピット、人の名前、動物の名前、ダルマなどをモチーフとした作品があります。いづれも演出が手順と見事に調和し、クオリティーの高い作品に仕上がっています。この本を読んでからセルフ・サーキングの魅力にはまっていきました。皆さんにも是非呼んで頂きたいのですが、残念ながらこの本は絶版となっております。その変わりと言っては何ですが、僭越ながら、私のお薦めセルフ・ワーキング・トリックもご紹介させて頂きます。どうかご覧下さいませ。
テクニックを使った作品。
リバース・フェロウの面白い数理原理を使ったマジック。
名前を使ったオンリーワンのマジック。クリエイティブ魂がすごい!
退屈な作業である”ダウン・アンダー”を面白い演出で1級品のマジックに仕上げています。
円形に並べたカードを特定の順序でひっくり返していくか、または、取り除いていき最後に1枚のカードを残すトリック。作業がパズルゲーム的で、かつ演出も面白いので観客を飽きさせません。
何枚かのカードをトップからボトムに回すだけで、観客のカードを特定の一致に持ってくる原理。この原理はよくスペリング系で使われますが、作業が退屈でした。しかし、この3作品は生年月日、時間を扱った演出で観客を引き付けます。
カードプロダクション作品2つと、アルファベットの文字遊びを使った作品1つ。
数理原理の面白さに感激した作品に手を加え、マニア受けに仕上がっています。
お気に入りのセルフ・ワーキング・トリックをご紹介致します。気に入って頂ければ幸いです。
数理臭さが無く、不可能性を増していく演出には脱帽。観客に2枚のカードを覚えてもらい、デックに戻します。そして何度かカットし、デックを2つに分けます。そして2人の観客にそれぞれシャフルしてもらいます。その状態で2人の覚えてもらったカードを当てます。
セルフワーキングのトライアンフ。易しくて不思議です。観客に1枚のカードを選んでもらいます。デックを4等分に分け、表裏バラバラに混ぜていきます。観客に選んだカードのマークのみをききます。デックを広げると、観客のスートのみが全て表を向い順番に並んでいます。ただし、1枚のカードだけ抜けています。そのカードは観客の選んだカードなのです。
デックを裏表バラバラにシャッフルしたあと、表と裏の枚数がどのような状態にあるかを当てるトリック。ミスをしたかと思わせながらどんでん返しが起こるクライマックスは必ず受けます。
ポール・カリー考案。観客が感じたままに、赤いカードと、黒いカードに分けます。裏返すと見事に赤と黒に分かれています。これにはダイ・バーノンも「世紀の傑作」と大絶賛。
観客の心拍数の変化でカードを当てるという演出。誰もが知っている原理ですが、演出が変われば一級のマジックになる良い例です。さすが、ダイ・バーノン。是非お試し下さい。予想以上の反応が返ってくることでしょう。
マニアもひっかかるセルフワーキングマジックの傑作。演者はデックを2つのパケットに分け、観客に好きなパケットを選んでもらいます。数回カットして、一番上にあるカードを覚えてもらいます。その覚えたカードを好きなパケットの方の間に入れてもらいます。さらに2つのパケットをリフルシャッフルでよく混ぜます。カードを広げ表を見ると、ぐちゃぐちゃです。この不可能な状況で観客の選んだカードを当てます!