1999年、「シャッタリング・イリュージョン」という本が限定出版されました。
当時、日本では知名度の低かったアメリカマジシャンの作品集です。しかし、瞬く間に売り切れとなりました。それは、マジックそして理論が革新的と話題になり、口コミで評判が広まったからです。
そのマジシャンとはジェイミー・イアン・スイスです。彼はニューヨーク在住のプロマジシャンで、四半世紀以上もの間、第一線で活躍しております。それだけでなく、奇術専門書『Genii』にコラムを掲載するなど、研究家の顔も持っています。
本書は絶版となった「シャッタリング・イリュージョン」を加筆、訂正したものです。収録されているマジックは、一流のマジシャン・研究家である著者自身が長きに渡り演じてきたものだけ。そのため、いずれも手順構成・セリフが考え抜かれた傑作です。必ずやあなたのレパートリーに入ることでしょう。また、ありがたいことに、彼独自の理論や考えを学ぶことができるエッセイが新たに追加されています。
長い時を経て復刊された、マジシャン必読の書。非常に内容が濃いので、じっくりとご堪能ください。
彼こそ最上級のマジシャンだ
LA times
世界で2番目に難しいカードマジックStabbed in the Sandwich
ブーメランカードの2段構成。空中に投げたジョーカーがブーメランのように戻ってきます。その両隣のカードをみると、なんと観客の選んだカードなのです。次に、そのカード2枚を重ねて表向きにデックの中央に入れます。デックをテーブルに置きます。マジシャンは一枚のジョーカーをデックに向かって投げると、デックのサイドに突き刺さります。デックをリボンスプレッドすると、観客のカードの間にマジシャンの投げたジョーカーが挟まっています。
消えたエースの行方The Vanishing Aces Revealed
4枚のエースがデックのトップから1枚ずつ消えていきます。その後、デックを4つの山に分けてテーブルに並べます。消えた4枚のエースがそれぞれ山のトップから1枚ずつ魔法のように出現します。
正直者のカード当てPoint Blank
ダイ・バーノンの「ピッキング・オブ・ザ・ピップス」と「真っ白になるデック」を上手く組み合わせた作品。
キス・オブ・ビックアップルKiss of Big Apple
ジェイミー代表作の1つ。観客のカードが終始テーブルに置いてあった容器の中から6つ折りになって出てきます。ここで使われるフォールドとスイッチはとてもステキです。
興味深いほど強烈なカードマジックA Curiously Strong Card Trick
上記のマジックのテーブルホッピング用に改案。観客のサイン入りカードがミントキャンディーの小さな缶から4つ折りになって出てきます。
カードに願いをWish Fulfillment
手順の巧妙さ、ミスディレクション、ストーリーが見事調和したジェイミーの代表作。マイケル・アマーもこのマジックを学ぶことを薦めています。観客2人にカードを選んでもらいます。適当に選んだカードを紙マッチに立てかけます。そのカードに向かってデックを弾くと、風力でカードが倒れます。そのカードを見ると、1人目の観客の選んだカードなのです。2人目の観客が選んだカードは紙マッチの中から出てきます。
仕掛けのいらない「見えないカード」Gaffless Invisible Deck
空の手からデックが突然出てき、その後、レギュラーカードでインビジブルデック現象をします。オリジナルとは違うユーモラスな展開が待っています。
「虫の知らせ」決定版Premonition Redux
観客が心に思ったカードがデックから消え、テーブルに置いてあったカードケースの中から出てきます。
新しい「天井に貼り付くカード」The Self Contained Card on Ceiling
カード・オン・セーリングで使うワックスのスチール方法を解説。これを知っておけば、スマートに演技ができます。
仕掛けのいらない「ホッピング・ハーフ」Hippity Cop
タイトル通り、レギュラーコインのみでホッピングハーフ現象を行います。マジシャンは銀貨と銅貨を1枚ずつ左手に持ちます。そのうち1枚をポケットにしまいますが、おまじないを翔と左手に戻ってきます。この現象が何度か続き、最後には左手に握っているコインが忽然と消えます。
手軽な「飛行するコイン」Handy Coins Across
観客の手の上で行うコインズ・アクロス。スタンディングで出来るので、覚えておけば重宝することでしょう。
卓上版イリュージョンWell in Hand Okito
金属製のコインボックスに入れた4枚のコインを1枚ずつ魔法のように抜き取っていき、再び元に戻して行きます。さらに、4枚のコインが忽然と消えます。
ジャンボ・コインの扱い方Direct Steal and Jumbo Coin Transformation
ジャンボコインのスチール方法とコインを大きくする方法。
理論Theory
”トゥー・パーフェクト・セオリー”の解説。そして、浮遊現象とアニメーション現象の違いについて。
使用する糸についてA basic thread primer
フローティング・スレッド、セミ・インビジブル・スレッド、エソテリック・スレッドの特性について。
照明の問題に光りを当ててみようThrowing some light on the Subject
演技をする時の照明、背景について3種類のスレッドで比較しています。
糸の持ち運びについてシンプリー・スイスGimmick:Simply Swiss
見えない糸の保管方法について。ジェイミー独自の方法が紹介されています。
アニメーテッド・リングAnimated Ring
アニメーション現象の演出を学ぶことができる傑作。マジシャンは観客から借りた指輪を鉛筆に通します。鉛筆を水平に持ちマジシャンが精神を集中すると、リングが動き出します。鉛筆を垂直に立てて持つと、重力に逆らって、リングが少し上がります。最後は観客に鉛筆を渡し、水平に持ってもらいます。その状態で、マジシャンが念力を送るジェスチャーをすると、リングが動き出します。最後に鉛筆と指輪を観客に渡して、調べてもらいます。
ザ・ソリッド・グラスThe Solid Glass
紙ナプキンとコップを使った手順。カップのスイッチが必要なく、面白いクライマックスです。是非ご覧くださいませ。
エッセイ
何故、マジックはくだらない見世物なのか? (Why magic Sucks)
本当の秘密 (Real Secrets)
レッスンと学習 (Lesson and Learning)
謎の探求 (The Search for Mystery)