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「奇術探究」は毎号ひとつのテーマで作品を紹介する小冊子です。奇術家たちの様々なアイディアが楽しめます。
今回のテーマは赤と黒です。「Change the World」がメインテーマになっています。
この原案はみなさんご存知の「Out of This World」です。1942年にポール・カリーによって生み出されました。
まるで観客の意志を完全に支配しているかのようなこの現象は、セルフワーキングの最高傑作と言っても過言ではありません。
これまでにもポール・ハリスやマーチン・ガートナー、最近ではFISM第1位のヘルダー・ギマリャエスなど
かなりのビックネームが独自のバリエーションを作っています。U.F.Grantの手順を覚えている方も多いでしょう。
ここに収録されている「Change the World」もバリエーションの1つ。「手順が長い」、「セットが必要」
、「不自然なガイドカードの交換」といった原案の演じづらい点は見事になくなっています。
演者とお客の負担が減った訳です。それでいて「Out of This world」が持つ魅力を損なっていません。
これなら是非ともレパートリーに入れたいものです。
またスタック・カルというカードコントロールも解説されています。
これは「Change the World」にも使えます。難易度は少し高めですが、応用範囲が実に広い技法です。
習得する価値は十分あります。
今回も濃ゆい内容に仕上がったこの小冊子。心ゆくまでお楽しみ下さい。
【収録内容】
藤原邦恭の「フジカラー2008」 ― ゆうきとも
赤、黒のペアを5つ作ります。それをそのまま集めて1つのパケットを作ります。
状態は赤、黒が交互になっているはずですが、確認すると色は分離しています。
ハーフ・アスカニオという技法名に関する調査報告 ― 石田隆信
当店のコラムも執筆してくれている石田隆信のハーフ・アスカニオの調査。
ここでは普段何気なく目にする技法「ハーフ・アスカニオ」についての調査報告です。
相変わらずかなり詳しく調べられています。
シック・ウォーター ~50年後の水と油に進化は見られるのか?~ ― ゆうきとも
4段からなるオイル・アンドウォーターです。前半部分は創刊号、第2号でも解説されていた見せ方に似ています。
第3段目で終了しても良いとゆうきとも本人が述べているように、第3段目の現象はインパクトがあります。
Out Of This World~史上最も有名なカードトリックを演じるための覚書~ ― ゆうきとも
この認知度の高すぎるトリックをなぜ演じるか、どう演じるか、これまでにどんなアイディアが出ているのか
ゆうき目線からの鋭い考察。
スタック・カル ― 橋本昌也
複数枚をまとめてカルする方法。Change the World以外にも幅広く応用が効きます。
Change the Worldについて ― 橋本昌也
「Out of This World」のバリエーションです。原案のどこを嫌って、このバリエーションが生まれたかが
理解できます。原案とバリエーションについて、そのメリット、デメリットもよく分かるでしょう。
Change the World Ⅰ ― 橋本昌也
20枚のパケットを使ってアウト・オブ・ディス・ワールドの現象を起こします。使うテクニックは1つだけ。
セット不要で原案よりもスピーディーに事を進めることができます。
Change the World Ⅱ ― 橋本昌也
ちょっと変わった試みです。
二人の観客に赤、黒が混ざったパケットをそれぞれ持ってもらいます。
どちらか一色を選び、その色ではないと思ったカードは捨てていってもらいます。
最後に手に残ったカードを見ると、観客の判断が全て正しかったことが証明されます。
途中、観客とのやり取りを挟むことで、より楽しい演技になると思います。
Change the World Ⅱ ~ゆうきともの手順~ ― ゆうきとも
セット不要。さらに技法不要のChange the Worldの手順です。
ゆうきともの無理のない構成で橋本さんのアイディアがさらに活きてきます。誰でも簡単に
演じれることができるので、ぜひともレパートリーに入れて下さい。
Change the World Ⅱ その2 ― ゆうきとも
1の手順とは若干、構成の仕方が違います。
1と合わせて見てみると見せ方に、とことんこだわっているのがよく分かります。
いろいろと改案が掲載されていますが、やはり原案の最後のインパクトに勝る作品はありませんでした。52枚のトランプが赤黒2つにきれいに原案は分かれますからね…。
しかし、ガイドカードの入れ替えなくすために如何に工夫されたかなどが分かります。また、インパクトに勝る作品はないとは言ったものの、実用的な作品は多いと感じました。
以上の結果から☆4にしました。
テーマはアウト・オブ・ディス・ワールド。
この手順は非常に無理がなく、やり易いと思います。
でも、演じるときは原案のアウト・オブ・ディス・ワールドを行ってしまいます。
クラシックの持つ魅力でしょうか…