一昔前、マジックショップ・ミスターマジシャンで「サービス原稿」なる小冊子が配布されていました。12,000円以上買った顧客へのオマケアイテムだったのですが、内容があまりに良いということで、これを入手するためだけに要らない商品を買う人もいるぐらいでした。ビックリマンもびっくりです。
そんな伝説の原稿が1冊にまとまりました。これはもうスゴイの一言です。これでもかとばかりに傑作が並んでいます。冗談抜きにこの本だけでクロースアップのレパートリーには一生困りません。少しでも読み進めればこの7,150円がいかに安いかがわかるでしょう。
買わねば損とはまさにこのこと。嫁を質に入れてでも買ってください!
※内容がやや高度なので初心者の方にはおすすめしません。
【収録作品】
Carpe Cajones - ドック・ディクソン
好きなビートルズのメンバー、生まれ月、選ばれるカードが同時に予言されています。
スライト・オブ・フット - フィル・ジェイ
囲まれた状況でも演じられるカード・イン・シュー(サインドカードが靴の中に移動)。
D.P.S. & T.P.C.Finesse - Paul Chosse
ダイアゴナル・パーム・シフトやタマリッツのパーペンディキュラー・コントロールを容易に、またよりディセプティブに行う方法。
Conmon sense isn't conmon
確率問題に関するコラム。
ブラス・バンド - カール・ファルブス
輪ゴムを薬指と小指にかけた状態で、中指と薬指を握ってもらいます。相手に目を閉じてもらい、再び目を開けてもらうと、輪ゴムは中指と薬指にかかった状態になっています。
Call out you Card - Dannis N. Sarlotta
予言を1枚をテーブルに出します。次に3人の観客にそれぞれカードを選んでもらい、それをテーブルに置いていきます。3人に選んだカードを言ってももらうと、全員スペードのA。予言のカードを見るとスペードのAです。他の3枚を見直すと、スペード以外のAがそろっています。
エラスティック・エイス - J.K.ハートマン
ミニカードのハートAとレギュラーカードのハートのKが接触した瞬間、ミニカードがハートのKになりレギュラーカードがハートのAになります。
フェロー・ラップ - ダグ・エドワード
ファローシャフルをしながら選ばれたカードをラッピングする方法。
The Called for Vanish - エド・マーロー
好きなカードを言ってもらいます。デックのカードを1枚ずつ表向きにしていきいますが、そのカードだけありません。
ワン・トゥ・スリー - ポール・カリー
A,2,3の順で並べたカードがA,3,2に。ありえない入れ替わりと強烈なクライマックス。
飲み物のプロダクション
ドリンク入りのグラスを取り出す方法。キング・ソロモン、マック・キング、トム・ストーンの手順を紹介しています。
Earth Shoes
靴から大きい石が出てきます。
カード・オン・タイ - ダニー・コーレム
デックとピンを演者に向かって投げ付けてもらうと、選ばれたカードがネクタイにピンで止まった状態になります。
ライト・ハンデッド・カード・トリック
片手だけで行う(実際には両手を使っていますが)カード・トゥ・ポケット
エース・トランスポジション - ボブ・ホワイト
ラストトリック(ドクター・ダレイ)の改案。
マジシャンズ・フーラー
マジシャンをもひっかけられるカードトリックのアイディアが5種類。ノンマジシャンにも有効だと思います。
ブラフパス
もっとも大胆なパスを徹底考察。
ホーミング・ラバーバンド - カール・オルブライト
飛ばした輪ゴムが床を転がって戻ってきます。
Got a Light? - デビッド・リーガル
2個のマッチ箱がひとりでに動きます。シンパセティック・マッチとアクロバティックマッチを融合した手順。演技の前後に箱を調べてもらうことができます。
スキンド&カバード - ジム・クレンツ
選ばれたカードをひそかにカードケースの中に入れるテクニック。
逸話&コメディー・マジック
ダイ・バーノンの逸話とギャグ、バーベットなど。
デイビィッド・アカーの奇術
デビッド・アーカーのマジック3品。
・タイムフライズ : 左手のコインをポケットに、腕時計を外しておまじない。コインは左手に戻り、腕時計も腕に戻っています。
・マッドキャップ : 王冠を使った空手コイン。
・べスペクタル : 指輪が消えて眼鏡のつるに。
Cointing on It - ビル・ハーツ
観客に10から20までの間で好きな数を言ってもらいます。演者がデックからパケットを取って数えるとその枚数で、さらにその枚数目から選ばれたカードが出てきます。
アンビキュアス・カード - マイク・パワー
デックをリフルすると選ばれたカードがミニカードになって突き出ます。抜き出すとレギュラーサイズになり。はじくとまたミニカードになります。
One Handed Fan Force Technique and Outs - デレック・ディングル
デックをファンにした状態で好きなカードを覚えてもらいそれを当てます。成功率は90%。外れた場合のアウトも解説。
アップ・ジョグ・スイッチ - Roger Crosthwait
アップジョグしたカードを他のカードと隣かその隣のカードとスイッチする方法。3択の時に有用。
Do you want to continue - バーリー・リチャードソン
言ってもったカードだけ、2つのデックの同じ枚数目から出てきます。
マーキュリー・ワン - デビッド・ストーン
マーキュリー・カード・フォールドを片手で行います。
ダミー・パス - ジム・スウェイン
デックを分けて「これですか?」と聞くジェスチャーの中で行うクラシックパス。
アビティー - デビッド・アーカー&ジェイ・サンキー
デックにナプキンをかけるとふわふわ浮遊を始めます。それつかみナプキンを除けます。カードは1枚になっており、それが選ばれたカードです。
アルティミット・フローティング・ビル - リック・アンダーソン
テーブルホッピングのプロが教える究極のフローティングビルルーティン。
フローティング・カード・ケース - アンジェロ・カーボーン
何の準備もなくできるカードケースの浮揚。
ブーリング・マイ・ストリング - ジョシュア・ジェイ
30cmのロープを足にかけてひっぱると2mになります。
パーフェクト・カード・ライズ - グレッグ・R・ディクソン
実用的なライジングカード。せり上がったあと、デックを手渡せます。
ファロー・シャフルのためのデック・プレパレイション - アレクサンダー・エルムズリー
これをしておくことでファローシャフルが格段にやりやすくなります。
カラー・スタナー - ポール・ハリス
いわゆるカラーチェンジング・トライアンフ。アメリカの多くのマジシャンが愛用する優れた手順です。
コンビンシング・ティル - ダロー
もっとも説得力のあるティルト。
ジ・アマチュア&ザ・プロフェッションル - ジェイ・サンキー
他愛のない現象ですが、話の付け方で見違えます。
チル・パック - ジョン・カーニー
見えないデックを取り出し、反対の手に渡した瞬間見えるようになります。
タッチ・フォース
デックを広げていき触ってもらったカードがフォースカード。クラシックフォースを失敗したときにこれでリカバーできます。
バート・ハーディングのスタックド・デック・システム
カードと枚数目の一方がわかればもう一方が算出できるスタック。バラバラに見えますし、丸暗記よりも断然楽です。
ザ・カード・アット・エニー・ナンバー - バリー・リチャードソン
クレバーなエニー・カード・アット・エニー・ナンバーのソリューションが2案。
Open and Shut Case - ケン・クレンツェル
エニー・カード・アット・エニー・ナンバーをケースの細工とデックの取り出し方により実現します。案外実用的。
ターン・ノーバー - バリー・リチャードソン
デックをターンノーバーする際のミスディレクション。
グリージング・ライトニング・アゲイン - ジョン・バノン
カードフォールドの一案。マーキュリー・カードフォールドよりも楽です。
ポジティブ・カード・フォールド - ピーター・ダフィー
また別のカードフォールド。テーブルド・リフルシャフルからのフォールド。ばれにくいです。
紙マッチに通うカード - ユージン・バーガー
選ばれたカードが紙マッチの中に移動します。
マッチボックス・ロード - ロン・ハドレイ
選ばれたカードがマッチ箱の中から現れます。。
口から現れるカード - Rich Johnsson, Gerald Deutsch
選ばれたカードが口の中から出てきます。上記2人の手法をそれぞれ解説しています。
Troy This One - Troy Hooser
リンキングリング誌でベストトリック賞に輝いたコインルーティン。
スプリット・セカンド - ピット・ハートリング
選ばれたカードが観客の腕時計の下から現れます。
ファン・スチール - J.J.
ファンをしながら1枚のカードをスチールする方法。
ブラインド・ラック - ダン・ポーラス
もっとも強烈で不思議なドゥ・アズ・アイ・ドゥ。
カモセンブリー - リチャード・バートラム Jr.
すごいコインアセンブリー。カードの下のコインが消えた後、カードの両面が見せられます。
ウルトラ・ムーブ - ハリー・ロレイン
ダブルリフトに代わる、トップカードのスイッチ。完璧なムーブで疑う余地がありません。
キャプテン・クックス・カード・トリック - Helge Thun
ずっとポケットに入れていた左手を出すと、人差し指の先に選ばれたカードが折られた状態であります。
フォールス・シャフル - ゴードン・ブルース、ダン・ギャレット
知らなければマジシャンでも煙に巻かれるオーバーハンドフォールスシャフルが2種。
ダブルレス・ミスディレクション - トム・フレイム
マーローのミスディレクションパームをダブルリフトなしで行う方法。
リシャッフルド - ドック・ディクソン
Unshuffled(ポールガートナー)の改案。演技がリセットなしで繰り返せるようになっているので、テーブルホッピングのとき便利です。
ファロー・シャフル・テクニック - デレック・ディングル
ディングル式ファロー・シャフル。
ライト・ハンデッド・トライアンフ - デビッド・ソロモン
多くのマジシャンをひっかけてきた本当にリフルシャフルで入れてしまうトライアンフ。
エングス・ボトルズ - ハリー・エングス
ウィスキーの瓶にデックを箱ごと入れる方法。
バンド・スラム - バーナード・ビリス他
輪ゴムを巻いたデックを持って手を放すと、選ばれたカードが演者の手の甲に現れます。
ネクター・オブ・ザ・カード - トロイ・フーザー
クロースアップマットからのボトルプロダクション。
リーダーシップ・ポテンシャル - トム・フレイム
ラリー・ジェニングスやマイク・スキナーをノックアウトしたフォロー・ザ・リーダーの手順。
ストレッチング・ストレッチド - ピーター・ガン
輪ゴムを巻いたデックから観客のカードがビジュアルに抜け出ます。
テーブルを通り抜けるカード - ドン・イングランド
選ばれたカードがテーブルを貫通して観客の手の上に落ちます。次は選ばれたカード以外が貫通し、選ばれカードのみテーブルに残ります。
ザ・デック・イン・ザ・ボトル - ピート・マッケイブ
デックを瓶に入れる方法(エングス・ボトル)を易しく改良したもの。
ブードゥー・ペン
ペン・スルー・エニシングをより不思議に見せるアイディア&ハンドリング。
キャラコ・キッカー - コディ・フィッシャー
3段からなるカード・トゥ・ボックス。ラストは選ばれたカードがおられてカードケースから現れます。
インビジビリティ - コディ・フィッシャー
紙袋とデックを手渡し調べてもらいます。デックを紙袋に入れ、その中で1枚ひっくり返してもらいます。別の観客に好きなカードを言ってもらってから、紙袋の中のデックを取り出し見ると、そのカードだけひっくり返っています。
ストレンジ・アンド・トゥイン - ボブ・ニール
カードを使って目の錯覚を楽しみます。
シンブル・ムーブ - ジョー・モーガー
シンブルのスタックをサムパームした状態から各指へ移すテクニック。
プレジデンシャル・オープナー - スティーブ・ビーム
お札の影からシンブルが4指にはまった状態で出現。
You Can Call Me "AL" - ジョー・モーガー
アル・コーランのシンブル・バニッシュを改案したもの。
トーン・アンド・リボーン - ダン・ギャレット
カードの一部を切り取り手渡します。残りを細かく破って封筒に入れます。これが封筒の中で復元します。再度、これを千切ります。これが封筒内から復元しラミネートされた状態で出てきます。
アンビシャス・ストレンジャー - アレキサンダー・エルムズリー
裏の色の違うカードで行うアンビシャスカード。最後にその1枚と残りのデックの色が逆転します。
フライング・ピッツ・オブ・ペーパー - エドウィン・サッシュ
ナイフに紙切れを張り付けて行うトリック。即興でできる名作。
ファビュラス・エース・ルーティーン - ヘンリー・クライスト
ヘンリー・クライストの4エース
トリプル・コインシデンス - ダイ・バーノン
シャフルした2デックから演者と観客それぞれが適当に取った枚数が一致します。さらに配った山のボトムカードと残りの山のボトムカードも一致ます。
オフ・カラー・モンテ - ピーター・マーシャル
3カードモンテの最後にマネー・カードの裏色が変わり……。
ピーラー - ポール・ハリス
カードの表面(ひょうめん)の一部を引っ掻いて剥がし、また元に戻します。
アピーリング・イルージョン - マイケル・ウェーバー
雑誌を取ります。ちょうどカバーモデルのおしりの部分破れており、めくるとパンツが見えます。他の人が見ようとしても、破れ目は修復されており、何も発見できません。
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『奇術傑作選』全31巻からコメディー物を集めました。
このレビューを読んでいる暇があったら今すぐ買ってください。
私は二回目の購入です。(2012年の発売以来)おそらく在庫もあまり多くはないでしょう。
日本語で書かれている手品の解説本でここまでコストパフォーマンスが高い本は他にありません。ずば抜けています。
まぁこんな本が作れたのにはそれなりの理由があるのですが、作品の評価とは関係ないので割愛します。
マイナスな点を挙げるとしたら、専門的な内容、書き方のため初心者が読むには向かないということです。しかし未来の上達を見越して今のうちに買っておくのもアリだと思います。
手品を愛す人間ならば買って損は絶対しない、超ウルトラハイパー良書です。
ミスターマジシャン・根本毅氏のファンアイテムにもオススメです。
タイプライターで打たれていたサービス原稿がパソコンで作って読みやすくなりましたね。
個人的な意見ですが、私はカードマジックが嫌いです。やらないというわけではありませんが、今よりレパートリーを増やしたいとは思いません。ゆえにこの本の多くのトリックが私にとっては不要です。
カード以外の数個のネタのために購入しました。
カードばかりやってる人には良い本だと思います。