これ1冊でカードの演目には困らなくなります。
ロベルト・ジョビーの見識で選んだスライトレス・トリック(スライトを使わないトリック)の名作が詰まっています。しかし、この本がすばらしいのは、ただの傑作選ではないところです。ハンドリング以上の「演じ方」が見事に示されている点で、一般的な作品集とは一線を画しています。
7つのルーティンが載っており、1つのルーティンは3つのトリックで構成され、これがうまく相乗効果が生まれる組み合わせになっています。各トリックに対して、演出、セリフ、その他もろもろのアドバイスが丁寧に書かれています。至れり尽くせり。演じるためのお膳立ては万全です。書かれている通りきちんとやれば、極めて上質なパフォーマンスになります。
スライトレスなので操作的に難しいものは無く、また計算やプロセスが煩雑なものもありません。書名の通りライトに演じられる物ばかりです。
ライト層に向けた最高の一冊ですが、コア層にとってもやはり最高です。隠れた名作もありますし、ジョビーの鋭い洞察はマニアであっても(マニアにこそ)、参考になります。
カードマジックをする人のバイブルと言っていいでしょう。
T.N.T. ホァン・タマリッツ
全く不可能に思われる状況で、選ばれた2枚を当てます。
Intuition ポール・カリーをベースにジョン・ケネディ
2人の観客が、混ぜられたデックを直感により赤と黒に分けます。
The Telephone Trick ハワード・サビッジをベースにウィリアム・マカフリー
混ぜられたデックから自由に1枚カードが選ばれます。演者が霊媒に電話をかけると、その人はカードが何であるかを電話越しで当ててしまいます。
Thot Echo サム・シュワルツ
きわめてフェアな状況で観客が2枚のカードを選び、カードを混ぜますが、マジシャンはそれらを見つけ出すことができます。
Royal Flush ボブ・ハマーをベースにラリー・ジェニングス
観客によって10枚のカードがランダムに選ばれ、シャフルされ、そして2つのポーカーの手札として配られます。にもかかわらず、マジシャンの手札がロイヤルフラッシュになっています。
The Waikiki Shuffle ビル・ムラタ
振り子の揺れから選ばれたカードを当てます。
Fingertip Sensitivity ボブ・ハマー
観客がテーブルの下でカードのパケットをどのような並びにしたのか、をマジシャンが当てます。
Muscle Reading ジャック・マクミラン
カードを選んでもらい、デックの中に戻してシャフルしてもらいます。マジシャンは、他人の“無意識の筋肉インパルス”を読む能力により、選ばれたカードを見つけ出します。
The Lie Detector ロベルト・ジョビー
観客がカードを憶えて、デックに戻し、シャフルします。次に、7枚の無関係なカードを抜き出してもらいます。そうしたら表は見せずにマジシャンに向かってカードの名前を言っていってもらいます。しかし、どれか1枚のカードのところで、そのカードの名前の代わりに、選んだカードの名前を言ってもらいます。そこからマジシャンは観客のカードを当てます。
The Circus Card Trick ヒューガード&ブラウエ
選ばれたカードを探し出すことに失敗した、と観客が確信している状況で、マジシャンは意外性のある成功を収めます。
The Fingerprint ヒューガード&ブラウエ
自由に選ばれたカードが、観客によって、きわめて厳正な状況の下、デックに戻されます。にもかかわらず、マジシャンは選ばれたカードに残された“指紋”を手がかりに、これを見つけ出してしまいます。
Magical Match ジョン・ヒリアード
マジシャンは、説明のつかないやり方で、観客がデックからカットしたカードの正確な枚数を2度も当てます。
Cards Never Lie!J.C.ワグナー
観客がカードを選び、デックの中に戻してシャフルします。マジシャンは、これからカードについて3 つの質問をするが、回答については嘘を言ってもいいし、本当のことを言っても構わないと観客に伝えます。マジシャンは選ばれたカードが何か分かるだけでなく、すぐに同じ数字の他の3枚のカードも取り出します。
Digital Dexterity アル・ベーカー
観客がカードを1枚選び、それをデックに戻してシャフルします。マジシャンはデックをポケットに入れ、そこから選ばれたカードを取り出します。
Think Stop!ブルース・サーボン
観客が自由にカードを選び、デックに戻し、シャフルします。マジシャンは、観客が心の中で思ったことを読み取り、カードを見つけ出します。
Card Caper ロベルト・ジョビー
2人の観客が自分自身がシャフルしたデックから、それぞれカードを選びます。選んだカードをデックに戻し、再度シャフルします。ここからマジシャンは2人の選んだカードを見つけ出し ます。
In the Hands フランク・ガルシアをベースにロベルト・ジョビー
観客がデックをシャフルし、その内の2枚を覚えます。そして覚えたカードをデックに戻してもらいます。この不可能な状況にもかかわらず、マジシャンはそれらのカードを両方とも見つけ出します。
Back to the Future アル・リーチ
マジシャンは自分自身で未来に行き、そこで何が起こっているかを記憶し、過去に戻ってきて、そしてこれから起こることを予言する、という演出のカードの予言エフェクト。
Manto ボブ・ハマーをベースにリシャール・ボルメル
マジシャンは予言を書き、それをカード・ケースの中にしまいます。ケースは観客に持っておいてもらいます。観客とマジシャンがカードを表裏ごちゃ混ぜにします。デックはカオスな状態になりますが、何枚のカードが表向きになっているか、それらの内、何枚が赤で何枚が黒か、が予言に正確に書かれています。
Vernon’s Miracle ダイ・バーノン
マジシャンは考え得る限りのフェアな状況のもとで、選ばれたカードを見つけ出します。
That Is the Question リシャール・ボルメル
マジシャンはなんの質問もすることなく、自由に思ってもらったカードが何かを当て、探し出してしまいます。