「ワン・ディグリー」「アン・ルート」といった名著を世に送り出したジョン・ガスタフェロー。DVDで彼の魅力的な演技を体感してみてはいかが。
前述の書籍と同じく、スタンダードなマジックに少し手を加えることで、素材の味を劇的に向上させています。その工夫は、技術面だけでなく、演出面にも及びます。技術的な負荷を減らしつつ、観客受けを意識した演出の作品は本当に実践的です。中でも、効果が最大限になるように仕組まれたマルチプルクライマックスは必見。手順的にも無理がありません。
カーディシャンのイメージが強いですが、コインや日用品を使ったトリックもいくつか解説しています。こちらにも彼の能力が十分発揮されています。
映像の強みは、最初に観客目線でマジックに触れられる点です。下記の作品紹介ではあえてオチを伏せてるのもあります。まずは素直にお楽しみ頂ければ幸いです。彼はショーマンとしてもなかなかやります。
マジックをやっていて彼を知らないのは勿体無いことです。書籍と併せてぜひご覧ください。
アメリカで2010年ブック・オブ・ザ・イヤーに輝いた名著が日本語に!
コンパクトながら良作の詰まったジョン・ガスタフェローの作品集。
レパートリー入りするトリックがいくつも見つかったよ。
アラン・アッカーマン
彼は、新しいメソッドを常に考えている探求者です。
ジョン・ラッカーバーマー
セカンド・ストームには、強力な現象がたくさん収録されている。
デビッド・リーガル
Quick Draw
指輪と鉛筆(消しゴム付き)のルーティン。「人生とは絵だ」という演出を付けることで、指輪の出現・消失がより印象的になっています。
Tricycle Cards
ジョーカーの成長を物語にした魅力的なパケットトリック。ストーリーに沿って、パケット全体が2回も変化します。
Teeter Totter Aces
観客参加型の4Aプロダクション。デックから突き出たカードを観客に押してもらう度に、デックの反対側から表向きのAが現れます。
Famous Aces
移動現象が明確に伝わるエースアセンブリ。パケットに混ぜたAが本当に消え、カードケースの中から出てきます。
Jokers To Go
ケードケースに入れていたジョーカー2枚と、デックにある観客のカードの位置が入れ替わります。
Remote Possibilities
ギャフカード「52 on 1 card」をこれほどまでに活かしたトリックはそうありません。演出とオチが最高です。
Fair Trade
マジシャンが観客のKを当てるだけでなく、観客もマジシャンのパケットからKを見つけ出します。これが偶然ではなく必然。驚愕のオチをご覧ください。
QuickPocket
サインドカードで行うトラベラー。K4枚をマジシャンのジャケットやズボンのポケットにバラバラに入れます。手元にあるA4枚におまじないを掛けると、すべてKに変わります。ポケットのカードを取り出すと、すべてAです。
The Eerie Truth
サイコロ2個を使ったカード当て。予言と一致して終わりかと思いきや、頭が真っ白になるクライマックスがあります。
BONUS: Vino Aces
ワイングラスを使ったオシャレなマクドナルドエーセス。グラスの中のAが消えていき、観客の持っているグラスに集まります。
Cigarette Pack to Cards
タバコケースが一瞬でカードボックスになります。ちょっとした細工ででき、観客に箱を調べてもらえるのが良いです。
Trans-Pocket Switch
ズボンの後ろポケットから突き出しカードのスイッチ方法。それを使った手順も紹介。
East Meets West
チャイニーズコイン、銀貨、名刺、箸を使ったトリック。意外性のあるコインの出現、移動、交換現象が面白い。ウォンドではなく箸を使うところがミソです。
Optical Opener
二転三転のあるブランクデックルーティン。現象が分かりやすくて派手です。これがウケないわけありません。
Here,THere,Everywhere
デックのあちこちから観客の選んだダイヤの6が出てきます。同じカードが4枚あるのかと思ったらそれは幻でバラバラのAです。最初からテーブルに置いていたカードを見ると、それがダイヤの6です。
Collectors With A Twist
A4枚の間に観客のカード3枚が挟まるコレクター。ごちゃごちゃした手順になりがちなプロットですが、とてもすっきりとしており、フェアに見えます。
Constellation
名刺を用いたカード当て。名刺裏に書かれたドットが移動し、観客のカードを示します。
The Mastre Piece
カードの絵柄だけ移動するパケットトリック。赤裏のA4枚を数えるたびに、1枚ずつブランクカードになります。テーブルに置いてあった青裏のブランクフェイスカードを見ると、そこにすべてのマークが集まってます。
Googly Eyes
ただのカード当てで終わらないスペルトリック。良い一捻りがあります。
Turning The Tables
観客がマジシャン役となって披露するカードトリック。観客が持ったデックにマジシャンは4枚のJをバラバラの位置に差し込みます。観客がデックを揃えおまじないを掛けると、デックのトップにJが集まります。それだけでなく、残りのデックがすべて真っ白になります。これは確実に盛り上がるでしょう。
Ultimate Fate Ⅱ
演出と構成が見事なトリック。観客から借りたお札を使って観客のカードを当てるだけかと思いや、最後はとんでもないことが起きます。