ジョン・ガスタフェローのレクチャー・ノート、『Ready Set GuastaferrO』(2012)、『Discoveries and Deceptions』(2013)、『Seven Wonders』(2014)の日本語翻訳版合本です。
無意味なトリックの羅列を芸術的なエンターテイメントに変えるには、1℃(ほんの些細な変更でも、物凄く大きなインパクトを生むことが出来る)の工夫で事足ります。派手なショーアップ、個人依存のハイレベルなスキルは必ずしも必要ではありません。どういう筋書きで、どういう設定で、どういう演出で、どういう道具で、どういうセリフで、演じるかにこだわることで、観客の心に魔法を感じさせることが十分可能です。
この作品集にはオーソドックスに別角度からのアイディアを組み合わせることで、新鮮で素晴らしい魔法感を創る作品が揃っています。書籍の構成にも配慮されており、5つある章から1つずつトリックを選ぶだけで、強力なルーティーンを作り上げることが可能です。
堅実なレパートリーで、観客に上質の魔法体験をさせたいなら、この作品集をどうぞ。
- 1. Invisible Opener
- 想像が現実になるというインビジブル・デックの演出にリアリティを加え、思っただけのカードを当てるのに理想的な状況を用意します。
- 2. RWB (Red, White, and Blue)
- カラー・チェンジング・デックです。視覚的にデック全体の色が変化し、選ばれたカードもまた色が変わります。
- 3. Mr.E.Returns
- 演技中1枚のカードをウォンド代わりに使っていますが、最終的にこのカードがサインカードだと明かされます。
- 4. Spectral
- 自由に選ばれたカードが消失。観客の力であり得ない方法で再出現します。
- 5. Centerfold
- クリップで止められた2つ折りの予言のカード。開くとサインドカードの名前が見事に書かれています。
これで終わりではなく、再び開くと、カードの名前が書かれているだけでなく、サインカードが移動して来ています。
- 6. Twist of Fate
- デックから堂々と2枚のカードを抜き出します。トップが♣8で2枚目が♡Jです。トップ(♣8)が数字をボトム(♡J)がスートを表すと説明します。つまりいまは♡8です。この2枚の間に自由に1枚のカードを裏向きに差し込んでもらいます。この裏向きのカードを確認すると♡8です。次にトップとボトムのカードを入れ替えると、選ばれたカードもそれに対応して変化しています。
- 7. Bound to Triumph
- 輪ゴムが巻かれ、表裏ごちゃ混ぜのデックが綺麗な状態に戻ります。しかも観客の手の中で。
観客の手の中でデックが自動的に動き揃ったと感じさせることに重点を置いています。
- 8. Untouchable
- デックを表裏ごちゃ混ぜにカットして混ぜてもらいますが、演者が介入することなく、カードが元通りに揃います。
- 9. Inside and Out
- 選ばれたカードの1枚が箱の中へ移動します。もう1枚は溶け出すかのように箱を通り抜けて来るのです。
- 10. Triple Pocket Discovery
- ポケットに入れた1枚のカードがポケットから溶け出し、もう1枚のカードはポケットの中に溶け込み、3枚は心を見通す力で見つかります。
- 11. Assembly Line
- 4人の観客が、それぞれ中ほどにジャックが埋もれた状態のパケットを持っていますが、4枚のジャックはすべてひとつのパケットのトップへと集まります。
- 12. Pickpocket Aces
- 4枚のAがデックの中に埋もれますが、1枚が演者のポケットから、2枚は観客のポケットから、そして最後には1枚のエースだけが消え、その他のデックは消えてしまいます。
- 1. BLACKJACK TRANSPO
- カード・ケースの中と観客の袖で、エースとジャック、その2枚の位置が入れ替わります。
- 2. M.I.T. ACES
- 4回連続で間違ったカードを取り出してしまった結果、4枚のAが揃います。この4枚のAが観客の手の下で選ばれたカードへと変化します。
4枚のAはデックの中ほどでひっくり返っているのです。
- 3. BOOK OF CLUES
- デックを3人の観客にカットしてもらいます。各トップカードをヒントに選ばれたカードが当たり、最終的に各トップカードと選ばれたカードでフォー・オブ・ア・カインドになっていることが分かります。
- 4. HERE, THREE & IN MY POCKET
- 選ばれたカードが色々な場所から現れ、4枚のAに変化し、ポケットに入れていたカードと位置が入れ替わります。
- 5. X-FACTOR
- 名刺の裏に自分で選んだカードの名前を書いてもらい、これをデックの中に埋もれさせ、カード・ケースにしまってもらいます。
この状態で、名刺の裏に書かれたカードの名前をマジシャンが読み取ります。
- 6. STOCK EXCHANGE
- 2人の観客がデックを裏表ごちゃ混ぜにします。この状態から、選ばれたカードを見つけ出し、さらに裏表を揃え、さらに赤と黒を分離させます。
- 7. MATCH GAME
- 演者と観客が一緒に4枚のエースを見つけ出します。
- 8. DALEY PREQUEL
- ドクター・デイリーのラスト・トリックの前に演じられるA2枚の入れ替わりです。
- 9. MULTI-MENTAL
- 複数枚のカード当て。単に枚数を増やしたり、取り出し方を増やすのではありません。
観客の心を深く読み取る演出でトリックの印象を強め、実際にカードを取り出すという強力な手法で演じられます。
- 10. iCONTACT
- 演者と観客が他の観客のiPhoneのコンタクト・リストから、同じ人を思い浮かべます。
- 11. ZEN BEND
- 指先に持ったストローが半分に折れます。
- 12. More Discoveries
Covert Coins
- トラベラーズの最後に、取り出した4枚のAをずらすと、各Aの下からコインが現れます。
- Playing Odds
- 答えが予測できるものに対して、備えておくというアイディアです。
- Action!
- 観客を演出の一部に組み込むアイディア。
- 1. GPS
- 裏面にコンパスが描かれた妙なカードが、サインしたカードを見つけます。
- 2. NUMEROLOGY
- 混ぜられたフォー・オブ・ア・カインドから1枚を思ってもらいます。
テーブルの下で、自身が思った数に従って混ぜ、1枚のカードをひっくり返します。
このひっくり返ったカードが観客の選んだカードです。
- 3. FUSION BOX(TIME TRAVELER)
- アンビシャス・カードのあと、サインカードが消え、再びケースの中に現れます。
別のされたカードと融合した状態で。
- 4. FLIP SIDE
- 選ばれたカードが消失しますが、観客が言った数に従って配っていくと、ひっくり返った状態で現れます。
- 5. ALL FOR ONE
- 公正にカードを取り除いていき、最後に残った1枚がフォー・オブ・ア・カインドを完成させます。
その後、このフォー・オブ・ア・カインドが4枚のAに変化します。
- 6. LOVE ME NOT
- 好き・嫌いゲームで、4枚のジョーカーが4枚のクイーンへと変化します。
- 7. GEMINI SQUARED
- 2人の観客がデックの自由な場所に計4枚の名刺を差し込みますが、隣のカードはどれもAではありません。
しかし、名刺の裏に予言が書かれています。最後に残っていた予言を見ると真っ白で残りのデックを見るとすべて真っ白です。