実に不思議かつユニークなマジックです。既存の原理も少し使いながら、全体としてのオリジナリティーは別格で、その完成度もきわめて高い。用具に仕掛けがあると疑わせた上で客に検めさせる演出も心憎いし、「クライマックスが一番不思議」という約束事もクリアー。そしてクライマックスで発揮される考案者の驚くべき悪知恵とは?・・・。 と、ここまで読んできてこれが欲しくならなかった人って、本当にマジック愛好家? (笑)。
蛇足ながら付け加えると、このマジックの秘密を知って、説明書にない自分流の見せ方を思いつきました。でも、ふと思い至ったのです。こんな現象を生み出すほどの「頭脳」が長期にわたって試行錯誤・改良を繰り返してようやく完成させた見せ方だということに・・・。私がちょっといじくり回して思いついたアイデアなど、考案者なら開発過程でとっくの昔に通り過ぎたものではないかと・・・。
「タネを知って、より興味が増した」というマジックに久々に出会いました。人間の脳の働きを再認識させられるマジックですね。
マジシャンにはそんな人はいないと思いますが、もしタネを知って失望するようなら、その人はまだマジックの世界の奥深さがわかっていないということになります。
自分がそうでないことを確かめるためにも、是非買ってみることをお奨めします。