使うのがボールであったり、使われる技法がやや独特かついかにもクラシックぽいので、現代のマジシャンたちにはあまりピンとこないかも知れません。昨今のマジック界の流行からは外れているかもしれないので、一応星4にしました。
しかし個人的にとても魅力だったのが、道具も現象もシンプルでわかりやすいということです。マニアには通用しなくとも、一般客相手なら間違いなく良いマジックだと言えるでしょう。我ながら同じようなことばかり言っているような気がしますが、もし説明文や動画を見て興味がわいたなら「買い」です。
個人的には文句の付け所がありませんでした。
自分の場合コインマジックに対して革新性や手の上だけで行なうなどのこだわりがないからかもしれませんが、現象はどれも不思議で、原理も巧妙なものが多いです。しかも難易度も昨今のコインマジックに比べれば易しく、初心者でもとっつきやすい事間違いありません。テーブルと何枚かのコイン(場合によってはコップ)さえあれば演じられるという点も素晴らしい。
テーブルを貫通するという現象に興味がわく方であれば、まず買って後悔はしないでしょう。
素晴らしいと思います。
ビジュアルですし、演じ方としても軽めにテンポよく見せていけます。リセット簡単、ポケットに入れた状態から始められるなど、とにかくホッピングでほしい条件がきっちり満たされています。
現象も、テンポ良くモンテからワイルドカードにつながっており、とてもすっきりしています。
スキナーのモンテがショーのようなしっかり見せる場に最適化されているとすれば、こちらは更に近い距離でカジュアルに見せる場に最適化されたモンテだと言えるでしょう(もちろんどちらもどんな場でも十分に演じられますが)。
リフィルもありますし、モンテ好きはもちろんそうでない方も、是非購入を検討されるべき傑作だと思います。
まず、動画を見て気に入ったなら、買って損はしないはずです。
現象はもとより、バッグの質もしっかりしています。
ただ一方で、演者の力量・習熟度が問われる手順でもあります。
なぜなら原理は非常にシンプルで、どれだけクリーンさ・不思議さ・楽しさを出せるかは演じ方によってくるからです。
しかし逆に言えば、練習を重ねさえすればシンプルな原理で素晴らしい不思議を演出できるので、動画を見て気に入ったなら買うべきかと思います。
素晴らしいアイディアだと思います。原理自体はシンプルゆえ、バレるんじゃないかと不安になる方もいらっしゃるでしょうが、それはマニアにありがちな杞憂というもの。リー・アッシャーほどの演者が、実際に何千人を引っかけてきたと言うのですから、そのディセプティブさを疑うのは傲慢ですらあります。
自分はビル・グッドウィンのレクチャーで、これと同じ錯覚を利用したトリックを見ましたが、自分はもちろんその場にいた約30人の誰一人として何が起きたか気づきませんでした。訳者の富山さんもあとがきで言及していますが、本当に気づきません。
いえ、そもそも「気づくべき何かが起きている」とはつゆとも思わせないところが、このコントロールの最大の利点だと思います。値段も手ごろですし、是非ともお手に取ってみてください。
このシリーズ全体に言えることですが、この値段でこの質・量なら買うべきです。きっと発見があることでしょう。
結論は先に出したうえで、個人的に特に印象深かったルーティンについて述べたいと思います。
It's Really Wild
ギミックなしのワイルドカードとして非常に洗練された面白いもので、このプロットに興味があれば間違いなく見るべきです。
Open Travellers
まさに良アレンジと言えるでしょう。原案よりもやや角度に弱くなった反面難易度もやや下がったと言えます。個人的には、移動したエースのディスプレイが非常にクリーンになった点と、おそらくこのプロットで最も議論が絶えないであろう最後の一枚の消し方がとても自然になった点にとても感銘を受けました。
Sandwiched Thought Card
しっかり演じれば、とてもクリーンで不思議な手順です。マニアックな細かい部分に言及しておくと、先に2枚のJをテーブルにおいてから観客にカードを言ってもらい、そのあとでまたJを持ち上げて出現させています。つまり、するどい観客でも後出しじゃんけんだと疑われる心配はありません。
Inseparable
コインをやるかたもあまりやらない方も、演技の出だしにピッタリの小ネタトリックです。ビリス本人はサカー気味に演じているのがユーモラスです。
また、ここで言及しなかった手順も秀逸で、学ぶところはとても多いです。繰り返しになりますが、この値段でこの質、古い映像作品だからと敬遠せずに、ぜひお手に取ってみてください。
商品説明その通り、色々な種類のパスが解説されています。
これだけ種類があってこの値段なら、何かのついでに買ってしまってもよいと思います。
ただ、さすがに十数種類のパス全てをじっくりモノにすることはなかったのか、あくまでメカニズムを見せるためのレベルの実演(さすがに動きが大きい、もはやフラッシュしているなど)が数個あったりと、そのあたりは値段相応でもあります。
とはいえ、やはりコストパフォーマンスは秀逸ですから、パスを知らない・もう少しくらいパスのバリエーションを増やしてみたいという方は、迷わず買うべきだと思います。
デビッド・ウィリアムソンといえば、マジシャンとしてパフォーマーとしてその名は隠れもしない、大御所と言って差し支えない方ですよね。その人の代名詞的なトリックがコイン・カード・その他とジャンルごとに数多く収録されています。原著が80年代末の発行とかなり古く、おそらく今となってはウィリアムソン本人のハンドリングなどにも変化・改良があるでしょうが、それでも根本的な原理は同じですから、面白いトリックばかりです。難易度も程よく、ほとんどの人にお勧めできます。
レパートリー探しでも、単なるマニア心でも、トップパフォーマーがどんなトリックをどう演じるのか知る意味でも。どんな方でもきっと勉強になる、そんな良著です。
世界有数のカーディシャンであるビル・グッドウィンの良さを、存分に味わうことができました。収録作品はどれも面白く、彼らしいスライハンドの切れ味が存分に発揮されたものもあれば、巧妙ながら遊び心に溢れた原理のものもあり、カードマジックに興味がある人なら間違いなく楽しめるでしょう。高度なスライハンドを駆使していながら演技でも解説でも強引さを感じさせない手順は、「さすが」の一言です。
ただし、ビル・グッドウィンですから実際に演じるとなるとやはり難易度は高めです。加えてリフレクションと比べてもやや独特な技法が多いですから、ある程度普遍的なカードマジックの原理は知り尽くした人が購入するのが、スムーズに内容に入れて良いのではないでしょうか。その方がこれらの作品の洗練された味わいをより感じることもできると思います。
また、ボーナスとして収録作品の一部をグッドウィン本人がマジックキャッスルで演じている映像と、インタビュー映像が収録されているのもかなり嬉しいところです。元々界隈での知名度のわりに露出が多い方ではない彼の演技を、かなり最近の映像で、しかもDVD収録作品で見られるというのは大きな価値があると思います。また、長年マジックキャッスルに腰を据え、バーノンやジェニングスといった伝説の人物たちと若手時代に浅からぬ交流があった世代であるグッドウィンの話を聞けるのも、マジックに携わる人間として楽しかったです。例によって各作品のクレジットや歴史を冊子に詳細にまとめてくれているのも地味に楽しいところ。
6500円ですがそれにふさわしい満足感があります。少ない労力でウケが欲しい、カード以外のレパートリーが欲しい・・・という人が何かの間違いで買ってしまったわけでもない限り、まず失望はしないDVDです。ただし注意点は、ボーナス映像は当然ながら英語圏の人間相手の映像を収録しているので、英語が苦手ゆえにボーナス映像にあまり惹かれない人にとっては6500円はやはり割高になるでしょう。
現場向けの面白いアイディアが随所に散りばめられていますが、それゆえに各手順の荒削りさが際立ってしまってもいます。
カーズトゥボックスやアンビシャスカード、カードプロダクションなどのルーティンを自分なりに組む人のアイディア収集用や、労力は考慮せずビジュアルな現象を求めるのであれば悪くない内容だと思いますが、手順はやはり荒削りだったり強引な部分も目立ち、そのまま演じようと思えたのはJust in Time 2.0くらいでした。
なまじ本人が技術的に上手いが故に、手順がそこまで洗練されず、スライハンドとミスディレクションでの解決にやや偏重しすぎてしまっている、惜しい内容だと思います。あるいは、客が酔っているバーでの演技は、こういうものなのかもしれませんが。