収録されている作品のどれもが、
もうこれ以上の改案は難しいだろうというほどに磨かれた手順です。
それほど難しくないにも関わらず、インパクトは抜群。
レギュラーカードで出来るキックバック系エフェクトも見逃せません。
レギュラーカードだけで全てが出来るわけではありませんが、
このDVDの目玉となるであろう作品のほとんどはレギュラーです。
一方、コインはギミックを用いることも多いのですが、
コインマンの方でしたら持っているアレですので、
さほど困ることは無いかも知れません。
また、解説は全て英語です。
それでもステップバイステップで進行する解説で、
十分に演技を理解することができるでしょう。
個人的にはマイナスポイントがありませんでした。
スタイルとマジックに対する姿勢が非常に美しく、
非常に好感の持てるマジシャンです。
現象も全てビジュアルで、
演じる機会があればお客様をノックアウトできること間違いなしでしょう。
ただ個人的には準備が必要なマジックが多かったこと、
そしてfadeless trickでは「あぁ、使っちゃうのか……」という
感想になってしまったことがあって、
やや残念というところではあります。
なんとか『使わずに』、ああいったトリックを再現できないものでしょうか。。
レビューには、この抽象的表現は正しくないであろうことは分かっていますが、
なんと言っても素晴らしいの一言です。
見ているだけで楽しい構造が、デビットストーンという人間性と彼のユーモア、
マジックの雰囲気を感じることができます。
実際、このDVDが始めてでした。演技の解説(種明かし)を見ずに満足したのは。
もちろん解説はコンテンツとして収録されていますが、演技を見るだけで楽しい、
そういうDVDというのは、近年殆ど見かけることは無いでしょう。
そして、その演技の解説すら、見ていて面白いし分かりやすいのです。
マニアの方々や研究家の方々にとっては
特に新しい技法というのは少ないかもしれませんが、
マジックを他人に演じるのを楽しんでいる皆様には是非ともお薦めしたいです。
お客様を楽しませるとはどういうことか、マジックとは本来どういうものであるべきか。
そう言った、セオリーやポリシーの核の部分を学ぶことができる、
コンテンツ以上にいろいろなものを孕んだ、文字通り『素晴らしい』DVDでした。
このルーティンの素晴らしいところは流れるような動きと、溶けるような演技です。
まさか、と観客が思った瞬間には、まさにその現象が完成している、とでも言いましょうか。
ロープマジックと言えば、はさみを使ったりするので消耗的なイメージがあったり、
伸び縮みする程度ではないのか、という地味なイメージがありますが、
このロープマジックは、二本のロープだけで非常に華麗な演技を可能にしています。
ロープマジックをレパートリーに加えたい方、ステージやサロン、
あるいはクロースアップでさえ可能なこの上質なマジックを、
是非ともレパートリーにくわえてみてはいかがでしょうか。
現象が秘密とは、一体どういうことなのか、と思う方も多いかと思いますが、
確かにコレは、従来のエフェクトにカテゴライズされる現象ではありません。
いうなれば、『キックバック』という現象が起こるのです。
最近のマジックにマンネリを感じている方にとっては、
『キックバック』という現象もあるのだ、と知るだけでも価値があるでしょう。
仕掛けのあるカードを使うのがオリジナルの手順ですが、
全くギミックのないデック・カードで行う手順も公開されていますので、
ピュアリストの方にもお薦めしたいマジックです。
確かに、このマジックは、体感してみたかったと思います。
何も知らない人が『キックバック』を演じられたら、
そのあまりのインパクトに思考が停止してしまうことでしょう。
そのような感動を実際に自らが体感することなく
このマジックの構造だけを知ってしまったことは残念ですが、
逆にこのマジックを演じる権利を得たのだと思えば、後悔はしません。
ですが、逆にこのアンダーグラウンドに在ったマジックを演じる際には、
その秘密を死守するための自重なども必要になってきます。
このマジックを体感せずに構造を知って後悔せず、
かつ、この秘密を守ることの出来る自信があるという貴方こそ、
キックバックを演じる資格があるのだと思います。
今こそ、この『キックバック』という現象を
キラートリックとして愛用してはいかがでしょうか。
手が痛くなりました。何故かといえば、このDVDの演技に早速チャレンジした結果です。
自分としてはかなりカードについては慣れていたつもりでしたが、
いかにまだまだテクニックのキレを磨くことができるかを実証されました。
彼らの、流れるようなカードテクニックにはただただため息が漏れるばかりです。
様々なトリックやフラリッシュが解説されていますが、
それらについて書くときりが無いほどのアイデアやインパクトが詰まっています。
そのスピード感や壮大さを、視覚以外で、
それも文字で伝えるのはおこがましいという思いすらあります。
どれか一つでも身に着けることができたなら、それは一生涯の武器になることでしょう。
そして、そのトリックやフラリッシュを完璧に演じるのには並大抵の努力では敵いません。
血の滲むような努力も必要でしょうし、諦めないだけの根気も居るでしょう。
ですが、諦めることはありません。デイブが言っている通り、人にはスタイルがあります。
また、彼らの動きを完璧に模倣することは不可能であり、それ自体には意味がありません。
このDVDは、ハイレベルなトリックや技法、フラリッシュを身につけた上で、
彼らの中に、自分のなかの新しい可能性を見出そうという思いがある方にのみ、
しかし、そういう方にこそ、強くお薦めできます。
ハイレベルな世界の一片に触れることで、自分もその世界に入り込もうという貴方こそ、
彼らに学ぶ資格があるのだと、私は思います。
白く美しいデックといえばバイシクル・ゴーストがその代名詞といえるかもしれません。
それほどに美しく、格調高い仕上がりのカードになっていて、
さらにその品質も非常に良いものに仕上がっています。
美しいのは確かだ、品質も良い、
しかし、ハートやダイヤのカードまで黒いと何かと不便なのではないか、
と思う方もいらっしゃると思います。
ですが、私が使用した限りでは何の弊害もありませんでした。
少し変わったカードを使っている、
というだけで与えられるささやかなインパクトもさることながら、
やはりその格調高さやエースとジョーカーのかっこよさは否定できないものです。
これと対を成すカードといえばタイガーデックですが、
タイガーデックが『存在感』や『重み』のあるカードであるのに対し、
ゴーストは『神秘性』や『儚さ』のあるカードであると言えるかもしれません。
この『神秘性』や『儚さ』という雰囲気は、
メンタルなカードマジックにぴったりだと思います。
また、絵札とスペードのエースを除く黒いカードは普通のカードと同じなので、
従来の一部のギャフカード・トリックカードなどを
そのまま利用できるのも、大きな利点の一つです。
格調高く、静かに美しい演技を目指している貴方や、
エースやジョーカーを多用する演技を得意とする貴方に特にお薦めしたいカードです。
この機会に、儚い神秘性を備えた、『静かなるカード』を相棒にしてはいかがでしょうか。
私が始めてこのデックを見たときの感想は、カッコイイ! というものでした。
そして手にしてみたとき、その感触と耐久性の素晴らしさにまたも感動したものです。
最高品質というだけはあり、非常に扱いやすく長持ちするカードです。
普通のカードよりも値段は張りますが、長持ちする分、
高頻度で買い換えなくてもいいので、考え方によっては結果的にはお得かもしれません。
しかし、マジシャンとして気になるのは、
こんな普通ではないデックを使っていて、
怪しまれることは無いのだろうか、という点でしょう。
マジシャンは好き好んで使っているかもしれないが、
お客様にとっては意味の分からないカードで演じられても、
『仕掛けがあるのでは』と思われては本末転倒だ、
という考えがある方もいらっしゃるかと思います。
ですが、私の実体験から言わせてもらえれば、
普通のカードとなんら変わらず扱えるどころか、
カードを広げただけで『なんだコレは』という
大きなインパクトを与えることができるので、
普通のカードよりもお高いだけの価値はあると断言できます。
さらにバーなどで演技をする機会がある方にとっては
ブラックライトを使った演出も可能ですので、
フラリッシュの幅が広がったといえるのではないでしょうか。
色の区別の有無についてはお好みで構わないと思いますが、
私としては区別があるほうをお薦めします。
ジョーダンカウントなどの一部のカウントの際に錯覚を起こしやすい上、
お客様の誤解を防ぐことも出来るからです。
カードマジックを個性的なものにしたい方、インパクトを与えたい方、
更なるフラリッシュの可能性を追求したい方など、
カードを愛する人ならば一度くらい触れておいても損はないカードと言えると思います。
この機会に、黒く存在感のある、『重みのあるデック』を相棒にしてはいかがでしょうか。
カーディシャンなら、せめて一度は読むべき本である、
と言っても過言ではないでしょう。
一部、カードのセッティングが必要であったり、
トリックカードを使ったりするトリックも含まれますが、
それを厭わない貴方にお薦めです。
では、カードのセッティングが面倒であったり、
ピュアリストな貴方にはお薦めできないのか?
決してそんなことはありません。私が最初に申し上げたように、
『カーディシャン』なら、一度は読むべき本であるという前言は撤回しません。
そこまで言い切れるだけの理由は、収録されたトリックのうちの
"Bushfire Triumph" に特に強くこめられています。
数多くのトライアンフ現象の中でも不可能性が強く、
しかも事前準備も要らないというすばらしいトリック。
このトリックのためだけにこの本を買おうとも、きっと貴方は後悔しないでしょう。
『生半可なことでは見破られないトリック』というものをお探しの貴方は、
是非ともこの "Bushfire Triumph" を始めとする、様々な『悪知恵』をご堪能ください。
カード・トゥ・ウォレットは、
カードの瞬間移動のなかでも意外性の強いもののうちの
一つであると私は考えています。
その一つの理由としては、『財布』という日常的なものの突然の出現でしょう。
ともすれば、その『財布』が自然なもので、
普段から使っているものであれば、
不思議さは格段に増すこととなるのは確実なことです。
そしてこのカード・トゥ・ウォレットは、最低限の構造だけを取り入れた、
まさに自然状態に近いカード・トゥ・ウォレットといえると思います。
事実私は、この商品を買うとき、
『そういえばちょうど新しい財布が欲しかったんだよな』
…という、手品の道具を買うとは思えない思考から食指が動いたものです。
そして購入後、早速それを持って町へと繰り出しました。
もちろん、新しいお気に入りの財布で買い物をするためです。
貴方にパームができるなら、貴方の使っている財布をこの財布に変えるだけで、
いつでもカード・トゥ・ウォレットという
すばらしい効果を持つマジックを演じる権利を得るのですから、
これからカード・トゥ・ウォレットを演じたいと
思っている貴方がこの財布を買う理由は、もう十分ではないでしょうか。
追伸:
この財布には『小銭入れ』という場所がついていないのと、
観客に手渡しが出来ない、というのが少し残念です。
しかしながら、見た目がお洒落でフォーマルな財布なので、
『財布を見せろ』といわれたことは一度もありませんし、
小銭入れを別に用意すれば日常的にもなんてことはありません。
とにもかくにも、カード・トゥ・ウォレットを、いつでも自然に演じたい貴方と、
お洒落な財布をお探しの貴方にお薦めしたい一品です。